昨年の師走以来、本当に久々に『インドのテキスタイルとサリー講座』を実施した。これまで坂田のビジネス部門「ミューズ・リンクス」として各種セミナーを行ってきたが、今月のセミナーから「OKaeri Ventures」に名義変更している。
「オカエリ・ヴェンチャーズ?!……なに、それ?」
と、クスッと笑われそうですけどね。そしてわたしたちも笑っているんですけどね。それがいいのだ。「OKaeri Ventures」。それは、わたしと夫が今後、共同で始めるプロジェクトの名義。現在、諸々の準備中だが、いつものごとく「動きながら調えていく」スタイルだ。
なぜ「オカエリ(お帰り/お還り)」なのか。命名の経緯その他、詳細はいずれ別途、記したい。
さて、今回の講座。従来と同じ資料に、バンガロールのファッション・ブティック情報や、昨今の「坂田視点での」すてきなデザイナーズブランドを加えて厚みを増した。いずれも、「インドの伝統的な技術を反映」し、「職人たちの技を活かし」た、「絹や綿、麻などの天然素材を用いている」、しかし若い息吹が感じられるブランドだ。
インドのファッション業界もまた、目まぐるしく変容する昨今。わたしが焦点を当てるのは、我が座右の銘のひとつである「不易流行(ふえきりゅうこう)」が映るテキスタイル世界だ。
インドの布(テキスタイル)は、インドの歴史や文化を理解することで、深く広く多様に、その魅力を認識できる。マハトマ・ガンディが提唱したインド独立運動のスローガンの一つ、「スワデシ(国産品愛用)スワラジ(自主独立)」とインドのテキスタイルには、切り離せない物語がある。今回の参加者各位は、歴史的な背景の説明をも興味深く聞いてくださっている様子だったので、そのあたりの説明もしっかり行った。
いつものように、わたしのサリーを見て、触れてもらいながら、それぞれのテキスタイルの特徴を説明する。布を通して、インドの地理や歴史を同時に学べる有意義なひとときだ。いつもなら、セミナーのあと、わたしのサリーを試着してもらい、ティータイムとなるところだが、今回はスペシャルな企画があった。
我々の新居のコミュニティAfter the Rainに暮らす友人のYashoに、彼女が販売しているサリーを持ってきてもらったのだ。彼女のことは、何度か記してきた。わが友人の中で、最も頻繁にサリーを着用している、美しく知的な女性。昨年末、新居で「京友禅サリー」の展示会をしたときも、彼女はエレガントに試着し、モデルとなってくれた。
かつて彼女は、デリーのITC Mauryaホテルにある老舗北インド料理の名店、Bukharaにて、女性初のシェフを務めたという経歴も持つ。さまざまなインドの伝統文化などについても造詣が深く、彼女から学ぶことは多い。なお、わたしがバンガロールの新空港「ターミナル2」について、何度か仔細をレポートできたのは、彼女の夫であるHariが、ベンガルール国際空港のCEOだからこそだ。折しも、このセミナー翌日の空港取材が実現できたのも、彼のおかげだ。
……空港取材の話はまた、別途記す。
彼女は、COVID-19のパンデミックで、多くの織物職人が仕事を失い窮地に立たされているのを知り、インドの伝統や文化を守る一助になろうと、サリーを販売する「Mrinalini」(お嬢さんの名前)ブランドを立ち上げた。
彼女が取り寄せている手織物のサリーは、いずれも非常に品質が高い。高級ブティックで買えばかなり高価となるサリーを、良心的な価格で販売している。わたしもすでに、「職人たちを支援するために」という気持ちで😁、すてきなサリーを購入してきた。そしてこの日も、参加者に見てもらうつもりだったのに、1枚のすばらしいサリーに目が釘付けになり、購入した。
なんと、それは前夜到着したばかりで、他のサリーは1種類ずつ取り寄せるところ、それだけは2枚注文。Yashoもすでに1枚、自分のために購入していたらしい。
「2枚、取り寄せていてよかった!」と彼女。パールのアクセサリーを好むところも、彼女とわたしは似た嗜好なので、わたしがMrinaliniのサリーが大好きなのは、当然のことかもしれない。
かくなる次第で、非常に有意義なひとときを過ごしていただけた講座だったと思う。資料は印刷物だけでなく、pdfファイルも参加者とシェア。店舗情報などは資料の店舗名をクリックすると、それぞれのサイトに飛べるように編集している。非常に実用的な仕上がりだ。
主催する側にとっても、とても楽しい時間だった。ご参加のみなさん、ありがとうございます。
🥻インドはお祭りシーズン序章。またしてもサリーの海へ。(2021/09/19)
Mrinalini. A platform to help handloom weavers across the country.
https://museindia.typepad.jp/fashion/2021/09/saree-1.html
🥻Mrinaliniのサリーを眺め、豊かな布の一日を締めくくる。(2022/11/11)
https://museindia.typepad.jp/fashion/2022/11/saree.html
[Mrinalini] サリー購入に関心のある方、坂田までDMください
https://www.mrinalini.co/