気候だけ、が取り柄のようにいわれがちなバンガロールだが、その気候がいいということが、暮らしをどれほど、快適にしてくれているか、わからない。
この10年というもの、身軽に、そしてそれなりに実りのある歳月を送れている背景には、一年中、フル稼働で動ける気候の恩恵がある。無論、フル稼働できるからこそ、意識的に休息を取り、無理をせぬよう心がけてもいる。
米国の東海岸に住んでいたころ。ニューヨークはまだしも、ワシントンD.C.の冬は、長く感じられた。雪に閉ざされ、外出を阻まれる日も多く、1年の少なくも4分の1は、暖かな季節を恋しく思っていたものだ。春を告げる水仙やヒヤシンスの芽吹きには、ことのほか、心を躍らせたものである。
寒い時節には、外を歩くこともままならず、せいぜい車を飛ばしてショッピングモールへ赴く程度。あのころの心の淀みが、インドへの移住を決意させるひとつの契機にもなったのだった。
年に一度、6月ごろに開花する月下美人。かつて、義姉宅にあったその葉を数枚、「挿し葉」にしていたのが、年々成長をして、毎年、花を咲かせてくれるようになった。挿したらそのまま、特に手入れをするでもなく、庭の一隅に放置している。それでも、自ずと成長してくれるからありがたい。
その鉢のひとつを寝床代わりに、ひなたぼっこをしているNORA。月下美人には気の毒だが、あまりにも気持ち良さそうで、起こすのが憚られた。もう少し、場所を選んで欲しいものだ。
このごろは、外出しての買い物が激減した。何度も記してきたが、一昨年あたりから、オンライン・ショッピングを活用しているからだ。
「必要な食料品や日用品、家電など」
「あってもなくてもいいけれど、あるとうれしいもの」
上のハンドバッグは、後者であるが、つい。お気に入りのサイト、JAYPORE.COMで見つけた。インドの伝統的な手工業のひとつ、イカット(絣)で作られたバッグだ。革の部分もしっかり頑丈。底にビスが打たれているのもいい。A4、レターサイズの書類もゆったり入る。
こちらは、キリムのラップトップ用バッグ。裏側にはポケットもついていて、ショルダー用のストラップもある。実は、不調で修理に出していた我がMacBook Pro。ちょうど昨日、10日間もの不在を経て戻って来た。
インドでの10年。コンピュータ(ラップトップ)の寿命は短く3年前後といったところか。特に移動が多かった最初の数年は、よく故障していた。だから新しいマシンを購入する時には必ず、オプションの3年保証を購入している。必ず、といっていいほど、お世話になるので。
今回のトラブルは、リターンキー(エンターキー)の不調。部品を調達するために、時間がかかったようだ。ともあれ、無事に戻って来てよかった。
そしてお気に入りは、このハンガー。以前、インテリアショップでいくつか購入して気に入っていたのだが、以来見つけることができなかったのを、Flipkart.comで発見した。ブランドは異なるが、同じようなプロダクツ。
このハンガー、表面がベルベットのように加工が施されているので、シャツやブラウスが滑り落ちず、クローゼット内でも定位置を保ってくれるのだ。あまりにもかけ心地がいいので、追加注文した次第。
インド生活10年のうちの変化の中で、歓迎すべきことのひとつは、オーガニックの野菜を入手できる店が増えたこと。むろん、これは先週の多忙時、買い物に行けなかったときに利用したBigbasket.comで注文したイエローペッパーやローマイン・レタス、発芽したひよこ豆など。ただし、オンラインでの野菜は、そのときどきで鮮度にむらがあるので、要注意でもある。
これは、昨日。歯医者に行く途中の、近所のオーガニックショップにて。通常は月曜と木曜に有機農家から届く野菜。今週は月曜が祝日だったこともあり、昨日、新鮮野菜が届いていた。
歯医者の帰りには、CINNAMONへ立ち寄り。ここでは、欲しいと思っていたものが見つからず、ウインドーショッピングをするに留まる。
ところでロメイシュ・パパは、約10日間のバンガロール滞在を経て、今日、デリーへと帰って行った。我が家での滞在は数泊だったとはいえ、それなりに気を遣うというものだ。が、食事に関してはいつもの通りですむのが助かる。
これは、ポムフレット(マナガツオ)のムニエル。
アルヴィンドの大好物、ポテトサラダ。このごろは、松田のマヨネーズが定番だ。ハニーマスタードを混ぜてみたら、これまた、なかなかの美味。
エアフライアーを用いての鶏のフライ。もちろん油で揚げた方がこってりとした旨味が増すけれど、これはこれで、十分にいける。
たまにパンを焼くけれど、そうでないときにはTHOM'S BAKERYやALBERT BAKERYのパンを買う。これはTHOM'Sの食パン。店頭には薄くスライスされたものしかないが、店のお兄さんに「スライスしていないのをください」と頼むと、夕方ごろなら焼きたてを持って来てくれる。これを自分の好みの厚切りにして、朝、バターをたっぷりとつけて食べると、おいしいのだ。煎れたてのコーヒーともよく合う。
昔は、バターは太るからと敬遠していた時期もあったけれど、そのような考えは数年前に改めた。バターをちょっととったくらい、外食することや、出来合いのお菓子を食べることに比べたら、まったく、たいしたものではないのだ。ちなみにマーガリンは、子どものころから嫌いだし、身体にもよくないので、決して口にしない。
小学校の給食のとき、必ず残すなといわれて食べたマーガリンのまずさは、今でも忘れられない。あれは、食べ物じゃなかった。こっそり男子に渡したり、隠したりしていたけれど、先生が厳しかった。小学校高学年になって、なんとか食べられるようになったのは、むしろ不幸なことだったとさえ思う。あの成分は、いったい何だったのだろう。
それに比べ、インドのバターは、自然の旨味が強くておいしい。匂いが強いという日本人は多いが、わたしは大好きだ。お菓子作りにも、料理にも、大活躍してくれる。
こちらは、やはりTHOM'Sにて、ブラウンブレッドのスライスしていないものを購入。よく熟したバナナをスライスして載せ、はちみつをかけたもの。普段はたいてい、シリアル&牛乳、そして果物の朝食だが、たまにパンが食べたくなるのだ。
日々を、丁寧に。大切に。
ついつい走りがちな自分を制御しつつ。焦らず慌てず。
ときに深呼吸をしながら。
ときに空を見上げながら。