昨日は、色粉や色水をかけあって、春の訪れを祝うホーリーという祝祭日だった。もっとも、年中暖かいか暑いかの南インドでは、北インドほどの盛り上がりはない。それでも、それぞれのコミュニティで、何らかの行事が行われているようだ。
我々の暮らすアパートメント・コンプレックスでも、自治会が主催して、前夜には焚き火の儀式が行われた。そして当日は、祝日で休みの子どもたちが、大騒ぎで色粉をかけあっていたのだった。
わたしはといえば、ようやく今週、今年に入って一番大きなプロジェクトの山場を超え、あとは校正を残すのみとなった。校正もまた大切な仕事ゆえ、まだ気は抜けないものの、納品までの時間も読めて、一段落の気分だ。
仕上がりを印刷したあとの、何ともいえぬ達成感。さらに気持ちを和ませてくれるROCKY。
いつものKINGFISHER ULTRAが、殊更ぐっと、五臓六腑に染み渡る夕暮れ時。
夕暮れ時、といえば、これは数日前、アーユルヴェーダのマッサージを受けたあとに見上げた空の様子。今週は、季節外れの雨が降り、奇妙な天候だった。
しかし、乾期の雨はありがたく、街の埃を洗い落とし、乾いた空気を潤す。夕暮れの空もまた、格別にやさしく。下界の喧噪、変貌をよそに、中空以上は、麗しき高原のようす。
さて、日本はまもなく春のころ。
ミューズ・クリエイションのメンバーも、2名がこの3月に帰任される。お二人ともチーム歌につき、毎度恒例の「お別れカラオケランチ」が久しぶりに開催されたのだった。
循環するメンバー。
こういう一瞬の写真がたちまち、数カ月後には懐かしい思い出に変わっていく。
メンバーは20代から50代と幅広く、選曲もヴァラエティ豊かである。
夜は、お別れの2人とともに、バンガロールクラブで飲み、語り合う。渋いムード満点のクラブだが、バーもダイニングルームも、ゆっくりと語り合うには好適の場所。あまり活用することなく歳月は流れたが、今後はもっと頻繁に利用しようと思う。
ところでこちらの、やけにポーズを決めた写真は、昨日行われたポスチュア・ウォーキングのレッスン終了直後の一枚だ。
ミューズ・クリエイションには、こちらで働いている「働き組」のメンバーもいるが、大半は駐在員夫人。そんな彼女たちのバックグラウンドもまた、実に多彩だ。
会社に勤務されていた人たちだけでなく、音楽関係の先生、ダンスの先生、看護師、美容師……と専門職に就いている方も複数いらっしゃる。お菓子作りや洋裁などの技術に長けた方も少なくない。
(だからといって、敷居の高い集いではなく、誰でも気軽に参加できる。その点、誤解なきよう)
これまでにも幾度か記してきたが、日本ではそれぞれに仕事をされていた人たちも、しかし駐在員夫人として帯同で赴任している以上、仕事をして収入を得ることはできない。ヴィザの問題があるからだ。外国人が異国で簡単に働けたのでは、その国の人たちの雇用に大きな影響を及ぼす。
ミューズ・クリエイションを始めた理由の一つは、日本での仕事を一旦中止して来た人たちが、何らかの形で自己実現できる場を提供することができれば、との思いもあった。それが慈善活動、社会貢献に結びつくとしたならば、精神的な達成感も伴われる。
メンバーの中には、訪問した慈善団体の一つを定期的に訪れ、目の見えない子どもたちにピアノを教えている人もいる。そうやって、ミューズ・クリエイションでの活動を契機に、一歩進んだご自身の活動を生み出してもらえることは、とてもうれしいことだ。
話を戻してポスチュア・ウォーキング。メンバーに先生がいることから、彼女の厚意でメンバー向けのクラスを、アパートメント・コンプレックスのクラブハウスで実施したのだった。なお、受講料は場所のレンタル料を除くすべて、ミューズ・クリエイションの活動費(慈善団体への寄付金など)へ充当される。
そもそも、個人的に非常に興味のあるクラスだったので、わたしも早速申し込んでのレッスンだった。
学生時代にバスケットボールで腰を痛めて以来、姿勢をまっすぐにすることは意識してきたが、そのまっすぐの仕方が間違っていたこともよくわかった。
その他、
・前のめりに歩いていた。
・立った時、座った時、背中を反りすぎていた。
・お尻をプリプリしながら歩いていた。
……といった、自分の弱点が明らかになり、とても参考になったのだった。長年の蓄積を一朝一夕に変えられるとは思わないが、しかし日々、注意を払っていなければ、あっという間に忘れてしまうのは目に見えている。
せっかく受講したからには、日々の生活に取り入れつつ、立ち居振る舞い、改善したいものである。
午後はいつものように、サロン・ド・ミューズをオープン。祝日ながらも20名以上が集まった。昨日焼いておいた「黒糖カステラ」をお出しする。インドのオーガニックの無精製砂糖に、まさに黒糖風味のものがあったので、実験的に使ってみた次第。
黒糖特有の風味、ほのかな苦みもあり、なかなかにいい。これで蒸しパンなどを作ってみてもおいしそうだ。
そしてお茶の時間。「ゲリラ・ボリウッドダンス」の時間である。
ミューズ・クリエイションのメンバーには、ボリウッドダンスを習っている方が複数名おり、今回帰任されるメンバーもダンス仲間だということで、お披露目、である。
この企画は今回で2度目。しんみり寂しく別れるのではなく、賑やかに別れるのは、いいものだ。
いろいろなイヴェントごとがじわじわと生み出され、ミューズ・クリエイションは益々、面白い場所になりつつあると思う。
そのあと、ミューズ・クワイア&ダンサーズで、いきなりJAI HO!を踊り出す。もちろん、わたしも乱入。
日ごろ練習をしていると、こういう咄嗟の芸が披露できるのも、なかなかに味わい深いものである。とはいえ、放置しているとすぐに忘れるので、たまに音楽をかけて、自分で練習しておくべきだな、などとも思う。
この辺り、異国では「前のめり」くらいがちょうどよい。楽しい。
夫はホーリー祝日で、昨日は終日、家にいた。ミューズ・クリエイションのメンバーと一緒にランチを食べたり、お茶の時間にダンスを鑑賞したりと、相変わらず独特の存在感で、場に溶け込んでいた。
こうしてわたしが自由にできるのも、彼の柔軟性のお陰でもあるなと、若干感謝しつつ、何かと厳しい自分を反省。
実は土曜の今朝から、夫は再びデリーへ飛んでいる。故に今週末も一人のんびりと、自分のことに没頭できる。さて、そろそろランチにするとしようか。