20年近くも、この街と関わり合っていながら、毎年毎年、訪れるたびに、似たような記録を残すのはいかがなものか。などと、毎年毎年、同じように思うのだが、その繰り返しの中に変化あり。新しきあり、というわけで、その頻度こそ減ったものの、今年もまた、光景を、切り取る。
最早、我がそもそもの本業を知らない人の方がずっと多い日常なので敢えて書くが、20代から30代前半にかけては、「トラベルライター/編集者」として、さまざまな旅行ガイドブックや情報誌を編集、執筆してきた。
ゆえに、たとえ内容が緩く私的であったとしても、旅の記録をとどめるということは、デジタルカメラやパソコンの誕生以前から、わたしにとっては大切な行い、でもあった。バックパックの荷物の大半は、ポジティヴフィルム。ノートとペン、わずかな衣類。
やり直しがきかないからこそ、貴重。ファインダーを覗き込み、1枚1枚を大切に撮った、あのころ。
撮れる枚数が限られているからこそ、鍛えられたはずの審美眼。瞬発力。思い返せばそんな日々が遠く。
3、4年前までの滞在時は、3食ともに外食だったが、ある年から夫婦揃って「胃腸がもたない」ことを自覚し、朝はホテルの部屋で食事をするようになった。
コロンバスサークルのWHOLE FOODS MARKETで調達する新鮮なジュースや果物、ヨーグルト。そしてインドから持参してきたお気に入りのシリアルやビスケットなど。
二人合わせれば機内預け入れの荷物は100キロ以上。行きのスーツケースは空きが多いので、消費するものは詰め込んできてノープロブレム、なのだ。
いつものコーヒー、クラッカー、シリアルに入れるフラックスシード(亜麻仁)のパウダー、などなど。インドのみなさん、BISK FARMののTOP HERBS、パッケージは地味だけれど、野菜クラッカー風でおいしいですよ。
カリタのこの「かんたんドリップ」が便利なのだが、昨日、わたしがホテル不在中に夫が大惨事を起こしていた。
使い方を教えたはずなのに、なぜかズボンにまでコーヒーがかかったらしく、八つ当たりされるが仕方ない。
KANTANって何? 日本語が読めない! などと逆切りされても困るんです。これ、ニューヨークで買ったんですよ。裏には英語の説明書があるでしょ? と言っても後の祭り。不器用ですから。
久しぶりのアメリカン・チェリー。米国に移住した当初、このチェリーを食べられるのがうれしかった。日本の家族にも、毎年、贈ったものである。
そもそも、ラーメンに化学調味料(旨味調味料)が使われていることなど、わかってはいたのだ。ただ、米国はMSGに対して厳しいし、以前、何かで一風堂のラーメンはMSGフリーだと見た「気がしていた」のだ。
が、それは願望でしかなかったということに、今回は身を以て気づかされた。インドで暮らすようになって以前よりもいっそう、「強めの」食品添加物が受け付けなくなっていた我が身。
日本に帰国してからも、実は食べるものにはかなり気をつけている。とにかく、加工食品や調味料がいけない。外食、お菓子その他、食べられないものが増えた。
しょうゆ一つをとっても、「入っている」ものは、唇がしびれる。喉が渇く。目の奥が熱くなる。アルコールを摂取したときに似た感じでもあるが、それよりもたちが悪い。
食べて数十分後に、視界の一部に異物が浮遊し始め、看板の文字などが一部読めなくなった。まるで脳しんとうを起こしたときにように、視界の端がじりじりと揺らぎ、視界が狭まっていった。
慌てた。
デング後遺症か?! とも思ったが、タイミングからするに、MSGアレルギーだ。水をたっぷり飲んで、しばらく休憩をして落ち着いたが、夜になっても頭痛が残り、静かに過ごした。
化学調味料は問題ない、という人が大勢いるのは知っている。問題ない人には問題ない。取りすぎなければ大丈夫なのだろう。実際、わたしも日本に暮らしているときには問題なかった。
それに、日本は食品添加物王国だから、今更それらをいちいち否定していくこともできないのだろう。しかし、それを抜いた暮らしをすると、久しぶりに摂取した際にアレルギー反応を起こす人もいる。
思い返せば、昨年の日本旅における長崎ちゃんぽんでも、痛い目にあったばかりだった。(←懲りていない)。
ちなみに夫もこのあと、お腹がくだり、辛いものを食べたわけでもないのに、
【閲覧注意】
(お尻が焼けるようにビリビリした)
とのことである。すみません、すみません。
今までは、こんなことはなかったのに。今回は特別に、多めに入っていたのだろうか?
ちなみに、現実を認めるのは辛かったが、一風堂へ電話で確認をした。
「ラーメンにMSGを使っていますか」と尋ねたら、
「使っていますよ!」とのことだった。
がががが〜りん……。
MSG抜きで、というのは作ってもらえんのだろうか。
ちなみに入れてるところは、大さじ1杯以上も入れてるんですよ。ラーメンって。ああもう、わたしゃ何を言いたいのか。この愛憎入り乱れる思い。
だって、とんこつラーメン、好きなんですもん。嗚呼。
この日は買い物をすませたあと、野菜たっぷりジュースでデトックス。
ここ数年のニューヨーク。デトックス系、オーガニック系のジュースやサンドイッチなど、ヘルシー志向の店が増えているのは、ありがたい。
目の前でたっぷりの野菜や果物がジュースにされている様子を眺めるだけで、身体の細胞が喜んでいる気さえする。
ところで天候は、最初の数日は夏日、であった。今日は少し、気温が下がって涼しい感じか。
最低限の買い物を、などと言いながら、リストにすれば、あれこれとあり。しかし、その品揃えも、10年前のインド移住当初に比べると、ずいぶん変わった。
なくても困らないけれど、あるとうれしいもの、といったものを、買い求める。
インドでも、いろいろと手に入るようになったがゆえに。
夫がミーティングに出かけていた日。アッパーウエストサイドを散策。去年、すてきなドレスを2着も見つけた店。今年は冴えなかった。
舞台を見ながら、まだデングから全快していないことを自覚。舞台の照明がまぶしすぎて、目を開けていられず。
プレシアター・ディナーに訪れた韓国料理店。MSGフリーだとメニューにも書いてあり、もうそのあたりが店選びの基準である。
ブルコギのハンバーガー風。かわいおいしかった。
取り留めなく、引き締まりのない記録であるが、そんな感じの、日々である。