ケララ旅から戻って2週間。瞬く間に過ぎ去った。毎年この時期、特にミューズ・クリエイションを立ち上げ、2月に開催されるジャパン・ハッバ(日本祭り)に参加するようになってからは、1月2月が濃密だ。
加えてこの時期は、自身の仕事(本業)も大切なころ。数年前に始まったプロジェクト。あらゆるテーマに亘り、インドの過去十数年に亘る「年表」のような資料を作ったのを契機に、以来毎年、その前年のニュースのダイジェスト版を作成している。
この仕事は自分にとって、非常に意義深いものでもある。2015年のあらゆるインド関連ニュースを検証する。作業自体は、かなりの時間がかかるとはいえ、1年間に起こったさまざまな出来事、トレンドなどを一気に総括して咀嚼するのは興味深い。仕事でなければ、決してやらないことだからこそ、やりがいもある。
個人的に興味があるところにだけに目を向けていると、得られる物が限られる。しかし仕事を通して、普段は関心を持たない分野を見ることで、新しい視界が開ける。
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この時期はまた、毎年、義理の両親がデリーから来訪する。今年は義父一人、義継母は実の娘が暮らすシンガポールに滞在しているが、それでも都合1週間、「嫁」をせねばならない。普段は自由に「鬼嫁」をしているだけに、なかなかに、これがまた、かなりの試練だ。
無論、基本的には家事をサポートしてくれるメイドがいて、料理もその気になれば、他のメイドを頼むことができる。家もそれなりの広さがあり、家族につきっきりでいる必要はない。にも拘らず、週末の2日間が、完全に夫と義父に支配されている感があるのが恐ろしい。
ちなみに「立て込んでいる」とはいえ、毎日7〜8時間、睡眠はしっかりとっている。わたしも夫も、睡眠不足には非常に弱く、7時間を切ると、たちまち脳の働きが悪くなり、作業効率が落ちる。イラっとしやすくなり、性格も悪くなる。判断力も鈍くなるので、無駄な時間を過ごすことにもなる。
ゆえに、睡眠は大切なのだ。
ともあれ、ここ2週間の出来事を、備忘録も兼ねて書き留めておきたい。
旅から戻って翌々日の夜は、在バンガロール日本領事が主催する賀詞交換会へ出席した。今回は、いつもに増して、多くのジャパニーズ・ビジネスマンと会話ができたのが、とてもよかった。
中でも、日本の電動工具を販売する企業の駐在員の方のお話は、非常に興味深かった。
インド全国各地のローカルマーケットを開拓し、各都市の「それぞれが異国」とも思えるほどの、著しく異なる価値観に揉まれながらも、郷に入れば郷に従いつつ、その土地の在り方を受け止めて、ビジネスを展開されている。
土地土地によって価値観が異なる中、ほぼ一様に、インドの業者の人たちが「利便性の高い工具を導入し、仕事の効率が上がりすぎて、雇用を減らすことになったら、意味がない。便利すぎる工具は必要ない」と考えているという話が、実に興味深かった。
利便性だけを追求し、人員削減、経費削減を重視する先進国の人々には前時代的、奇異に映ることも、この国には、この国なりの理屈がある。そういうことは、この国に住んで、肌身に感じてみなければわからない。
特に「利便性優先」「テクノロジー優先」「経費削減歓迎」が当然だという価値観の中にある人にとっては、衝撃的でさえあるだろう。なかなか理解し難い現状であろうが、そこにも真理はある。
何もかもを「先進的に機械化」するのではなく、雇用機会を維持するために、旧態依然の作業現場を、敢えてそのままに残す場合もあるのだということ。
マハトマ・ガンディが独立運動のときに掲げたスローガン、「スワデシ・スワラジ(国産品愛用/自主独立)」が、脈々と息づいていることを思う。それは多分、モディ首相が掲げる、"Make in India"にも連なっている。
……といったことを含め、「現場の声を拾いたい」「きちんとインタヴューしたい」という強い欲求が起こった。
昨年の後半は、「マルハン家周辺の人々のインタヴューをする」と今年の目標を決めていたが、それよりもむしろ、インドで働く駐在員の人たちに、ぐっと踏み込んだ話を聞くのも、面白いかもしれない。
もちろんそれぞれに守秘義務もあろうかと思うが、日本と環境が著しく異なる国においては、可能な限り情報をシェアし合い、互いに切磋琢磨して、インドで生き延びることも、意義深いのではないか。
テーマばかり掲げて、有言不実行になるのは不本意ではあるが、「やりたいこと」の一つとして、心に留めておこうと思う。
今年の賀詞交換会はまた、日本からいらした日本舞踊の舞踊集団「美尾屋」のお二人と、二胡の奏者、木村ハルヨさんによるステージも披露された。
艶やかな衣装に、洗練された舞、古典を重んじつつも、ワールドワイドにさまざまなジャンルの音楽に合わせて、軽快なダンスが披露される。
この日のパフォーマンスがすばらしかったので、後日、日本料理店の播磨で開催されたディナーショーには、夫を誘って訪れたのだった。このときはより多くのプログラムが用意されていて、すばらしいエンターテインメントであった。
その数日後、3人をお招きして、拙宅でディナー。夫もうれしそうである。美尾屋のお二人、今後は海外での公演も積極的になさりたいご様子。
ニューヨークへの進出を熱望されていた。ニューヨークでは間違いなく、いろいろなチャンスがありそうだ。友人知人各位、ご興味があればぜひ、こちらのサイトをご覧の上、招聘を!
舞踊集団 美尾屋(みおのや) (←Click!)
本当は、もう一名男子が来訪の予定だったので、手羽、もも肉たっぷりのチキングリル、それにチキンスープやカリフラワー、インゲン豆、トウモロコシ、自家製パンと、シンプルながらもたっぷりの料理を用意した。
前菜には自家製チキンハムや鶏レヴァーの煮付けなども。ゆえに、料理は余るだろうと思ったが、みなさん肉食女子で、思いのほか、瞬く間に食べ尽されて、非常に気持ちがよかった。
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今年に入って、一気に11名もの新しいメンバーが入られ、2週間前のサロン・ド・ミューズは史上最高の38名が参加する大所帯に。先週も34名が集まり、毎週、お祭りのような賑わいだ。
メンバーの総数は、「働き組」「男組」の数を除外すれば、当初から大幅に増えたわけではない。ただ、しっかりと活動に参加されるメンバーが増えたということで、これはとてもいい傾向だと思っている。
当初は15〜20名だったのが、やがて20名以上、そして30名以上が普通となった。
NGOになってからは、徐々に体制を見直しているものの、まだまだ試行錯誤をしているとも言える。最低限のルール作りなどもきちんと行い、うまく運営し続けられるよう、今後はよりいっそう、工夫が必要である。
今のところ、まだ活動スペースはあるし、多少、人数が増えても問題はないのだが、ジャパン・ハッバを目前にして、連絡事項が増えているのに加え、名簿作り、その他諸々「事務的作業」は増えている。3月には年度末会計の作業もある。というわけで、課題はいろいろとあれど、一つ一つ丁寧に、対応していきたいと思う。
アパートメントのクラブハウスを借りて、ダンサーズの練習。今年はミューズ・クワイアが2曲を歌い、最後にダンサーズによるボリウッドダンスが披露される。
布チーム。この日はメンバーたくさんであったが、向こう数カ月内に古株メンバーが4名、ご帰任となる。本当に、出会いと別れの渦、である。
チーム紙は、新メンバーが一番入りやすいことから、人数も多い。
この日はダイニングルームから溢れたチーム紙。ホールにて活動。このごろは、ここのテーブルも常設だ。
ちなみにジャパン・ハッバ。今年は2月21日(日)に開催される。バンガロールにいらっしゃる方には、ぜひご来訪いただければと思う。
なお、午前中はギャラリーでの作品販売、ステージでのパフォーマンスは午後の部となっている。
先週の金曜日は、サロン・ド・ミューズをオープンする前の午前中、新メンバーと外部の方15名をお招きしての、ミューズ・リンクスセミナー。『インドでの食生活と健康管理』を語る。
ライフスタイル事情が日々変化するインドにあって、資料の改訂もこまめに行わねばならない。おすすめの商品リストも、パッケージが変わるごとに差し替えだ。買い物事情も、ここ数年でずいぶん変わった。Eコマースの台頭、オーガニックフード産業の更なる成長 etc.
最新情報も織り込みつつ、まず心がけるべきは「健康」なのだと、熱く語る。
昨日で、嫁する週末も一旦、終了。本日月曜日は、久しぶりに、ゆっくりと一人の時間を過ごしている。ゆえに、気持ちを整理するためにも、ここに記録を残した次第。
さて、日々、気温があがり、暑くなりゆくバンガロール。この時節もまた、体調管理に気をつけたいものである。
ミューズ・クリエイションのメンバー向けに週に数回発行している通信。その前々回に、健康管理に関する注意事項などを記した。
これは、バンガロールに暮らす方には、多分、役立つはずなので、ここに転載しておく。
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〈健康管理情報その1〉 2月から3月にかけて。空気が乾くこの季節の健康管理。
バンガロールでは、夏に向けて気温が上がり始めるのに伴い、非常に空気が乾燥するのが特徴です。雨季にはなかなか乾いてくれなかった洗濯物が、数時間干すだけででパリパリに乾いて、タオルが肌に痛いと実感されている方もあるかと思います。人間の肌も同じで、パリパリです。お風呂上がりの少し湿り気のある肌にモイスチャライザーを塗るなどして潤いを保つことをお勧めします。外出時は、日焼け止めを塗ることを忘れずに。
もちろん、こまめに水分を摂取して、身体の内部から潤うことも大切です。日陰は涼しいからと油断していると、うっかり脱水症状になります。また乾燥は目眩や頭痛の原因ともなるので、外出時も忘れず水を携行しましょう。
肌だけでなく喉を痛めやすいのもこの時期です。風邪やインフルエンザに罹患する人もあります。外出から戻ったら、手を洗い、こまめにうがいをすることで、疾患を予防できます。また『インドでの食生活と健康管理』のセミナーでもご紹介しているケララ・アーユルヴェーダの喉シロップ 'TUSSNIL"や、最寄りの薬局などで購入できるトローチ風の"SUALIN"などを常備しておくといいかと思います。
わたしは、声が大きいこともあり、喉が丈夫そうに思われますが、実は肺活量があるだけで喉は弱く、例年この時期、喉を痛めてしまいます。4年前のジャパン・ハッバでは、司会を頼まれていたにも関わらず、数日前に喉を痛めて声が出なくなり、慌てて病院にかかりました。また3年前も、ゴスペルでソロを歌わねばならないというのに、同じ事態となり、病院で抗生物質を処方してもらうなど同じような失敗を繰り返してしまいました。今年は司会もソロもないのでちょっと気が楽ではありますが、気をつけねばと自戒しているところです。
喉の痛みが軽症のうちには、ハチミツを舐める、粒胡椒を口内に入れて舐めるといった民間療法で悪化を防ぐことができるようです。
〈健康管理情報その2〉 ブリゲート・ゲートウェイのコロンビア・エイジアホスピタルは、お勧めしません!
Facebookにも記していますが改めて。今年入られた新メンバーを除いては、ほとんどのみなさんにお伝えしているかと思いますが、ミューズ・クリエイションの過去のメンバーだけでも5名の方が、デング熱を罹患された際に、上記病院で速やかな診察、あるいは適切な処置を受けられず、悪化された、あるいは痛い目に遭ったという話を聞いております。
今回もまた、メンバーのお一人が、デング熱ではないものの、似たような状況に陥っていらっしゃいます。高熱が出た際は、最初の対応がとても大切です。すぐに解熱剤を飲むのではなく(デング熱の場合は飲んではいけない薬がある)、まずは大量の水分(ココナツウォーターやエレクトラル、新鮮な果汁など)を摂取して安静にし、2日以上続く場合は、病院へ行くことをお勧めします。食欲がなくても、滋養のあるチキンスープ、リンゴなどの果実、ヨーグルトなどを食べて体力が落ちるのを防ぎたいものです。
わたしの知る限りにおいて、比較的信頼できる病院は、コラマンガラのSAGAR、カニンガムロードに近いVICRAM、リーラ・パレス向かいのMANIPALなどです。まだ他にもあると思いますが、自分が行ったことのある病院だけお知らせします。ブリゲード・ゲートウェイにお住まいの日本人は非常に多く、便利だしきれいそうだからと行ってしまう気持ちはわかりますが、いい話を聞いたことがありません。かつてわたしも健康診断に利用してはいましたが、とても信頼できなくなりました。
〈健康管理情報その3〉 風邪とインフルエンザ、デング熱の症状の違いを理解しておき、初期症状で適切な対応を。
熱にもいろいろな種類があるかと思います。水分をとって安静にすることは共通しているかと思いますが、周囲の人にうつしてしまう可能性のある風邪やインフルエンザの際には、自身の行動を気をつけたいものです。最下部に、風邪とインフルエンザの違いに関する記事を添付しますので、参考にしてください。またデング熱については、昨年わたし自身が罹患した際にレポートをまとめていますので、どうぞ目を通しておいてください。
ちなみにわたしの場合は軽症でした。ゆえに、入院中の写真などを撮って、記録に残しておりますが、普通は非常に辛い病気です。
なお、前半はデング熱に関係のない話が続くので、読み飛ばしてください。太字の部分と後半は、読んでおいた方がいいです。決して他人事ではありません。