Hot Hotter Hottestなチェンナイよりも、暑いらしい。バンガロールに暮らし始めた10年余り前を思うと、信じられない状況だ。移住当初から、都市部の夏の気温が徐々に上がりつつあることは、実感していたが、今年は、振り切っている感あり。
とはいえ、幸い我が家は天井が高く、庭に面した地上階であることから、今でもエアコンをいれず、天井のファンだけで、今のところは凌げている。隣接するITCテックパークが、高層ビジネスビルと高級ホテルを建設中ということで、多くの緑が伐採され、それを機に気温がより上がった気がするが、まだましなほうだろう。
もっとも、同じアパートメントコンプレックスでも、我が家以外の大半の世帯はエアコンをいれている。この地で住まいを選ぶ時の注意すべき点については、以前から記してきたが、改めて、過去、フリーペーパーに寄稿した記事のリンクをはっておく。
■リスクは最小限に! 生活インフラ不全対策 (←Click!)
ところでこの写真は、ホワイトフィールドにオープンしたばかりのショッピングモール VR BENGALURU へ視察にでかけたときのこと。個人的に、モールはあまり好きではないし、ほとんど買い物をすることもないので、敢えての「視察」という表現である。
ここ数年、インドのEコマースの急伸ぶりは目覚ましく、我が家の買い物事情も激変した。かつては、何を買うにもあっちの商店街、こっちの小売店、そっちのショッピングモールと、まさに文字通り「東奔西走」せねば欲しいものが見つけられなかったが、今では大半が、オンラインで購入できる。
ゆえに、外出の頻度は、かなり落ちた。便利になった分、街の変化に疎くなりがちでもある。時間の合間を縫って、敢えて外出を心がけねばとも、思っている。
このモールに関しては、今のところ6割方オープンというところか。欧米系のファスト・ファッションブランドほか、今後は高級ブランドもいくつか入るようだ。日本の無印良品「MUJI」も近々、オープンするようである。
モールからの帰路、インディラナガールに立ち寄る。コンポストなどを販売しつつ、ゴミのリサイクルなどについてを啓蒙するサーヴィス業者のDAILY DUMPが10周年を迎えたということで、足を運んだ。
数日に亘ってワークショップを実施していたようだが、わたしが訪れたタイミングではあいにくなにも行われておらず。ともあれ、新店舗を見学する。
入り口に置かれていたのは、新発売の商品、アパートメントコンプレックス用の、大型コンポストだ。以前から我が家のコミュニティにもコンポストの利用を提案してきたのだが、実現しないまま。この大型のコンポストなら、導入しやすい気がする。
わたしが初めてDAILY DUMPを知ったのは、家で出る生ゴミをコンポストにすべく、素焼きのポットを購入したのが契機だった。
そのとき購入したものも、その後に追加購入したものも、老朽化してしまい、現在は別の会社が販売するプラスチック製の容器を利用していたのだが、今回また、素焼き製を新調すべく、立ち寄った。
■芋づる式エコロジカル生活。ゴミで堆肥作り(2010年2月の記録)
今回は、新製品の4段重ねを購入。1段あたりが少し小さめなので、移動させるのに重くなりすぎないのが利点。従来は、生ゴミがなかなか堆肥化しなかったのが難だったが、いつの間にか、少々システムが変わっていた。
堆肥化を加速させるレミックス・パウダーが発売されていたのだ。これを生ゴミに毎回混ぜることで、短期間でコンポストができる。毎回、混ぜるなどの手間もなく、かつてより扱いやすくなっているようだ。
かつて、このDaily Dumpが主催するゴミ処理ツアーに参加した。そのことは、以降、幾度となく記してきた。ミューズ・クリエイションの働き組&男組でもツアーを組んで欲しいと考えていたが、現在はゴミ処理場への立ち入りも禁止されており、ツアーは事実上、行っていないとのこと。
ツアーで訪れたリサイクル現場の写真なども、店内に展示されていた。
ゴミの仕分けをするためのバッグ。このようなものを、ミューズ・クリエイションのバザールでも販売したいと考える。
ミューズ・クリエイションの「働き組&男組」で現在取り組んでいるゴミ処理問題については、近々資料をまとめ発表の場を設ける予定でいる。
さて、帰宅後、早速、新しいコンポストの準備。
最下段のみ、底がついている。枯れ葉を敷く。ここに生成されたコンポストが少しずつ溜まる。
新聞紙を敷く。この上にレミックス・パウダーを1インチほど敷いて、生ゴミを投入。生ゴミをいれるたびに、パウダーを入れて腐敗を促進する。一番上の段がいっぱいになったら、下から2段目に移動させる。
パウダーがコンポスト作りに不可欠になっているようだ。以前とどれほど差が出るのか、楽しみである。
年季の入ったかつての素焼きポットは、現在利用しているプラスチック製の容器で作ったコンポストを保存するために使っている。
環境問題、ゴミ問題、サステナブルな暮らしについては、インドで暮らしている以上、意識せずにはいられない問題だ。トレンド、などではない。
ここで暮らしている以上、日本人とて、他人事ではない。と、しつこいようだが、毎回記す。
以下、ミューズ・クリエイションの働き組&男組でのミーティングの際に、わたしが担当して作った資料を添付しておく。各メンバーからのレポートについては、きちんと整理した上で、数カ月以内に公表できるよう、準備を進める次第だ。
(1) ガーデンシティからガベージシティへ。ゴミ問題が深刻なバンガロールの背景。
◎16世紀、ケンペ・ゴウダ1世が、バンガロールを構築するにあたり、水が少ないことからたくさんの人工湖を作った。
◎18世紀、ティプー・スルタンがマイソール王国を統治していた時代に、ペルシャやトルコ、アフリカ大陸、南アメリカなどから運び込まれた木々や植物が飢えられた。
〈参考ブログ記事〉■ラルバーグ植物園ツアー。30億年前の地球の名残。
◎英国統治時代に、緑化が整い、緑豊かな高原都市に。ガーデンシティ、エアコンシティと呼ばれるインドで最も暮らしやすい都市という位置づけ。
◎湖が多いことから蚊が大量発生。1947年独立以降、湖を埋め立てるケースが増えた。埋め立てに使われたのが、「ゴミ」。コラマンガラの某アパートメントコンプレックスも、かつては湖だった。ゴミから発生したガスにより、爆発して土地が陥没したとの過去も。
◎1991年、インドが市場開放。海外資本の流入に伴い、IT企業などが徐々に進出。 都市化が進む。
◎2000年代、コールセンター、BPOで英語圏諸国からの注目を集め始める。地方からの出稼ぎ労働者や外国人駐在員も増加。センサス(国勢調査)によると、2001年から2011年の10年で人口は46%増。
・ 2001年のセンサス 約4,592,000人
・ 2011年のセンサス 約8,474,000人
・ 2016年現在 約11,560,000人
◎ゴミ処理、交通渋滞、排気ガス、洗剤などによる河川の汚染など、あらゆる社会問題が深刻化。
【ゴミが増えた原因】
・過去約20年に亘る急速な都市化と、それに伴う人口増加。
・旧態依然のインフラストラクチャー。
・ライフスタイルの変化(従来は、埋めても土に還るゴミが大半だった)
・食生活の変化:加工食品の急速な普及→ビニル袋、パッケージの激増。
・Eウエイスト(電子機器などの危険ゴミ)、医療ゴミなどの急増。
・Eコマースの台頭:過剰な梱包、パッケージの量産。
【世の趨勢】
・生活者が、ゴミ処理に対して、知識、関心を持っていない。
・カースト制度の問題などから、ゴミを扱うことに対する抵抗感のある層が多い。
・環境問題に関心のあるアカデミック層などの活動家による「温故知新」の提唱。
・サステナブルな暮らしの実現:環境に負担をかけないライフスタイル。
(オーガニック食品、FMCGの普及/ネイチャーバザールの実施など)
(2) ゴミ問題に取り組む "Daily Dump" の活動・ビジネス内容。2012年11月に坂田が個人的に参加したゴミ処理ツアー “Trash Trail”のレポート。
●Daily Dump http://www.dailydump.org
◎2009年にバンガロール在住の女性によって創設された。ゴミのリサイクル、処理に関するサーヴィス、啓蒙、商品販売。
◎Mission: Clean India
◎業務内容
・家庭及びコミュニティ、団体でのゴミ分別、リサイクル、コンポストの使用方法に関する啓蒙。充実のウェブサイト。
・バンガロールのゴミ処理事情を巡るツアー “Trash Trail” の催行。
・ゴミ処理とコンポストに関連する商品の製造、販売。
◎坂田の “Trash Trail” 体験レポート
■インドのゴミ処理を巡る旅。(2011年11月)
(3) 美化活動グループ “The Ugly Indian” の活動内容と2015年に坂田が参加した清掃とペンキ塗り活動のレポート。
●The Ugly Indian (Spotfix Bengaliru)
◎2010年より活動開始。主宰者は自身をアピールしたがらない多分30代の男性。NGOでも企業でもなく、個々人が参加して美化活動を行うことを目的としている。BBMPの労働者たちのサポートを得て、チャーチストリートの美化を行ったことが活動の契機。議論、倫理、不満、討論、イデオロギー、不要。
◎Philosiphy: Kaam chalu bandha (Stop Talking, Start Doing) 黙って、働け。
◎活動内容
・ゴミが捨てられている通り、エリアの掃除と、捨てられないようにするためのペンキ塗り。大きなゴミは業者のサポートあり。
・最近では、フライオーヴァーの橋脚の掃除とペンキ塗りが多い。橋脚周辺はゴミが投棄されやすく、広告が貼られやすいことから。Project UFO (Under Fly Over)
・ヴォランティアで参加したい人は、ネットで登録。エリア別の登録も可能。界隈での活動が行われる数日前にメールで知らせが届く仕組み。
◎坂田の “Spotfix” 体験レポート
■黙して働く。街の美化活動に参加。たとえ氷山の一角でも。(2015年11月)
(4) 家庭ゴミの具体的なリサイクル事例、コンポスト用品情報。
・2012年9月より、バンガロールでゴミの分別が開始された。
・以降4年近くたつが、居住区、集合住宅により状況はまちまち。ゴミ問題が改善された様子は、ほとんど見られない。
・日本人駐在員家庭の暮らすアパートメントコンプレックスでも、そこここで分別に関する状況が異なる。 ゴミを全部まとめて破棄している家庭も多い。
・アパートメントコンプレックスの自治会などに頼っていたのでは、埒があかない。
・個々人が、ゴミ問題に対して真摯に取り組み、自分自身でできることを行うべき。
(5) 日本人がゴミ処分で気をつけるべきこと。特に帰任時の大量のゴミ処理。
◎たとえ短期間であっても、この国、この都市に暮らし、ゴミを排出しながら生きている以上は、 社会問題に対して「傍観者」で居続けるべきではない。たとえ微力であっても、ゴミ問題は、個々人の努力で改善できる。
◎ゴミの分別を他人任せにせず、日常から意識的に。メイドなど使用人にも啓蒙。
◎日本から持ち込んで来る大量の食品、殺虫剤や洗剤などを「そのまま破棄」しない。食品は中身を取り出して分別。 殺虫剤や洗剤などは危険ゴミリサイクルへ。日用品などは寄付やリサイクルなど。
◎常日頃から、賞味期限切れの食品を貯め込まない。
◎帰任時の準備はあらかじめ行う。きちんと処分できないのであれば、日本に送り返すべき。