この小さな猫は、新入りです。
ところでわたし、少々不機嫌なんです。
なぜって、マルハンさんちの猫に関する情報は、わたしがレポートすることになっていたはずなのに、「新入りの登場」というビッグニュースを、わたしをスルーして、みほさんが何回も世間に公表しているんですもの。
しかも、動画まで!
「猫の動画を公開するようになったら、わたしも終わりだな」
などと言っていたくせに、ついに、動画ですよ! みほさん、猫煩悩炸裂なんです。
なんだかもう、責める気にもなりませんので、わたしが経緯を説明します。
話は、先週の水曜日、12月2日に遡ります。まるおさんは、ムンバイ出張に出かけている最中で、ROCKYがまるおさんのかわりに、デスクで仕事をしたりなんかしていた、翌日のことでした。
外出先から帰宅する途中の車の中で、マルハンさんちのドライヴァーのアンソニー(頼りになるお方らしいです)が、みほさんに言いました。
「マダム。地下駐車場で、今朝、子猫を見つけました。とても元気で、かわいいんですよ。一度、見てみませんか? チャックとは違って、走り回ってますよ」
と、言います。それは紛れもなく、チャックと一緒に産まれた兄弟のうちの一匹でしょう。母猫はROCKYや、多分NORAをも産んだであろう、JULIEです。
「でも、チャックが死んだばかりだし、もう、子猫を保護することは、考えられないよ」
と、みほさんは言います。しかし、アンソニーさんは譲りません。
「一度、見るだけでもいいじゃないですか。あの猫なら、大丈夫ですよ」
いつもは、ゲートのところで車を降りて、遊歩道を歩いてアパートメントに戻るみほさんですが、仕方なく地下の駐車場まで行きました。
地下の駐車場の一画では、アイロン・レディが、アイロンをかけています。マルハンさんちの衣類のアイロンもかけてくれているおばあさんです。
アイロン・レディがニコニコしながら、傍らの椅子を指差します。そこには、なんとも可愛らしい子猫が、うとうとと寝ているではありませんか!
みほさんが近寄ると、目を開いて、ミャアと鳴きます。みほさんが頭を撫でると、逃げることもなく、うれしそうに、みゃおみゃおと言います。
その様子を見たアンソニーが、言います。
「マダム、この猫、かわいいでしょ? NORAとROCKYに比べると、ずっとかわいいと思いませんか? マダムのことも、気に入っているみたいだし……。GIVE ME A CHANCEって、言ってますよ!」
みほさんは、とても複雑な気持ちですが、そのかわいさには、瞬間的にハートを射抜かれていました。それにしても、NORAやROCKYよりもかわいいだなんて、NORAやROCKYに失礼ですよね!
そもそもアンソニーは、猫が大嫌いだったはず。みほさんとまるおさんがNORAを飼うことにした時、彼は言ったのですよ。
「僕はデヴィル(悪魔)よりも、猫の方が怖い」と。
なぜなら、猫は引っ掻いたり、噛んだりするから、だそうです。でも、この1年半のうちに、アンソニーも少しだけ、猫のことが嫌いではなくなったみたいです。
ともかくは一旦、おうちに連れて帰ることにしました。いずれにしても、ワクチンは接種しておいた方がいいと思ったからです。
翌朝、病院に連れて行くまでの半日程度の間にも、みほさんは節操なく、写真をたくさん撮っています。
子猫がかわいい時期は本当に短くて、あっという間に大きくなる。
ということを、ROCKYの成長過程で実感しているので、今のかわいいうちに、写真を撮っておきたいんだそうです。まだ飼うかどうか、まるおさんとも相談していないのですけれどね。
こんな様子で見つめられると、心が射抜かれてしまうのも、仕方がありませんね。それにしても、この子はとてもくつろいでいますね。なかなかの度胸がある猫のようです。
ワクチンの接種だけですので、近所にある公営の動物病院に連れて行きました。ところが、この病院は閉鎖されたらしく、車で巡回しているドクターがいるだけです。
ずいぶんワイルドな環境ですが、接種される2種類の駐車は、きちんとした病院のものと同じですので、取り敢えずは、ノープロブレムのようです。
それにしても、ワイルドすぎて、むしろ風情のある「待合室」ですね。
あくびをするときに、舌を出すんです。その様子がまた、かわいいですね。
写真だと、ROCKYの小さい時とそっくりなのですが、この子猫のほうが、頭の形がまるいんです。それから鼻は、ROCKYの方が、プラスチックみたいでかわいいんだそうです。わたしには、意味がよくわかりません。
これは、今年1月の写真です。ROCKYがみほさんに保護されて数日後の写真です。小さいですね〜。
ROCKYに見つかってしまいました。ROCKYは、困惑して、硬直しています。
みほさんが、子猫にかかりっきりなせいか、NORAとROCKYは、ずいぶん、白けてます。
次の朝、ROCKYと子猫を、きちんと、書斎で対面させました。
子猫は怖いもの知らずの様子で、ROCKYに近寄ったりするのですが、ROCKYは、びっくりして、フリーズしています。このような顔をして、しばらくの間、硬直してたんですよ!
みほさん、結構、悩みました。フットワークが軽くて、クリスマスツリーのオーナメントを巧みに蹴ったりしますから、「ペレ」にしようかとも思いましたが……。
どうしても、ついつい、「チャック」という名前がでてしまいます。でも、死んだばかりの子猫と同じ名前にするのはよくないですよね。
とういうわけで、JACK、にしました。
「チャック」に濁点がついた、「ヂャック」じゃないですよ。
「ジャック」です。
ジャック・スパロウのジャックです。かつて東インド貿易会社の船乗りだった、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャックです。
ちなみにジャック・スパロウに扮したジョニー・デップのアイラインは、インドの自然派コスメブランド、BIOTIQUEのカージャルなんですよ。カージャルというのは、オイルやハーブが配合された、目を守るアイラインなんです。インドでは昔から使われているものなんですよ。
詳しくは、みほさんの昔のブログをみてくださいね。(←Click!)
いけない。また話が長くなりました。
先週の金曜日は、ミューズ・クリエイションのお姉さんたちにも抱っこされていましたよ。ROCKYが小さいときは、人見知りが激しかったけれど、JACKは、人懐っこいですよ。
でも、書斎のバルコニーの、小さく隔離されたスペースで過ごしたのは土曜日まで。日曜日には、サンルームに移動しました。以前、ROCKYがずっと過ごしていた部屋です。
ちなみに現在、ROCKYはダイニングルームのロフトで寝ます。NORAは、みほさんたちの寝室です。
このところ、朝晩冷え込みましたから、まるおさんがNORAにブランケットをかけてやります。過保護なんですよ。
実際にきちんと対面したのはROCKYだけですが、もちろん、NORAは気配で気づいています。
最初は気になって、近くで見たりもしていたのですが、ROCKYが来たときとは違って、あまり接近しません。ROCKYとJACKの様子を、ただ遠くから伺っているんです。
JACKは、まけじと対抗していても、怖いと耳をパタンと畳むのです。かわいいですね!
日曜日以来、この数日というもの、一日に数回、みほさんが庭の小道で気分転換にプチ・ウォーキングをする間、2匹を遊ばせています。追っかけっこをしたりして、楽しそうですよ。
でも、JACKは元気そうですが、お腹の調子があまりよくありません。ワクチンを接種して、虫下しも飲ませたのですが……。チャックのことがあるだけに、みほさんは不安が拭えません。
ドクターに相談したら、数日様子を見るようにと言われました。猫を飼うのも、たいへんなことですね。
見た目はROCKYにそっくりですが、性格はだいぶ違うようです。ROCKYよりも、もっと怖いもの知らずの強気なやんちゃ猫になりそうな気配です。
動きは、かなり敏捷性があり、運動神経がいいんです。ROCKYもよく動いていますが、今ではどっしりしていますからね。
JACKも、ROCKYみたいに太ってしまうのでしょうか。デブジャ、になってしまいますね!
どんな猫であれ、元気で大きくなってくれればいいです。と、みほさんは言っています。もはや、お母さんですね!
さて、NORAはといえば、JACKのことを……。
そんな次第で、新しい子猫、JACKがやってきた1週間について、まとめてレポートしました。
まるおさんはといえば、少し困惑気味です。なにしろ、みほさんは、まるおさんがかわいがっている近所の野良猫、ジンジャーとインヤンを飼うことに反対していたのに、勝手にJACKを連れて来ていたというのもあります。
でも、インヤンとジンジャーは、小さい時、逃げ回って、決して近づかなかったんです。餌をもらいはじめてからは、しつこくまとわりつくようになったんですけどね。
ROCKYとJACKが他の子猫と違ったのは、みほさんが近寄っても逃げずに、すんなりと抱き上げられたところです。
無理矢理、連れて来るのは、いやなのだそうです。NORAも、勝手に住み着いた猫ですからね。
とはいえ、この先、マキシマム3匹に達したマルハン家、どうなるのでしょう。
それでは、みなさん、ごきげんよう。
追伸:
猫動画をアップロードします。ずっと唸っているNORA姉さんが、ちょっと怖いです。でも、JACKも、途中で大きな声を上げて応戦しているんですよ。あんなに小さい身体なのに、大声がでるんです! びっくりですね。