インドのヘアオイルに関するコメントをいただきましたので、これを機にインド人女性の黒髪とヘアオイルについて、説明しておこうと思います。
インド人女性の黒髪の美しさは、本当に見事なものです。多くの女性が、豊かでしっかりとした髪を持っています。もちろん、人種的、先天的なものだと思いますが、日ごろのお手入れも関係しているでしょう。
昔の日本人もそうでしたが、インドの女性は多くは、毎日洗髪していません。最近でこそ、埃っぽい都市部に住まうと髪が汚れてしまうので、頻繁に洗う人も増えているようですが、数日おきというのが一般的のようです。
この写真は、以前、慈善団体が運営する学校を訪問したときのこと。貧しい子供たちに無料で教育を提供している施設なのですが、生徒たちは貧しいながらも身だしなみをきれいに整えています。
特に高学年の少女たちの、きれいに束ねられた髪とカラフルなサルワールカミーズ(民族衣裳)は印象的でした。
最近では髪を短く切ったりウェーヴをつけたりする人もいますが、こうして昔ながらのストレートな髪を長く伸ばし、三つ編みにしている人も多く見られます。
その小さな頭のどこからそんなに髪の毛が生えてくるの? というくらいの、しめ縄級の三つ編みを見るにつけ、うらやましくなります。
インドは貧富の差が激しいため、みながみな、品質のよいシャンプーを使っているわけではありません。コンディショナーに至っては、普及しはじめたのはここ数年のこと。
ごく限られたブランドがコンディショナーを販売しており、従来は主にシャンプーだけでした。
シャンプーだけで、どうしてこれほど艶やかな髪を実現できるのか。その理由は、「オイルの存在」にあります。
アーユルヴェーダを紹介した際にも触れましたが、オイルはインドの「美容と健康」に欠かせません。各種植物からとれるオイルを、用途に合わせてさまざまなハーブと配合しています。
一番上の写真は、市井の商店や薬局などでよく見かける安価なヘアオイルの代表的なものです。これらは低所得者層の人たちにも入手できる値段(数十円から)で、一般に普及しています。
中でも最も一般的なのは、青いボトルに入ったココナツオイル。男女を問わず、このココナツオイルはヘアオイルの定番です。ココナツオイル協会も、雑誌にこのような広告を出しています。
暑苦しいくらいの髪ですよね。こういう広告は序の口で、インドは怖いくらいに髪のヴォリュームを強調する広告が少なくありません。
ヘアオイルは一般に、ココナツオイルをベースにしていますが、ココナツオイルに髪によい果実やハーブを配合したものもよく見られます。まず、代表的なものに、アムラAMLAが配合されたオイルがあります。
アムラとは、ヴィタミンCをたっぷりと含んだ果実です。非常に酸味が強いため、そのまま食することはできませんが、ドライフルーツにして砂糖がコーティングされたものが売られています。また、ジュース用の果汁なども売られています。
アムラの他に、ハイビスカス、ヘナ、シカカイ、サンダルウッド……と、髪によいとされる成分はさまざまにあるようです。
さて、オイルの使用法ですが、適量を器にとり、人肌に温めます。電子レンジ、湯煎、なんでもOKです。温めたオイルをコットンに浸し、髪をわけながら、コットンを地肌にこすりつけてオイルを吸収させます。
その後、指先の腹で地肌をマッサージします。
30分ほど放置して洗い流すのがよいとされているので、わたしはシャワーの前にマッサージしていますが(といってもごく稀にですが)、そうするとシャンプーだけで、コンディショナーを使わなくてもしっとりと仕上がります。
しかし町中では、髪をテラテラに輝かせ、ココナツオイルの匂いをプンプン漂わせながら歩いている人もいますので、一日中オイル漬けにする方法もあるのかもしれません。
これはロレアル系のヘアケア商品、ガーニエの広告。フランス発のブランドですが、すっかりインド的な広告です。だいたい、あり得ません。壁のように平べったく固定された黒髪。海苔ですか? と突っ込みたくなります。
インドには昔ながらの自然派コスメティクスが多いのですが、このような海外ブランドの商品が、人気を集めているようです。
ちなみにインドでは、オイルを使ったヘッドマッサージは一般的。町中の庶民派から高級ホテル内の店舗まで、あらゆるビューティーサロン、ビューティーパーラーで受けられます。
ヘアカットだけでなく、ヘッドマッサージ、ヘナによるトリートメント(染色)、ペディキュア、マニキュア、フェイシャルなどは、インドの「基礎的な美容」に欠かせない要素なのです。
ビューティーサロン、ビューティーパーラーについては、まだまだ話題がありますので、後日ご紹介します。
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