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連休最後の日。 夫は午後から、書斎に籠もっている。 10年前に亡くなった母のメモワールを、 インドに住む姉が自費出版するという。 そのメモワールに載せるための原稿を、夫は今、書いている。 子供時代の、母との思い出を、じわじわと、思い出しながら。 時に、クスリと笑いながら。 時に、深いため息を付きながら。 わたしは、キッチンに立ち、彼の祖国の料理を作る。 さまざまなスパイスの匂いが、部屋中に立ちこめ... Read more →
シルクロード、荒野、平原、キャラバン、 中央アジア、遊牧、ジプシー、流浪……。 そんなモチーフが散りばめられた、レストランにて。 聞いたことのない、懐かしい曲に包まれながら。 こんなにも潔く、歩いているのに。 何を見ても、何かを思い出す。 何を聞いても、何かを思い出す。 処分できない記憶の蓄積が、 いつもすぐそばにあり、 ふとした拍子に、あふれ出す。 ほのかに漂ってくるガラムの香りに、 視線が遠く... Read more →
小さいけれど、ちょっと重たい小包が、日本から届いた。 妹からの、バースデープレゼントだ。 包みをほどくと、WEDGWOODのロゴが入った、青い箱。 (まぁ! 何かしら……)と思いながら、蓋を開ける。 あらまあ、かわいい象の絵柄が入った小皿が5枚! なんてインドな! 冷たくて、きめが細かくて、滑らかで、輝いていて、 触れれば肌にしっとりとなじむ、上質の陶磁器。 ただ美しいだけでなく、割れにくい強さ... Read more →
もう最近では、日毎に日が短くなり、 ヨガを終えるころ、太陽が昇り始める。 太陽に背を向け、蓮華座で、 目を閉じて、ひととき瞑想する。 しばらくの、無心ののち、ゆっくりとまぶたを開く。 窓辺の様子が、黄金色の影絵となって、 ドアや壁に映し出されているのが、 目に飛び込んでくる。 温かな光に、全身を包まれながら、 深く静かに、一日が始まる。 Read more →