今日は、父の命日だった。あれから三年。
あの年の春から初夏にかけては、友人の死、父の死と、祖母の死と。
「おはよう」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
「おかえり」
「ただいま」
「いただきます」
「ごちそうさま」
「おやすみ」
それらが言える毎日を、身近な人々の終焉を目撃して、有り難く思った。
朝、ガネイシャ像に水を供え、香を焚き、父の形見の小さな般若心経を開き、唱えた。
夫の、新しい眼鏡を買いに行った。
検眼は先週のうちにすませていて、レンズは届いているとのこと。フレームを選ぶために同行する。
MGロード沿いの古いショッピングモールに入っているLawrence & Mayo。それにしても驚くのは、フレームの価格差。
国産ブランドは1000ルピー前後からあるのだが、海外の高級ブランドものは、当然ながら10000ルピーを軽く超える。
国産でも、かなりいい感じに見える。でも、よくよく比べてみると、いいものは、いい。
眼鏡は顔の一部です。
夫は常時、眼鏡をかけているから、かけ心地、見栄え、ともに一番気に入ったものを選んでほしい。というわけで、あれでもない、これでもないと、1時間ほども試して、選んだ。
とてもいいものを見つけられた。今回は、海外ブランドのものを購入したが、多分あと数年のうちに、国産でも十分に優れたもの(今でも優れているには違いないのだが)が作られるようになるに違いない。
レンズの加工は1時間ほどでやってもらえた。サーヴィスもいいし、フレームの種類も多いし、わたしも今度、新しい眼鏡はここで作ろうと思う。
眼鏡の仕上がりを待つ間、Tiger Bayというシーフードの店へ、ランチを食べに出かけた。
エビのグリルと、ポムフレット。
近所の魚店を開拓しようと思いつつ、まだ足を運んでいない。
近々、探検しなければ。
それにしても、休日の昼間のアルコールは、回る。
すっかり、眠たくなる。
帰りに、バンガロールクラブに寄った。
クラブ内にはカルナータカ州政府が運営するHOPCOM (Horticultural Produce Marketing Committee)という青果店や、我が家御用達のオーガニック野菜を扱うNAMDHARIS、各種食料品が揃うNILGIRI'S、そしてスーパーマーケットのFOOD WORLDなどが、それぞれ小規模ながらも入っている。便利である。
HOPCOMでマンゴーを1ダース買った。
今はもう、どこで買ってもかなりおいしいマンゴーを手に入れることができる。いろいろな種類があって、それぞれにおいしさがあるが、わたしたちはやはり、王道ながらアルフォンソマンゴーが好きだ。
それからライチーもどっさりと。幸せな果物の季節。このごろはもう、朝な夕なにマンゴー&ライチーだ。
●ヴァラダラジャン家でサンデーブランチ
IIS(インド科学大学)のキャンパス内にあるヴァラダラジャン宅で、今日はランチだった。
IISは緑いっぱいで、バンガロールの自然がたっぷりとそのままにある。
今日は、ラグヴァンの弟のマドヴァンとその妻のアナパマ(7月には出産予定)、それからファミリーフレンドのラナとディピカ、そしてロメイシュとウマが集った。
コーヒー&ティーの専門家であるラナは、去年、コーヒーの産地クールグにコーヒー園を買った。その他にも、コーヒー豆を他国から輸入し、販売を始めようとしているところ。
南インドはコーヒーの産地で、特にカルナータカ州はその生産高も高いのだが、なかなかおいしいコーヒー豆を購入することができない。
よくない豆やチコリーなどが混ぜられていることも多く、だからラナからローストしたてのコーヒー豆を譲ってもらったときにはうれしかった。
昨年のティーテイスティングパーティーに続いて、近々コーヒーテイスティングパーティーを催そうかとも思う。
ちなみにラナのコーヒー以外で気に入っているのは、マレシュワラムのコーヒー豆専門店の豆、それからClasic Coffee。
Clasic Coffeeは、MGロードのコーヒーハウスで買える。
豆ではなく、パウダーだけれど、これは結構、おいしい。
以前はスーパーマーケットでも売っていたけれど、最近は見かけず、だからコーヒーハウスで何となく尋ねて、これを出されたときにはうれしかった。
ダイナミックなメインディッシュだ。
肉はラッセルマーケットで調達し、数時間マリネしたものをオーヴンで焼いたという。
このほか、パスタやサラダ、インゲンなど、コンチネンタルなメニュー。
パスタのレシピは、わたしが貸していたイタリアン・パスタブックから得たらしい。
わたしたちは、結構、レシピの交換などもしているのだ。
わたしが米国で仕入れた菓子やパンのベイキング・ブックなども、彼女は喜んで使っている。
この間、ラグヴァンが学会で米国に出張したときには、イタリア製のパスタマシンをお土産に買って来ていた。
この次は手作りパスタに挑戦するらしい。
それはそうと、彼らは結婚して14年。
一度もけんかをしたことがないらしい。
彼らの、争いごとのあまりにもなさそうな気配に、疑問に思ったウマが、以前尋ねたら、「けんかはしたことがない」という返事だったことのこと。
先日、我が家での夕食の席でその話題になり、ウマもわたしも、ロメイシュもアルヴィンドも、4人して
「信じられないよね〜」
と騒いだのだった。
「ぼくたち、14時間、けんかせずにいられるかどうかも、難しいよね!」
とアルヴィンド。
「ロメイシュは、喧嘩をしたら(4階から)2階に逃げるのよ! わたしは逃げないで、ちゃんと解決をしようっていうんだけど、彼は逃げるのよ。いらいらするわよ!」
とウマ。
「どうして、けんかせずにすむんだろうね」
と、皆で首を傾げるばかりだった。
スジャータとラグヴァンを見ていると、本当に不思議。それぞれに、穏やかに見えても意志が強く、自分の意見をしっかりもっている二人なのに、まったく衝突しないなんて。
不思議。
そんなわけで我々夫婦と彼ら夫婦。ライフスタイルや人生観、性格その他はかなり異なるが、食に対する関心や嗜好は、結構、共通している。
デザートのチョコレートムースも美味。たっぷりと味わって、もう、夕食は食べられないくらいに。
マンゴーとライチーとで、十分だ。