「今日はリーシとランチを食べたよ」と夫。
リーシは、夫のMBA時代のクラスメイト。ムンバイ出身の彼は、夫と同様、米国の大学に進学し、米国で就職した。そして我々より一足先の半年前、インドにビジネスチャンスを求めて、妻と二人の子供と共に帰国した。
「仕事の話とは別に、僕は彼に、インドに移住して以来の心境について尋ねたんだ。彼は言ってたよ。最初のころは、気分が大きく上下する日が続いたって。なんでこんなところに戻って来たんだ! って、大声で叫びたくなる日もあれば、インドはやっぱり祖国だ、心地よい場所だと、思える日もある。
この半年間のうち、米国に3回、出張に行ったらしいんだけどね。三度目に訪れた時に初めて、<ここは異国だ> って思ったんだって。インドにいると、<人は人生のために生きている>という気がするけど、アメリカに行くと、<人は働くために生きている>っていう気がするんだってさ」
リーシも夫も、人生の半分以上を米国で過ごした。その彼らが、それぞれに思いを抱き、故郷に戻った。
今のインドには、彼らと似た経歴を持つ若い世代が、目まぐるしい勢いで増え続けている。彼らの働きが、この国の将来をどのように変えていくのだろう。これからの人生、わたしはその過程を、つぶさに眺めていくのだろう。