インドを語るときは、インドを知らぬ人の立場を慮って、わかりやすく説明することを心がけているが、ごく限られた文章の中で背景を解説しつつ、主旨を伝えることは、なかなかに難しい。
編集者の人から、今回は電話で質問を受け、そんな風に受け取られてしまうのかと、目から鱗が落ちる思いがした。自分の感覚を「日本」に戻さなければ、伝わる文章を書けないのだと改めて思った。
一方で、日本に住む読者に対して、わかりやすいように例を挙げて欲しいといわれても、挙げられる例がない、あるいは思い浮かばない。むしろ、その例の印象が強くなって、実態が歪んで伝わってしまうことに懸念を覚える。
日本を離れて12年。とはいえ、日本語で勝負している身の上である。あらゆる方面において、切磋琢磨を続けなければ。