英国統治時代の面影が色濃く残り、薄汚れて汚くもあり、他都市に比べて近代化が遅れていて、しかし独自の文化を守り続けていて……。
噂に聞いていたのとは、かなり異なる印象を受けている、コルカタ。
「百聞は一見にしかず」
それはわたしの、常に心にあることではあるけれど、そのことを改めて思い知らされる。知らないことは、語れない。歳を重ねれば、殊更に。
自分で見聞きしたことをまずは頼りに。
振幅の激しい世界の双方を眺められることの愉しみ。
守られた場所にある、美しいホテルの、美しいプール。一歩外を出れば、薄汚れた旧市街の、しかし古くてなお情趣ある建物の連なり。まだ、今日はほとんど街を歩いておらず、車窓からの印象ばかり。
新しい場所の、その新しさと整然としたさまが、意外。こんなにも、爽やかな空気に包まれた場所があるなんて。
新しい場所よりも、個人的には古い場所を訪ねたい。昨日、モナが教えてくれた、バルコニーのメタルワークが美しい、極めて古い町並みなど。あのような建築物のたたずまいが、心の琴線に触れる。
いつかまた、この街には来ることがあるだろう。歩きやすい靴を履き、身軽なようすで、そのときは街を彷徨しよう。