金曜の夕方の飛行機は込んでいる。主にはビジネスマンで埋め尽くされた機内。いつもは身動きが取りやすいよう通路側の席を取るが、あらかじめ電話でチェックインをするのを忘れていて、空港に到着したときには窓際しか開いていなかった。
本当は外が見られる窓際の席が一番好きなのだが、途中でトイレに立ちたいときなどに面倒なので、基本的には避けている。
が、たまには、いいものである。
上空からの光景は、ぼんやりと物思うにふさわしい。
それにしてもわたしは、なぜこんなにも、飛行機に乗っているのだろう。
航空会社に勤めているわけでも、世界を股にかけるビジネスマンでもないのに。
と、ふと思う。
また、一年が終わろうとしている。
今年もまた、目先のことを片付けて、与えられたことをこなして、過ぎ去っていった一年だった。
4度目のクリスマス。
この国には、5年住もうと、10年住もうと、理解に及ばないことがあふれているだろうと、思う。
「インド通」を自称する人がいたならば、その人を信じない方がいい。
そう思えるくらいに、この国は、広くて深くて複雑で、わからない。
わかったつもりでいても、足下をすくわれるような、出来事に遭遇する。
毎日のように、なんのためだか、こうして日々の断片を記録し、公開して3年。
折に触れて過去の記録を読み直せば、
「これはわたしが書いたのか?」
と、自分でも覚えていないようなことが無数にある。
熟考することなく、「記録しておかねば」の衝動から、書きなぐるように、猛スピードで日々を綴る日々。
それは、消化されていない経験である。
消化されぬまま、記憶されぬまま、轟々と音を立てて流れ落ちる滝がごとくの日々。
こんなことで、いいのだろうか? 誰に問うているのだろうか?
忘却するには惜しいことが多過ぎて、実らせるべき事柄について思いを馳せる空の上。