2008年のカウントダウンは、タージ・ウエスト・エンド (THE TAJ WEST END)で迎えた。
ムンバイのタージ・マハル・パレスに比べると、ずいぶんこぢんまりとしているけれど、コロニアル様式の白い建築物が、豊かな緑に映えて美しいホテルだ。
インド移住当初に滞在していたこのホテルにはまた、さまざまな思い出が詰まっている。3年以上もすぎて、顔なじみのスタッフはずいぶん減ってしまったけれど、しかしドアマンのおじさんは相変わらずで、にこやかにドアをあけてくれる。
2005年11月にインドへ移住して以来、振り返れば4度の年越しを、ここバンガロールで過ごしたことになる。毎年、これから先一年の在り方について、あれこれと思い巡らすが、毎年が、不完全燃焼のままに幕を閉じる。
とはいえ、身の回りの人たちが健康で、なにはともあれ、それなりに幸せな日々を生きているということだけでも、有り難いことである。
少し華やかに、金糸の刺繍が施された絞り染めのサリーだ。
近寄って見ると、その絞りの精緻な作業のすばらしさがよくわかる。
手工芸の粋である。
以前も書いたが、絞りのサリーは着崩れしにくく、シルクの肌触りもやさしく、着心地がよい。
最近はパーティーの席でも、サリーを着る人が減っていて、他の人の装いを楽しめないのが少々物足りない。
さて、ホテルに到着したのは午後8時過ぎ。ニューイヤーズ・イヴならではの多彩なブッフェと、各種ドリンクが用意されている。まずはいつものように、スパークリングワインで乾杯をし、前菜を味わう。
チーズやスモークサーモン、ハムなどを少しずつ。タンドーリで焼かれた魚や肉類の香りも食欲をそそる。
「こんなものでお腹いっぱいになってしまいたくない」
と思いつつも、我々好物のストリートスナック「チャート」なども味わう。意外なことに、アルコールのおつまみとしてもいけるのだ。
焼きたてのマルガリータ・ピザや、ジューシーなカニ、エビ類が美味であったが、本日、最もおいしかったのは、子豚のグリルであった。
一方、デザートは種類が多いばかりでどれも今ひとつ。ともあれ、食事で十分にお腹いっぱいで幸せな気分である。
食後、カウントダウンまで時間があったので、ワインを飲んだり、用意されていた仮面や帽子をかぶって阿呆に記念撮影をしたり、時にダンスフロアで踊ったり、またテーブルに戻ってコーヒーを飲んだり、来年の抱負を語り合ったりして過ごす。
そしていよいよ、2008年も終わり、迎える2009年。直後に花火が打ち上げられ、再びスパークリングワインで乾杯! こうして毎年、夫と共に、平和な気分で新しい年を迎えられることに感謝しつつ、天を仰ぐ。
それぞれの、思いを、野心を胸に抱いて、満天の星空を見上げながら、何はともあれ、ありきたり、だけど、LOVE & PEACE。