毎週金曜恒例のサロン・ド・ミューズ。先週も、メンバーが集い、切った貼った歌ったの午後。わたしはといえば、今週は軽めに「風味豊かな大人のサブレ」の試作品を作る。
バタークッキーを作る要領で、サクサク感を出すため、小麦粉のほか、コーンパウダーを用いる。それからベーキングパウダーを少々。
風味の決め手はオレンジピールやラム酒漬けのレーズン、そしてクルミなど。
日本のレシピに従ったら、甘さ控えめすぎた。試作3回目にして、いい感じの味わいに達したので、今後はこれを「定番」に加えようと思う。
菓子作りにせよ、料理にせよ、「これだ!」と思ったレシピは、少なくとも3回は試作が必要だといつも思う。
特に国境を越えると、素材の持つ特性が異なるため、他国のレシピではうまくいかないこともあるのだ。
加えて、自分の嗜好もある。それに近づけるためにも、一度失敗したからといって諦めず、何度か試しすべし、である。と、ミューズ・クッキングクラスのころからお伝えして来た。
ちなみに左上の写真は2回目。オレンジピールと砂糖の量が少なすぎたので3度目には増量。おいしくできた。
それはそうと、一番上の写真(クリックすると、大きめ写真が出てきます)。
先々週のサロン・ド・ミューズで、メンバーの女性が義理のお母様より伝授されたポーチを紹介してくれた旨、記した。
あのポーチ作りにはまり、家にある端切れを集め、空いた時間を縫って縫った作品がたっぷりになった。
用途のなかった小さな端切れや、その他、見過ごされて来た布の端っこが、小さく新しく生まれ変わることで、まったく異なる表情を見せてくれるところに、創る楽しさがある。
一部がほころびていたマットや、洋服を作った時の残りや、いただきものの端切れなどが、あまりにも簡単な作業でたちまち、息を吹き返す。
今後、サロン・ド・ミューズで販売し、ミューズクリエイションの活動資金、もしくは慈善団体への寄付金に回す予定だ。
使用目的などの詳細は、MiPhone@Indiaに記しているので、見ていただければと思う。
庭の大改造工事は着実に進んでいる。
「伝統的な工法」は、見ていて飽きず、楽しい。
相変わらず「マダムは、見た!」状態で、書斎の窓から見下ろしたり、台所のドアから眺めたり、庭の反対側から覗いたりと、我ながら、鬱陶しい存在感だ。
が、資材を搬入するのには屋内を経由せねばならず、そらもう、たいへんだ。
長い材木やレンガ、セメント、砂利、タイル、瓦……と、あらゆる資材が一日に何度も運び込まれる。メイドのプレシラは掃除に疲労困憊。
今月は特別手当を支払うので、どうぞがんばって。と励ましつつ、我も自ら掃除をせねば、追いつかない。
いったい、どれほど大掛かりな工事なのか、と思われそうだが、そらもう、かなり大掛かりだ。
我が家の庭は、屋内の居住面積とほとんど同じ。相応の広さがあるのだが、今ひとつ有効利用できていない空間が多かった。
そこを一挙に大改造して、ライフスタイルそのものさえを変えてしまおうという、大げさな企画なのである。
完成が待たれる。
昨日、土曜の朝は5時半起床。去年のちょうど今ごろも開催されたラル・バーグ植物園の早朝散策ツアーに出かけるためだ。
夫が創設に貢献した「MIT(マサチューセッツ工科大学)同窓生のクラブ@バンガロール」の企画である。
夏休みの今の時期は、同窓生以外にも、夏休みで帰省している現在の学生も参加しやすいだろうとのことでの開催だ。
しかし、今回、学生の数は少なくわずか2名。あとは、バンガロール在住の同窓生が主であった。わたしは毎度、同窓生ではないが、妻なので参加である。
もちろん、他のメンバーも、伴侶のどちらかが同窓生であれば参加できる。
ツアーの内容は、去年とほとんど同じなので、詳細は割愛。写真だけでも、載せておこう。
今年も、香水の原料となるイランイランが開花していた。本当に、いい香り。庭に植えられないものかしら。
日本企業と共同での新たなビジネスを展開中で、日本へ訪れる機会も多いとか。やめときゃいいのに、つい、マルチ・スズキの暴動の話を持ち出す。
かなりの衝撃を受けられていた様子。ともあれ、あの事件は、同業者でなくとも、インドに進出する日本企業にとっては、かなりのインパクトであるに違いない。
インドに限らず、海外進出の際に乗り越えねばならない壁、受け止めねばならない事実、異文化に対する敬意について、思いを巡らす。
ところでこの巨大な樹。樹齢200年ほどの「ホワイトシルク・コットンツリー」だ。この樹は軽いため、梱包材などに使用されるらしい。それより楽しいのはこの木の実。
その名の通り、滑らかにシルクのような、綿を詰めているのだ。そのフワフワ感の気持ちいいこと。枕の綿などにも使われているらしい。
さて、ゆっくりと3時間近くをかけて植物園を巡り、今年もまた、人気のローカルフード、MTRで朝食を。
ここのドサはギー(精製バター)が多すぎて、相当にヘヴィーなのだが、ついつい注文。
ところで、ラル・バーグ植物園ツアーの詳細は、昨年の記録に記している。「特筆すべき事実」 もそれなりに記しているので、どうぞご覧いただければと思う。
■ラルバーグ植物園ツアー。30億年前の地球の名残。 (←Click!)
■知人宅に招かれ、コルカタ(カルカッタ)料理でもてなされ、肉を語る。
昨日は、ツアーのあと、毎週土曜日恒例のアーユルヴェーダマッサージへ。思えば「男からマッサージを受けるのはいや!」と頑に拒んでいたマイハニーだが。
アーユルヴェーダの効果の高さ、心身ともに利く感じは、本当にすばらしいリフレッシュなのだ。というわけで、今週も、1時間のリフレッシュ。
帰宅後はのんびりと……といきたいところだが、今日はいつもに増して資材搬入が多く、大工衆が行ったり来たり。2階にいても何かと気になる。
いっそ台所にいようと、サブレを大量に作り、夜のお呼ばれディナーに持参する。
昨夜は、知人のアナミカに招かれた。
2年前に米国から戻って直後から、NGOを立ち上げ、公立学校の子どもたちの教育支援をしている彼女だ。詳しくは、こちらに記録を残している。
■貧困層の子らに英語とコンピュータ教育を。 (←Click!)
彼女と初めて会った時、学校訪問のため、郊外へドライヴの道中、あれこれと話をした。ハズバンドのプラディープはサイエンティストで、バイオテクノロジー関連の仕事をしている。
ハーバードのメディカルスクール卒ゆえ、彼も長らくボストンにいた。
アルヴィンドの母校MITも同じボストンだという以外にも、いろいろと共通点があったことから、一度家族で会いましょうと言われていたのだった。
初対面ながら、たちまち意気投合して語り合う彼ら。義姉スジャータと、その夫のラグヴァンとの共通項も多く、今度はみなで会いましょうとの話にもなった。
他のゲストたちとの会話も弾み、いい夜である。
それはそうと、アナミカとプラディープ。
わたしたちが出会って5年後に結婚したのだと知るや否や、
「僕たちは、出会って5日後に結婚したよ」
とのこと。見合い結婚かと尋ねたところ、
「まあ、そんなところ」
だという。
今でこそ、恋愛結婚も増え始めているようだが、インド系アメリカ人、あるいは、海外に暮らすNRI(海外在住インド人)でさえ、見合い結婚が大多数。
帰省時に両親の審査をくぐり抜けて絞り込まれた相手と見合いをし、即結婚、というケースは珍しくないのだ。
わたしの身近にも、いくつかのカップルがそのような婚姻をしている。
その見合い結婚であるが、わたしはかなり「悪くない、むしろよい」と思っている。
なにしろ、似通ったバックグラウンドの相手を、家族がさまざまな仲介システムを通して募集し、多くの候補の中から絞り込むのだ。親が率先して婚活してくれるのである。
その上で、選ばれた数名、あるいは1名と見合いをする。
実際、そのように結婚したカップルたちは、仲睦まじく、うまくいっている人が多い。
アナミカとプラディープは、二人してマラソンランナー。部屋の一隅には、米国、インド、数々のレースで受賞した二人のメダルが飾られている。
ところでは夫妻はコルカタ出身。コルカタの人たちは、魚(主に淡水魚)を食するため、ノンヴェジタリアンの人が多い。
アナミカが用意してくれた数々の料理。魚のマスタードカレーや、チキンのカレーなど、ノンヴェジ料理がまた、美味であった。
ちなみにプラディープは肉類をこよなく愛しているとのことで、しばらく肉談義に花を咲かせていた。
「ヒンドゥー教徒は牛肉を食べない」。
などということは、絶対ではないのである。
もちろん、我がインド家族、親戚は、ほとんど牛肉を食する。それをして、「忌々しい!」と思っているインド人も多いだろう。
プラディープに至っては、
「チキン、マトン、ビーフ、ポークはもちろん……。オーストリッチにクロコダイル、ウサギにウマにバイソンにカエルに……」
と、これまでの肉食遍歴を熱く静かに語るのだった。わたしたちが、アーユルヴェーダグラムで毎年末、1週間ヴェジタリアンで過ごすと聞くや、
「肉のない人生なんて……」
と真剣につぶやく。いったい、何の話をしているのだ、という話だ。
インド。出会い。日々、色々な意味で刺激的。退屈させられる暇もない。