激烈な速度で、テクノロジーが進化してきた過去数十年。人類の緩々とした歴史の中で、産業革命から今日に至るわずかな期間に、人間はどれほど、地球環境を破壊してきたか。
環境ばかりか、人間同士が戦いあって血を流し続けてきたことか。
どんなに利便性が高まって、物にあふれ、豊かになったかのように見えたとしても、幸福感は遠きに在るか。足るを知らず、身の丈を知らずしては、どこまで走っても、たどり着けぬ。
拙著『街の灯』にも記しているエピソード。1998年の冬。当時わたしは、マンハッタンの、52階建て高層アパートメントビルディングの18階に住んでいた。ある朝、斜め上の部屋から出火した。寒風吹きすさぶ中、震えながら、煙と炎が自分の部屋の真上に迫ってくるのを眺めながら、お願い延焼を早く止めてと心中で叫びながら、考え続けていた。
一瞬で大量の人々を殺戮する武器は作れるのに、なぜこの程度の火を一瞬で消す技術は開発されないのか。
非常階段の中で煙に巻かれ、4人が落命した。
その3年後、9/11、崩れ落ちるワールドトレードセンターの情景を眺めながら。
更に10年後の3/11、押し寄せる津波が福島第一原子力発電所に覆いかぶさる映像を眺めながら。
世界中の軍事費を、あらゆる兵器を国際協定でゼロにして、それをすべて「地球環境を守るため」に充当できたならと夢想せずにはいられない。
インフラストラクチャーの整備とか、医療の向上とか、資源の有効活用とか、学校教育の向上とか、動物たちの保護とか、芸術文化の支援とか……。地球上の生きとし生けるものが、もっともっと、快適で、楽しさを感じられることのために、投資できたなら。
夢物語か。
COVID-19は、肉体もさることながら、精神を蝕む威力が高いという気がしてならない。
大人たちは、子どもたちに、過剰な不安を与えることだけは、やめてほしい。
「裸一貫」で生き延びることのできる強さを!
人事異動の季節、出会いと別れの季節。ミューズ・クリエイションも毎週のように「今回が最後」の人たちがいる。若い世代の駐在員家族が増えた昨今、妊娠中の人も多い。
あるメンバーは、妊娠8カ月。2歳の子どもを抱え、今月末に本帰国なのだが、日本に出張中だったご主人がインドに戻ってこられなくなったという事態。
こんなときこそ、助け合ってほしい。未来を担う子どもたちを産み育てる彼女たちが、少しでも安全に、心穏やかに行き来できることを願うばかりだ。
3月は年度末でもあり。ミューズ・クリエイションの利益および、日系企業から託されたCSR予算を、然るべき団体に寄付するシーズン。3カ所のうち1カ所、JAGRUTHIは、昨年訪問して寄付をすませた。NEW ARK MISSIONは、15日(日)、訪問する。残るOne Billion Literates Foundationは、子どもの試験の時期と重なったので、今回は寄付をお渡しするだけ。
先日行われた、ボードメンバー(役員)のお別れ会に参加し、その場で主宰者のアナミカ(ボストンからビデオカンファレンス)、ルビーに小切手を託した。ちなみに我が夫も、同団体の役員になっている。
おちおちくしゃみもしていられない昨今。
世界は混沌と心乱れることの多く、だからこそ、日々、しっかりと着地して、暮らしていかねばと思う。