ゴロゴロと音を立てながら動く箱に、
みほさんとまるおさんが洋服を詰めるとき、
僕らの心は軋む。
NORA姉さんは、いつになく、まるおさんに甘えている。
いつもいいお返事をするCANDYは、みほさんが呼んでも知らん顔。
ROCKY兄さんは、書斎でおしっこをして、まるおさんに叱られた。
ぼくは、みほさんたちが夕飯を食べているとき、家中を駆け回って暴れた。
なのに、叱られなかった。
もっと困らせたくなって、みほさんのブランケットの上に、うんちをした。
そして大急ぎで、ベッドの下に隠れたんだ。
初めてのことで、どきどきしたよ。
でもね、いつもはひどく厳しいみほさんは、なぜか静かだった。
目を丸くして見つめたあと、少し悲しそうな顔をした。そして、
「なんと立派な」「いい色艶ですこと」「いいもの食べてる証拠ね」
と言いながら、そっとティッシュで取り除いて水に流し、ブランケットの洗濯を始めたよ。
僕はますます、寂しくなった。
夜、眠る前。
みほさんは、人差し指で僕の頭をやさしく叩きながら言った。
「太陽が、昇って、沈んで、昇って、沈んで、昇って、沈んで……。8回、繰り返したら帰ってきますから。アンソニーさんのいうことを聞いて、みんなで仲良くしていてね」
僕らは、数がわからない。
3つのその先は、無限と同じ。
だから、もうずっと会えない気がするんだ。
でも、ふたりはいつだって帰ってきてくれたから、きっと大丈夫。
ちゃんとみんなで、留守番していよう。(JACK)
* * *
😿今年は猫らと過ごす時間が長すぎて、束の間の別れが寂しすぎる。猫らもそれに気づいていて、出発前夜はちょっとしたドラマでした。