エジプト滞在は実質2日目にも関わらず、すでに9回目の投稿。毎度、書き残すことの多いこと。旅とは発見の連続で、それも初めての地となれば尚更で。旅が終わるとたちまちインド日常に没入し、旅情は霧散してしまう。故に毎回、旅の途中に記すようにしているのだが、すでに追いつかない。
明日からのグループツアーを前に、今日はオールド・カタラクトホテルにて、ゆっくりと一日を過ごした。朝食は、このホテルの顔ともいうべく高級フレンチレストラン「1902」にて。ディナータイムはドレスコードのあるフォーマルなレストランだが、宿泊者は朝食ブッフェをここでカジュアルに楽しめるのだ。
わたしたちは、フレンチよりもローカルの料理を楽しみたい。現在、このホテルは、フランス資本のソフィテルグループが経営しているがゆえ……というわけではなく、従来から「1902」はフレンチだったようだが、ホテルの華ともいえる場所こそ、エジプト料理店にすればいいのにと思う。
旅行の前は、「1902」のダイニングの雰囲気を楽しめないのは残念に思っていたのだが、チェックインの際、「宿泊客は朝食で利用できる」と知り、俄然、うれしくなった。
コロニアル建築の情趣に満ちた旧館の回廊を歩いた先に、「1902」はあった。ホテルのロビーを凌駕する、ダイナミックな空間! 圧倒的な存在感だ。
我々同様、一足先にアスワン入りしていた友人夫妻も合流しての、楽しい朝のひととき。二人は、ミューズ・クリエイション企画で先日訪問した「クリスタル・ミュージアム」を擁するジュエリーショップのオーナー夫妻。実は来月、わたしはクリスタル・ミュージアムにて、日本文化の紹介する催しをすることになっている……という話はさておき。
料理は正直なところ、可もなく不可もなくといったところか。一昔前のインドの高級ホテルを彷彿とさせる雰囲気だ。なにもレストランに限ったことではない、エジプトの社会的背景は、資本主義の競争社会とは異なる。サーヴィス業の概念もまた、この国特有の事情があるだろう。
エジプトは、久しい強権的な政治体制や経済不安なども手伝って、決して安定した社会環境とは言い難い。昨今では、隣国イスラエルとパレスチナの問題もあり、何かと課題は尽きない環境だ。
1991年の市場開放以前のインドと似て、ソビエト連邦的な社会主義の影響を受けてきたところにも、両国の共通項が滲む。インドとエジプトの古代からの共通点について、今回の旅で感じていることを、どこかで書き残したい。
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さて、夫がプールで泳いでいる間、わたしはこうして記録を残したり、ガイドブックをめくったり、きままに過ごす。空港で購入した白ワインを冷蔵庫から取り出し、ルームサーヴィスで頼んだ軽食とともにランチをとりつつ、映画鑑賞。テレビにインストールされている唯一の映画『ナイル殺人事件』を見る。
アガサ・クリスティ著『ナイルに死す』は、1978年と2022年の2回、映画化されているが、この1978年版では、このホテルも舞台のひとつとなっている。さらには、アブ・シンベル大神殿の「引越し前」の姿が見られたのが、感慨深かった。現在は、移築の際にブロック状に切断したときの「継ぎ目」が見えるが、映画のものは、もちろん、継ぎ目ない一枚の岩山からなる遺跡だ。
ちなみに、現在、小説を読んでいる最中につき、映画はじっくりと見ず、「走り見」程度にとどめておいた。
ところで主演のひとりがミア・ファローと知って驚いた。実は今回、自分の知る「エジプト」の要素に思い巡らせていたとき、1985年公開のウディ・アレン監督映画『カイロの紫のバラ』を思い出していたのだ。主演はミア・ファロー。映画世界と現実とが交錯する非常にユニークな映画だ。東京時代の30年以上に見たきりなので、また見たいと思っていたのだ。
1974年『華麗なるギャツビー』もまた、彼女は重要な役を担っていた。レオナルド・ディカプリオではなく、ロバート・レッドフォード主演の古いほうだ。
……と映画の話になるとまた長くなる。Instagramの文字制限が2000字でよかった。さて、現在は26日の朝。これからプールでひと泳ぎして朝食、パッキングをしてチェックアウトだ。旅の第二章が始まる。
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