2024年、新年度が始まった。行く人、来る人、目まぐるしい時節。わたしは海なきデカン高原で、しかし澪標の如く、定点に屹立する。この週末は、夫と今後のライフのことを軽く、話し合う。自分たちが育んできたものを、いかに、有意義に継承するか。簡単ではない課題。
週末を終えて旧居に戻れば、片付けねばならない「現実」が迫り来る。中途半端に頓挫している書斎の片付け。ミューズ・クリエイションの工芸品作りの材料が収められたままのクローゼット。捨てられずに残っている古い家電……。日頃から片付けているつもりでも、気づけばモノは蓄積する。旧居へ移ったのは2007年4月。わたしの背丈ほどだった椰子の木は、天を刺すほどに成長した。17年間の歳月の流れたのだ。それも、あっという間に。途方に暮れる思いを抱えつつ……抱えるなかれ、リラックス、リラックス、Thake it easyと、自分をなだめる。
😼それにしても、この10年は、猫らに救われてきた。彼らを見るとき、馴れ合いではない、いつも「新鮮な気持ち」にさせられる。まだまだ、出会ったばかりのような気がする。猫っ気が皆無だったマルハン家に、NORA姉さんがやってきたのは、2014年7月のことだった。あれから我が家は猫まみれだ。
排水口に住んでいたROCKYを拾い、駐車場で駆け回っていたJACKを拾い、両目が潰れかけ瀕死状態のCANDYを保護した。心臓病があって、日々の投薬が必要なROCKYも今年で10歳。短命を覚悟していたけれど、毎日元気でいてくれて、それだけでありがとう。2014年7月から5年ほど、猫専用のブログに彼らのことを、こまめに記録していた。猫らの背景が、なかなかに面白くレポートされている。猫好きな方は、どうぞ下記のブログをご覧ください。
🥭さて今日は、UGADI/ YUGADI(ウガディ)と呼ばれるデカン高原界隈、南インドの新年だ。
ここカルナータカ州、アンドラ・プラデーシュ州、テランガナ州、マハラシュトラ州、ゴアあたりが該当する。サンスクリット語の、yuga (age) とadi (beginning)が重なっての「新年」という言葉らしい。
インドでは、「国民の祝日」(National holidays)とされている固定休日は、実は3日しかない。共和国記念日(1月26日)、独立記念日(8月15日)、マハトマ・ガンディ生誕日(10月2日)の3日間だ。しかしながら、多様性の国、インド。宗教ごとの祝祭や、州別の祝祭もあるから、毎年「ホリデー・カレンダー」は塗り替えら得てややこしい。
各宗教にまつわる祝日は、クリスマスを除く大半が移動祝日。各宗教の「暦」に沿って、日程が決まるから覚えられないし、毎年新鮮な気持ちで迎えることになる。今日のUGADIもまた、毎年、暦によって変わる移動休日につき、いちいち忘れる。日にちだけでなく、どういう背景があったかも忘れがち。過去の自分の記録を読み直して「そうだった、そうだった」と思い出す始末だ。
UGADIな本日。南インドのヒンドゥー教徒の家庭では、マンゴーやヤシの実などを用いた伝統的な儀式が行われる。我が家も一応、半分はヒンドゥー教徒なので、マンゴーを食す。いや、今の時期はほぼ毎日、食べているので特筆すべきではないが。ところで今日はまた、「六つの味」を食すのが伝統だという。
「六つの味」といえば、アーユルヴェーダの食事の作法の一つに「サトヴィック」というものがある。このサトヴィックでは六味を刺激する調理法が用いられており、六味は六つの感情にリンクしているらしい。極めて興味深い。
・苦味:ニームの芽や花→悲しみ
・甘味:ジャガリー→幸せ
・辛味:青唐辛子、胡椒→怒り
・塩味:塩→怖れ
・酸味:タマリンドジュース→嫌悪
・刺激:熟してないマンゴー→驚き
インドの伝統的な生活習慣、食習慣は、本当に興味深い世界観の宝庫だ。インドに何年暮らしても、毎年毎年、新鮮な気持ちで、自分の過去の記録を省みている。
ところで、かつてバンガロールのコラマンガラにサトヴィック料理の専門店があった。今はなくなってしまって残念だが、非常にヘルシーで身体がすっきりする食事を楽しめた。かつてローカルフード探検隊で訪れたときの記録を『マルハン家の食卓』ブログに転載したので、ご覧いただければと思う。また、わたしは訪れたことはないのだが、Sattvam Restaurantというサトヴィック料理を出す店がバンガロール市内に3店舗(JPナガール、TAJ WESTENDの近く、ホワイトフィールド)ある。数年前に気づいたが、行かぬまま。これを機に近々試してみよう。
🌱これぞ身体が望む食! 超健康的ローカルフード
https://museindia.typepad.jp/eat/2012/06/six.html
🌱Sattvam Restaurant
https://www.sattvam.com/
😼マルハン家の4猫(「うさぎのアリスの猫レポート2014〜2019」改題)
https://museindia.typepad.jp/alice/
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