旅の途中は、書きたいことが募る。しかし夫との旅は、ひとりになれる時間が限られている。すでに今朝、ボロブドゥールを離れ、今はジョグジャカルタの近郊、プランバナン寺院にほど近いホテルに滞在している。
今日の経験も色濃く豊か。しかしその前に、昨日の思い出を残しておきたい。
ボロブドゥールの仏教遺跡を訪れてのち、すでに心は十分に満たされていたが、ホテルへの帰路、二つの寺院に立ち寄った。そのうちの一つ、Mendut templeは、ボロブドゥールよりも古いとのことで、毎年、仏教行事の際には、世界各国から僧侶が集まるのだという。
非常に小さな寺院ながらも、中に一歩足を踏み入れるや、静謐な空気に包まれる。三体の仏像、そして吸い込まれるような奥行きある天井。二人して座し、しばし、瞑想のひとときを過ごす。
ところでこの日の我々は、結婚記念日ホリデーにふさわしく、おそろいのTシャツを着用。基本的に夫の服選びはわたしが9割方、担当している。Tシャツに関しては、日本土産のふざけたものが多数。このTシャツは、成田国際空港で購入した「ダルマ」柄。達磨の起源は、南インド。お隣タミル・ナドゥ州なのだ。……と書き始めると長くなる。
インドネシアの伝統工芸の一つであるバティック(ろうけつ染め)の工房に立ち寄る。しかし、衣類のほとんどが機械製品で、手染めの商品は主にアート作品と縫製していない布(マテリアル)のみ。夫のシャツは手染めの選択肢があったので、1枚、購入した。
ホテルへ戻る道すがら、ここボロブドゥール名物の「ルアック・コーヒー」の店へ。インドネシア語でコピ・ルアク(Kopi Luwak)と呼ばれるこのコーヒーは、稀少な豆だということで「最高級コーヒー」と位置付けられているらしい。実は以前、友人からお土産でいただいたことがある。
これは、ジャコウネコ(ルアック)の排泄物、すなわち糞から未消化のコーヒー豆を集めて作られたコーヒーのこと。写真、手前のザルに入っているのがその排泄物。これをがっつりと洗浄すると、白っぽくオリジナルにほぼ近いコーヒー豆が出てくるというわけだ。
コーヒーの味わいといえば……。少し癖のある風味、甘味と酸味がほどよくやさしく調和した味だ。とはいえ、個人的には南インドのモンスーン・マラバーの方が好きだな……と思いつつ、店内のサインを見れば、諸々の身体によいベネフィットがあるようだ。せっかくなので、豆を一袋、購入した。
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