昨夜、ようやく旅の最終地点、バリ島の高地に位置するウブドに到着した。滞在先は、町外れた村にある、緑に抱かれた小さな楽園だ。ここで4泊を過ごす。
17日の深夜、バンガロールを発って以来、移動が多めの3泊4日だった。もっとも、訪れたい観光スポットは2つの寺院だけだったので、それ以外の時間はマッサージを受けたり、早めに就寝したりとゆっくりと過ごせた。とはいえ移動が多いのは、なかなかに疲れる。
昨日の朝は、ホテルに隣接する人気のレストランでインドネシア風味が満点の朝食を楽しみ、ムラピ山に別れを告げてチェックアウト。2時間ほどのドライヴを経て、ジョグジャカルタ空港へ。国内線移動ながらもターミナルは国際線を利用。想像していたよりも大規模で過ごしやすかった。
約1時間半のフライトを経てバリの空港に到着後は、夕暮れの街をやはり2時間ほどひた走り、ウブドを目指す。32年前に訪れたときも、やはり夜に到着した。インターネットもスマートフォンもない時代。薄暗く小さな空港で、宿が手配してくれたタクシーを見つけることができるだろうか……と心細く思ったことを思い出す。
あのときは、ひたすらの暗い夜道を走った記憶しかないのだが、今では路傍に店が立ち並び、寂しさを感じさせない。
当初、夫はウブドの街中にあるリゾートを予約していたが、旅の直前になって町外れのアユン川のほとりに「ファイブエレメンツ Fivelements」を見つけた。わたしは断然、のんびり過ごしたいと思ったので、ここでの4泊を主張したのだった。
ファイブエレメンツとは、自然界を構成する「地」「水」「火」「風」「空」の五大元素のこと。アーユルヴェーダにおいても、この五大元素が基本的な概念だ。各元素の組み合わせにより個々人のドーシャ、すなわち体質が見出される。
過去10年余り、毎年一度の恒例行事だったアーユルヴェーダグラムでのデトックス1週間。しかし、ここ数年は実施していないので、せめて数泊だけでも、心身をリフレッシュしたいと考えた。出される食事はヴィーガン。ヨガやマッサージをはじめとする心身を浄化するためのさまざまなセラピーやプログラムが用意されている。
以前はアルコールが提供されていなかったらしいが、メニューを見るとワインやビールがある。わたしはビールで32年ぶりのウブド入りを祝す。
あの一人旅が、遠くて近い。
何もかもが、あのときに想像し得なかった未来としての現在。
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