日本武尊(やまとたけるのみこと)の息子であり、第14代天皇である仲哀天皇は、香椎で他界した。
仲哀天皇と、その妻である神功皇后ゆかりの地である福岡市東区香椎、千早、名島……。我が故郷の歴史の面白さ、興味深さは、自分が歳を重ねて帰郷するにつけ、増してきた。そして昨年、壱岐島を訪れ、いよいよ、関心が高まった。
神功皇后が妊娠中にも関わらず三韓征伐に出かけ、その後、出産した応神天皇を壱岐島にある温泉にて産湯に浸からせた……などなど。
実家界隈では、ご近所散策ですら「歴史散歩」を楽しめるということを知って久しく、今回は時間の合間を縫って、歩こうと思っている。
帰国の翌々日、13日の朝、急に髪を切りたくなった。遠出をする気分ではなく、願わくば徒歩圏内。Googleマップでヘアサロンを検索、最寄りの「Rビーフラッグ」を予約。昨今の香椎千早界隈は、シンプル洗練おしゃれサロンがあちこちに誕生しているが、そのトレンドとは逆行するかのような、賑やかにアットホームな空間。キッズルームも用意されている。
スタイリストの Sayakaさんは、とても明るく感じがよく、会話を楽しみつつのひととき。このサロンのオーナーは東区出身で「東区愛」が強いらしく、1988年以来、この区内に6店舗展開されているとのこと。地域密着型の、個性が楽しいサロンだった。Sayakaさんは福岡県直方市のご出身で、ご両親も理髪店を経営されているという。
わたしが昨今、関心を高めている地元の歴史や壱岐島との関わりを話すと、興味深そうに前のめりで聞いてくれる。超ローカルの話題ゆえに、ローカル民にとっては、目からウロコの話題も少なくないのだろう。わたしとて、ここに住んでいる時には関心を持っていなかったが、故郷を遠く離れ、世界各地を旅した果てに、俯瞰して故郷を眺めて初めて気づいた魅力。
ヘアカットを終えて、そのまま自宅へ引き返すのも惜しい気がして、歩くことにした。まずは「ガーデンズ千早」に立ち寄る。以前よりも店舗が増え、内容が充実している。ここの話題も尽きぬが、今日のところは割愛。入るなり、「ちはやライブラリー」を見つけて、うれしくなる。こういう空間が拡充されればいいなと思う。
「ガーデンズ千早」から、1967年ごろまでは砂浜があったあたりを歩く。今では城浜と呼ばれる。そして、わたしが1歳から13歳まで暮らしていた名島汐見町(現千早)の周辺を歩く。かつて銭湯や八百屋や貸本屋や酒店があって賑わっていたあたりは、無音。どうしてこんなに無機質になったのだろう。
しかし、我が家族が暮らした家はまだあって、しかも当時より美しくなっている。今お住いの方が、入念に改築されたことが見て取れて、ありがたい気持ちだ。
そして、やはり1960年代は小さな山だった「三の丸団地」を通過する。ここは名島神社の「三之丸」の跡地である。ここを通り抜けると、わたしが通った幼稚園がある。現在は「名島りすの森こども園」となっているが、かつては「福岡名島幼稚園」といい、門にキリンの像が立っていた。
九州電力の土地が多いこの界隈。父親の仕事に関連する思い出も尽きぬが、終わらないのでこの辺で。
後日、名島神社へも足を伸ばそう。
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