バンガロールの人口は、わたしが移住した20年の間にも、2倍、3倍と増え続け、現在は東京都と変わらぬ1400万人ほどもの人々が暮らす。
それだけ急速に人が増えれば、環境破壊は免れず。樹木は伐採され、住宅は立ち並び、かつては年中、肌寒かったというこの高原都市は、しばしば猛暑や水不足に晒されている。この地の盛夏は4月から5月にかけて。ゆえに今は初夏である。
気候の起伏が浅い地ながらも、樹木の花々が季節の巡りを教えてくれる。車窓から目に飛び込んでくる鮮やかなピンクや黄色、儚げな紫の花々……。
先日、友人宅を訪れた。彼女の部屋から見えるジャカランダが、本当に見事だった。ずっと窓際に座って眺めていたいと思わされる情景。
その他、今週、外出時に目にした花々の写真を、載せておく。
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昨年秋の一時帰国からバンガロールに戻って、まだ3カ月半ほどしか経っていないのだが、来週月曜日から約1カ月、再び日本だ。母が歳を重ねていることもあり、パンデミック明けからは一時帰国を年に2回に増やしていたが、今回、時期が早まったのは母の白内障の手術(両目)に伴ってのこと。
母が歳を重ねると同時に、わたしも歳を重ねるわけで、自分の体調管理も大切。ゆえに今年に入ってからは旅をせず、仕事も極力絞り込み、アーユルヴェーダのトリートメントを受けにいったり、歯医者に通ったり、メンテナンスを重視している。にもかかわらず、腱鞘炎になったり、疲れやすかったり、些細なことで苛立ったり……。
瞑想やエクササイズをして努力をしているつもりでも、なかなか心身の調和が取れにくい。
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水曜日は、デリーから来訪中の友人の貴子さんが遊びに来てくれた。かつてデリーに駐在後、バンガロール赴任を経て、日本、ドバイ……そしてデリー駐在という巡るライフ。2011年に発足した「ローカルフード探検隊」(懐かしすぎ)のメンバーであり、ミューズ・クリエイションの初代メンバーであり、ヤクルト王子の妻でもある貴子さん。
夫婦揃って懐かしい思い出が尽きない。何もかもが、ついこの間のことのようで、遠い。食専用ブログのカテゴリー「外食:ローカルフード探検」を見ていただくと、当時の記録が発掘できる。みんな元気だったなあ。
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バンガロールの樹の花については、毎年のように記している。3年前には動画も作った。以下、ナレーション原稿を転載。
2022年。新しい年があけてまもなく、バンガロール(ベンガルール)市街中心部にあるカボン・パークを訪れた。広大な公園の周辺には、州庁舎のヴィーナ・サウダや高等裁判所、図書館などが点在する。
デカン高原の南、標高約920mの高地に位置するカルナータカ州の州都、バンガロール。英国統治時代から「ガーデンシティ」「エアコンシティ」と呼ばれ、一年を通して過ごしやすい気候が特徴だ。季節の変化が緩やかなバンガロールで、歳月の巡りを教えてくれるのは、木々の花。
悠然と舞うトンビになって、中空を旋回しながら、この街を見下ろしたい。
1月の今は、濃いピンク色のピンク・トランペットが、街の随所で咲き誇る。確かによく見ると、トランペットのような形をしている。やがて、透き通るような薄紫色の木の花、「ジャカランダ」が芽吹き始める。これもまた、トランペットのような形だ。日本の桜と見まごうばかりの、薄桃色の花をつける木も随所で見られる。これもまた、「ピンク・トランペット」、あるいは「ピンク・テコマ」と呼ばれる。同じテコマでも、鮮やかな黄色い花をつけるそれは、デカン高原の青空に映えて、ひときわ色鮮やかだ。
やがて、4月から5月の盛夏になると、真っ赤な「グルモハル」の花が咲き乱れる。まるで炎のように中空を染めることから、日本語では「火焔樹」と呼ばれる。
バンガロールが、古くから緑に溢れた土地だったのか……といえば、実はそうではない。そもそもは、乾いた高原だったこの土地を、緑でいっぱいしてくれたのは、マイソール王国の藩主ティプー・スルタンだ。バンガロールにある樹木の多くは、彼が1700年代に海外から輸入した外来種である。
市街南西部にあるラルバーグ植物園では、当時からの樹木を見ることができる。バンガロール滞在中には、足を運ばれることを、お薦めする。
🌸Garden City Bangalore/ 新年のバンガロールを彩る鮮やかなピンクの花。カボン・パークへお花見に。
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