わたしの夫は、北西インド、パンジャーブ州の出身だ。パンジャーブ州はパキスタンにもある。そもそもは、広大だった一つの州が、1947年のインド・パキスタン分離独立によって分断された。
1枚目の写真は、夫の母方の祖父母。夫の母方は、現在、パキスタン領となっているラホールの出自だ。祖母の両手首にあるバングル。これはわたしが結婚する時に引き継いだ。
100年以上前のバングルは、1947年にラホールからデリーへ渡ってきた。その物語を思うとき、自分の過去がインドの歴史の渦の中に織り込まれているような、遥かな気持ちにさせられる。
3枚目の写真は、母方の曽祖父。実業家であり政治家でもあった祖父が、自分の父(曽祖父)が他界した際に出版した冊子だ。
“There is no religion greater than service, no divinity greater than humanity.”
奉仕に勝る宗教はなく、人間性に勝る神性はない。
彼の言葉が、染みる。
以下、今朝、ミューズ・クリエイションのWhatsAppグループにてシェアした情報を転載する。
🥭
すでにご存知の方も多数かと思いますが、2025年5月7日本日より、インド軍がOperation Sindoor(オペレーション・シンドゥール)を開始しました。これは、インドによる、パキスタンおよびパキスタン占領下のカシミール(PoK)にあるテロリストのインフラを標的とした軍事作戦です。この作戦は、2025年4月22日にジャンムー・カシミール州のPahalgamで発生したテロ攻撃(インド人25名とネパール人1名の計26人が死亡)への報復として実行されています。
これに伴い、カルナータカ州でも、本日午後3時過ぎよりサイレンが鳴らされMock Drill(避難訓練)が行われるそうです。学校やオフィスなどでは、すでに情報がシェアされているかと思いますが、平常心で、しかし無駄な危険行動をとることなく、状況を見守りたいものです。
私事ですが、わたしたちは米国在住時、2001年7月にデリーで結婚しました。当時、わたしはニューヨーク、夫はワシントンD.C.で仕事をしており、二都市を行き来する暮らしをしていました。たまたま9月、わたしがD.C.に滞在していた時に、「米国同時多発テロ」が発生。自宅の窓から、国防総省(ペンタゴン)が黒煙を上げて炎上する様子を目撃しました。その後、ニューヨークの住まいの屋上(52階)から、煙をたなびかせるワールドトレードセンターのあたりを眺めた時には、膝から崩れ落ちるような心境に陥りました。それ以降のことは、本当に筆舌に尽くし難く、心重く人生の優先順位を見直した日々でした。
10月に計画していたニューヨークでの結婚披露宴は当然、キャンセル。以降、ニューヨークでのビジネスを縮小し、2002年1月にマンハッタンの住まいを引き払い、ワシントンD.C.へ移住しました。その間も、炭疽菌事件やスナイパー事件などがあり、不穏なライフが続きました。
その後、2005年11月にバンガロールに移住。2008年6月から2010年12月までは、ムンバイとバンガロールの二都市生活をしていました。2008年11月26日、我々の住まいのすぐ近く(コラバ)、夫のオフィスの目の前(ナリマン・ポイント)など数カ所で、「ムンバイ同時多発テロ」が起こりました。わたしたちはたまたま日本旅行中で、京都のホテルのテレビで黒煙が上がるタージマハル・パレスホテルを見て絶句しました。
その後も、語るに尽くせぬ諸々のドラマがありました。
なかなかにタフな環境を身近に経験してきましたが、今振り返れば、人生の、ほんの一時期のワンシーンのようです。あんなにも長い期間、落ち込む必要はなかったんじゃないかとさえ、今更ながら思います。
そんな経験上、ひとつだけ確かなこと。それは無闇に心配しても、落ち込んでも、あまり意味はなかったな、ということです。当時よりも今は遥かに、真偽の定かではない情報が流れます。溢れます。こんなときに、根拠のない情報や、似非専門家の話に一喜一憂するのは、時間と心の無駄です。
政府機関や学校などからの指示に従いつつ、必要最低限の情報は確保し、危機管理をすることは大切です。しかし、憂いすぎず、心配しすぎず、「毎日を大切に、明るく過ごす」ことが有意義だと思います。特に子どもたちに対しては、現状を客観的に伝えつつも、不安を煽るのではなく、いざというときの行動を話し合うなど、建設的な話し合いをされるといいかと思います。何より、家庭での会話や、時間を大切に。家族の結束を強める機会だとも思います。
以下、参考までに、インドとパキスタンの分離独立の背景などを記した記録をシェアします。なぜ、今なお争い続けるのか。虚しくなりますが、知っておくに越したことはないと思います。
ひとまずは南インド。バンガロールは比較的平穏な地域でもあり、空も明るい。今が盛りのおいしい🥭などを堪能しつつ、日々を慈しみながら暮らしましょう!
◉8月15日。インドの独立記念日と日本の終戦記念日が同じ日なのは偶然ではない。インド・パキスタン分離独立を巡って。我がインド家族の物語なども。
◉家族や親戚と話をしながら思う。日本人として、いかにインドに暮らし働き生きるかということ。
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