今日の午後は、ミューズ・クリエイションのメンバーと共に、ドミニカン・シスターズと呼ばれる慈善活動をする教会を訪問した。これまでも何度も訪れている場所であるが、今回は子どもたちと遊ぶのではなく、スラムに暮らしている貧困層の女性たちに、アクセサリーの作り方を教えるのが目的だ。
数カ月前に子どもたちと遊ぶために訪れた際、遊びのひとつとして、チーム布のメンバーにアクセサリー作りを教えることをお願いしていた。その様子を見たシスターから、ぜひ大人にも教えて欲しいと言われていたので、今回、訪問することになった次第。
ドミニカン・シスターズでは数百名の女性たちを束ね、セルフヘルプのグループを作るなど、貧困層の女性の自立を支援している。普段はメイドなど、それぞれに仕事を抱える女性たちの中から、20名ほどの希望者を募って、今回参加してもらうことになった。
材料は、先日、やはりメンバーの有志とともに、買い出しに出かけていた。それを使って、先週のサロン・ド・ミューズでは、参加メンバーを対象とした講習会を実施。本日の訪問に備えたのだった。
「ビーズを通すだけ」とはいえ、材料の選定、ヒモの長さ、通す際のコツ、ビーズを固定する方法など、それなりに伝授すべきポイントはいくつかある。ただ、材料を与えればよい、というものでもない。
これを伝授することで、彼女たちの助けになるのかどうか。ということについては、考えておくべきポイントではある。今後、材料を準備して、彼女たちに大まかなデザインを提案し、作ってもらったものを引き取り、作業費を渡す。出来上がりを自分たちのバザールで販売する……という方法が一つ。彼女たちはいろいろな作品を作ってはいるものの、販売の場がないので、それを提供するということだけでも、いいかもしれない。
ともあれ、まずはわたしたちが、彼女たちと交流を図りつつ、アイデアを伝えるということだけにも意義があると思うので、あまり深くは考えず、取り敢えず、やってみることにしたのだった。
まずは一つ目。10個プラス大きなビーズひとつを使っての基本のネックレスを作ってもらう。好きな色の紐、そしてビーズを各自選んでもらい、紐を110センチの長さに切るところからスタート。
ヒモの端っこを補強するため、最初にマニキュアを塗る。これが乾くのを待てないせっかちな人、多数。ともあれ、みな真剣だ。
ちなみに英語ができる人はほとんどいないので、ほとんど、ゼスチャー。大切なポイントだけ、シスターに通訳してもらう。
子連れのお母さんも参加していた。デュパタ(ストール)で括られている。安全対策。
みな、通したり、結んだりの作業が、とても手慣れている。特に結ぶ手付きがいい人が多い。シスターにそのことを伝えたところ、普段、ジャスミンの花で髪飾りなどを作る時に、日常的に糸で結ぶので、慣れているのだとか。なるほどなあ、と感心する。
インドでは、貧困層だとしても、女性たちはとてもお洒落に気を遣う。サリーやサルワールカミーズは、「いったい何枚持ってるの?」と問いたくなるほど、たくさん持っているし、いい香りの花を髪に飾っている女性も多い。
カメラを向けたら、照れたり、ちょっと緊張したり。ともあれ、みな、うれしそう。
一つ目を作り終えたところで、では、二つ目は自由に、好きなようにビーズを使って作ってくださいと伝えた。自分の作品は、お持ち帰りください、と伝えたところ、より生き生きと、ビーズ選びも真剣な表情だ。
左の彼女は、色の調和がとれたシックな組み合わせのものを作り、仕上がりもとてもきれい。サポートしたメンバーに、ひとつをプレゼントしてくれていた。
シスターも、2つめのビーズ選びは非常に真剣。最初いくつか選んだものの、一旦、すべて却下し、もう一度選び直して、透明感あるガラス玉風のプラスチックを選んでいた。とてもすてき。そしてうれしそう。
参加していた女性が、自分の作品を持参。紙で作られたアクセサリーだ。こういうものを、ミューズのバザールでも販売するお手伝いをしようと思う。
インドでは小さな子供もアクセサリーが大好き。大人にとってはおもちゃのよに思われるかもしれないビーズのアクセサリーだが、子供用に作れば、喜ばれるかもしれない。
つながれていた紐をほどかれ、ミルクを飲みつつ寝入る子供。なんとも、平和な光景だ。
教える、というよりはむしろ、立ち会った、という感じではある。こうして喜んでくれる彼女たちと、一緒にひとときを過ごせたのは、わたしたちにとっても有り難いことである。
彼女たちが仕上げた作品をもらったメンバーたち。二つのうちの、一つをくれる、という、その気持ちがまた、とてもうれしい。
そのあとは、シスターがいつものようにダイニングルームに通してくれた。お茶とお菓子を用意してくださっている。
名前を失念してしまったが、このマイソールのお菓子、おいしかった。ほのかに、黒棒(九州地方の焼き菓子)を思い出させる懐かしさ。
今回、大人の女性たちと交流を図るのは初めての試みだったが、すでになじみの場所だったこともあり、みなすんなりと、場に溶け込めていたように思う。もちろん、半数以上は、初めての訪問だったが、それはそれで、二度目の人の余裕が、雰囲気を軟化させてくれるというものだ。
シスターからのひと言で、実現した今回の訪問。これからも、小さな声に反応しながら、できることから、一つずつ、みなで活動を育んでいければと思う。成功・失敗、損得勘定を考えすぎず、活動ができるというのも、ミューズ・クリエイションのいい点である。
ビジネスではないからこそ、自由に楽しめる。メンバーのみなさんにも、ミューズ・クリエイションを最大限に活用してもらいたいと思う。
その一瞬の、空。
バンガロールの、モンスーンの時期の、こんな空が、本当に、いい。
みなさん、お疲れさまでした。