たいへんご無沙汰しておりました。うさぎのアリスです。
南インドを熱波が襲い、何百人もの人たちが亡くなっているというニュースが、世界各地で報道されているようですね。ここバンガロールも、南インドですので、いろいろな人が心配してくださっているようです。
でも、幸いここは、標高900メートルを超えるデカン高原にありますので、比較的、涼しいんです。けれど、先日の雹(ひょう)といい、季節外れの雨といい、最近はおかしな天気が多いそうです。
夏の気温も年々、上昇していて、昔は「エアコンシティ」と呼ばれる緑豊かな都市だったのに、このごろは日差しから家々を守る樹木も激減しまい、エアコンを備える家庭がとても増えているようです。
マルハンさんちは今のところ天井のファンだけで凌いでいますけれど、エアコンの必要な夏が来てしまうかもしれません。
ところで、みほさんたちがインドに移住された最初の5、6年は、天井のファンを使うこともほとんどなかったそうです。寝ているときも、窓を開けて、網戸にしていれば涼しかったそうですよ。夜も弱めのファンを使うようになったのは、ここ数年のことだそうです。
ところでみほさんとまるおさんは、2週間ほど、家をあけていました。毎年恒例のアメリカ合衆国への旅行です。グリーンカードと呼ばれる永住権を保持し続けるために、少なくとも年に一度はアメリカ合衆国の土を踏む必要があるんだそうです。
まるおさんたちは、旅行中もNORAやROCKYのことを思い出しては、恋しがっていました。まるおさんに至っては、
「僕がバンガロールに帰る楽しみは、NORAとROCKYに会えること」とさえ、言っていました。
ですから、帰って来た日も、そして翌日も、そして今日も、NORAが一度も姿を見せず、帰ってきている様子もないことが、気がかりでなりません。
実はみほさんたちが旅行に行った直後から、不在中でも毎朝通っていたメイドのマニさん、そして毎日朝晩、餌をやりに来てくれていた運転手のアンソニーさんも、NORAを一度も見かけていないそうです。
アンソニーさん曰く、餌は毎日減っていたので、帰宅はしているだろうとのことでしたが、ROCKYの太りっぷりをみると、彼がほとんど食べ尽していたのではないか、と、みほさんは睨んでいます。
あるいは、ときどき侵入してくる「のらくろ」や、ジャンプ力抜群の「黄土色の猫」が、食べていったのかもしれません。
たった2週間、見ない間にも、ROCKYは縦横大きくなっていて、抱えると、どっしりしています。本当に、細マッチョです。
性格も、少しだけ成長している様子です。幼児から少年に成長したという様子のようです。
NORAがいなくなったこと、そしてみほさんとまるおさんが不在だったことで、寂しかったに違いありません。二人が帰って来ると喜んでまとわりついていました。まるおさんの膝にジャンプして、うれしそうに撫でられたりもしています。
みほさんたちは、月曜日の早朝に帰宅しました。シャワーを浴びて2時間ほど仮眠をとったあと、時差ボケにならないように起き出して、まるおさんは会社へ、みほさんは荷解きなどをしていました。
みほさんが机に向かうと、早速ROCKYが傍らへやってきて、まだ荷物が入ったままのキャリオンバッグに横たわります。
NORAのことを案じるみほさんの顔を、じ〜っと食い入るように見つめていたのですが……。
……と、このような様子を繰り返していました。まるで授業中に居眠りをする学生のようです。別に我慢せず、寝てくれてもいいのに。と、みほさんは思います。
ちなみにこちらは、専用タオルを敷いてもらった昨日の写真です。ものすごい寝相ですね。
それにしても、ずいぶん大きくなったでしょ?
目が覚めると、コンピュータのキーボードを踏みつけて、わざわざみほさんのお腹を利用して、のびをしています。
こんな感じです。随分、甘えていますね! みほさん、ビール飲んでますね!
それにしても、ROCKYはよく寝ます。育ち盛りは、よく食べて、よく眠るんですよね。みほさんも、中学、高校時代は、ものすごくよく食べて、よく寝ていたそうです。
朝、みほさんがシャワーを浴び終えてバスルームから出ると、ベッドメイキングする前の、とっ散らかったブランケットの上で、ROCKYが気持ちよさそうに寝ていました。
排水口時代の習慣は抜けないようで、長〜くなって、飛ぶように寝ています。
毎週火曜日と金曜日は、近所のオーガニックショップに近郊農家からの有機野菜が届きます。昨日は葉っぱのついた大根がありましたので、みほさんは喜んで買っていました。暑さで葉っぱがぐったりしていますが、ノープロブレムだそうです。その葉っぱに早速、興味津々のROCKY。
ROCKYは、みほさんたちが食事をしていると、必ずそばにやってきて、「一口ちょうだい!」とせがみます。なんでも、食べたがります。けれど、決して一口ではすまないんです。とても邪魔だそうです。昨日は、みほさんに「海苔」を与えられていましたが、喜んで食べていました。あの黒い紙みたいな食べ物ですよ? びっくりです。
NORAが警戒心が強くて、好物のお肉でも、何度も匂いを嗅いだりした後に食べるのとは大違いです。NORAは本当に、賢い猫です……。
ところで、一昨日、昨日と、みほさんは何度か外に出ては、NORAを探しつつウォーキングしていました。MOCHAは元気ですが、相変わらずとても小柄で、ROCKYの数カ月お姉さんとは思えません。ROCKYの方が遥かに重くなりました。でも、女子だから小さいのかもしれません。
こちらはJULIE。ROCKYやMOCHAのお母さんです。鳴き声や動作が、MOCHAとよく似ています。シッポがふさふさしているのが特徴です。JULIEもとても小柄なので、MOCHAも似たのかもしれません。あるいは、栄養が行き届いていないのでしょうか。
みほさんが餌をやると、ガツガツと食べていました。
餌をもらっているわりに、みほさんに対する目つき、挑戦的です。
みほさんが知っているだけでも、3匹×3回、都合9匹の母猫です。たくましくもなるのでしょう。
多分、生き延びているのは、ROCKYとMOCHAだけです。
NORAがマルハンさんちに住み着くようになって、10カ月ほどがたちました。その間、みほさんは、それまで知らなかった猫の生態などについても、インターネットでいろいろと調べたようです。
その結果、猫は犬と大きく違って、人間に対する忠誠心のようなものが浅く、暮らす場所も、人を選ぶのではなく、住環境の快適さを選ぶ、ということを知りました。
NORAは最初、広くて安全な庭があるマルハンさんちで、餌ももらうことができ、快適に思っていたのだと思います。去年の11月に、まるおさんとみほさんが日本へ旅行へ行った時、寂しそうだったとのことなので、お友達をつくる意味でも、ROCKYを保護したのですが、それが裏目に出たのかもしれないと、みほさんは思っています。
最初は喧嘩をしても、一度仲良くなれば、あとは大丈夫だと思っていたのですが……。このごろROCKYが成長して、発情期を迎えつつあるようで、そもそもすぐにNORAに絡んでいたのが、このごろは一層、激しくなっていました。
みほさんがデング熱で入院をする10日前くらいから、明らかにNORAがROCKYを疎ましがっていて、ときどき「寄るな!」と威嚇したりしていました。
外出時間も長くなっていて、ごはんを食べにだけ帰って来る日も少なくありませんでした。みほさんたちが旅行に出かけたあとはもう、餌を食べる以外に、戻って来る理由がなくなったのかもしれません。
NORAは狩猟が得意ですから、外で獲物や食べ物を確保することができていれば、多分、どこででも生きていけるのでしょう。マルハンさんちに住み着く前にも、きっと別の場所に暮らしていたのでしょうから。この近所は最近、他の猫が増えていますし、お隣には2匹の犬がやってきましたから、住みにくいのかもしれません。少し離れたところに行ってしまったのかもしれません。
ROCKYは去勢手術をするにはまだ早く、あと1、2カ月は成長を待たねばならないそうです。それまでは、NORAが帰って来ても、彼女にとっては落ち着かないと思います。
猫の世界も、いろいろとたいへんなんですね。
大勢の猫をたくさん飼っている猫屋敷では、いったいどんなドラマが展開されているのだろう……と、みほさんは思わずにはいられません。
そもそも野良猫のNORA。みほさんとまるおさんは、自分たちが飼っている猫だと思っていたけれど、NORAにとっては、いくつかある拠点のうちのひとつに過ぎなかったのかもしれません。
いつかまた、ひょっこりと遊びに来てくれるのを待つしかないと、みほさんは気持ちを入れ替える努力をしているようです。
NORAさん。元気でいてくれるといいですね!