明日の日曜日は、エミさんとショーンのお別れパーティーを開く。 料理は家政夫モハンにお任せだけれど、デザートは作ろうと思う。 オーヴンが不調なので、オーヴンを使わなくていいいものを。 マンゴーシーズンが終わる直前に、 最後の最後の、マンゴーヨーグルトムース。 冷蔵庫のチルドルームがいっぱいいっぱいになるくらいを、作る。 それから、久しぶりにクレープを作ろうと思う。 カスタードクリームにホイップクリー... Read more →
- 今日のインドは独立記念日。1947年のこの日。70年以上に及ぶ英国支配より、開放された日。 - 街に翻るあちこちに国旗。サフラン色のヒンドゥー教、緑色のイスラム教、調和、平和、和解の白に、浮かぶはチャクラ、独立の証。 - 今日の日本は終戦記念日。1945年のこの日。玉音放送、ヒトの声。 - 国旗を、淀みない思いで、誇らしく国旗を、掲げられる国々と、そうでない国と。 - 日章旗の、憐れ。戦没者の... Read more →
あの日からまもない、マンハッタンの写真を、と思って、自分のホームページを探した。しかし、わずか2枚しか、見つからない。 そのうちの1枚が、上の写真だ。 あの日から一週間後の9月18日。夫の住むワシントンDCから、一人でニューヨークの自宅に戻ったのだった。その日の夕暮れ時。カメラを持って、アパートメントビルディングの屋上に出た。夕映えの摩天楼が、あれほど悲しく見えたことは、なかった。 「あそこにほら... Read more →
宴の翌朝の、 しん、と静かな部屋の、 その一隅で。 くっきりと、 すっきりと、 しっかりと、 毅然とした美しさで。 「百年は、もう来ていたんだな」 白にせよ、 黄にせよ、 橙にせよ。 この花の持つ、 凛としたしなやかさに、 憧れる。 Read more →
陽光の、イタリアンランチを終えて、帰路に就く。 みるみるうちに、かき曇る空。 彼方から、雷鳴。 大急ぎで、鳥たちが、 あちらから、こちらへ。こちらから、あちらへ。 車がガレージに入るや否や、降り出す大雨。 いい雨。 コンクリートが濡れる匂い。 緑の木葉が濡れる匂い。 ざあざあと、風を含んだ大粒の雨。 ばたばたと、雨に打たれる緑の揺らぎ。 デカン高原の南。標高920m。 生まれたところから、遥か遠い... Read more →
風邪気味で、咳をしている夫のために、 洗面器に湯をはり、ターメリックパウダーを入れ、ニームのオイルを垂らす。 夫の頭からバスタオルを被せ、洗面器の即席スチーマー。 「また、暴動が起こるかもしれないって。 「今度は、水源の、利権問題だって。 「カルナータカはタミルナドゥに負けたらしいよ。 「だから阿呆な奴らが暴れるらしいよ」 ダイニングテーブルで、バスタオルを被り、不動の夫。 その滑稽で、健気な姿を... Read more →
それは、ニューヨークに住んでいたときにもあった。 たとえ、2年、3年と住み慣れたころでさえ、New Yorkという文字を、見慣れ、書き慣れていたときでさえ、たとえば、封筒の左上に、Fromに続いて、自らの名前と住所を、New York, NY. 10023と、書ききった瞬間の、突然胸を過る、一抹の感傷。 New York, NY わたしは、ニューヨークに住んでいる。ここに、自分の家がある。住所があ... Read more →
ぐっと高度が下がるまで、光がまばらな大地を見下ろしながら。 未だ街灯の少ない夜景に、なぜか少し安心した。 大雨の夜。束の間の小降りのころに空港を出た。 道路は随所で濁流で、泳がんばかりに車は走り。 昼間は死んだように寝ている野良犬らが、 水を得た魚のように駆け回っている。 がたがたと、路面は荒れ果て。 自ずと身体が上下する。 やれやれ相変わらずなんてところだ。 しかしおかしさがこみ上げて来て、 一... Read more →
小さきころは、 細い竹竿にまとわりつくだけで精一杯で、 ふらふらと、右に揺れ、左に揺れ、 ささやかな風にも行方を失い、 支えを頼りに、しかし頼りなく、 ときに望まれぬ場所に巻き付いてみたり。 やがては、進むべきが見えたとばかりに、 大きなものをも巻き込んで、 ぐんぐんと伸び、 ぐんぐんと自由に伸び、 いつしか見上げるほどまでに、 激しい風雨にひるむことなく、 毎朝いくつもの花を咲かせて、 天を目指... Read more →