風邪気味で、咳をしている夫のために、
洗面器に湯をはり、ターメリックパウダーを入れ、ニームのオイルを垂らす。
夫の頭からバスタオルを被せ、洗面器の即席スチーマー。
「また、暴動が起こるかもしれないって。
「今度は、水源の、利権問題だって。
「カルナータカはタミルナドゥに負けたらしいよ。
「だから阿呆な奴らが暴れるらしいよ」
ダイニングテーブルで、バスタオルを被り、不動の夫。
その滑稽で、健気な姿を見ながら。
この絵を描いたのは、2004年4月のバンガロール。
THE TAJ WEST ENDの庭で、緑を広い集めた。
どうして、インドに住みたいと思った?
単なる好奇心で住処を転々とできる、
わたしは、身軽さだった。
いや、遊牧民のような身軽さを、切望していた。
わたしはわたしの自我を貫くために。
その正体不明の自我を貫くために。
神の啓示があったくらいの勢いで。
それが二人のさだめとでも言わんばかりに。
いろいろと、押し付けたり、巻き込んだり、洗脳したりしてごめん。
守っているつもりで、守られていたり。
支えているつもりで、支えられていたり。
この訳のわからんインドという国で、わたしは。