今年は10月7日から始まった「ダセラ/ダシェラ」。インド二大叙情詩のひとつ『ラーマーヤナ』の主人公であるラーマ王子が、10の頭を持つ悪魔ラヴァナを退治したことを祝する祭りだ。
ナヴラートリと呼ばれる女神を讃える「9日間に亘る祝祭」のあとの締めくくり、10日目にラーマ王子が鬼退治を成就するハイライトが「ダセラ/ダシェラ」である。
サンスクリット語で「9つの夜」を意味するナヴラートリ。9日間に亘り、毎日異なる姿で現れる女神を祀る。それぞれの日に、異なる色が定められており、その色に因んだ衣類などを身につける女性たちもいる。
ナヴラートリの祝い方は、インド各地で異なる。たとえば、東インドのベンガル地方では、ドゥルガー(複数の手を持つパワフルな戦闘の女神)をを讃える盛大なお祭りが展開される。
一方のここ南インドでは、 ダセラの時期に合わせて、ゴル (Golu)と呼ばれる人形のお祭りが行われる。飾られる人形は、ヒンドゥー教の伝説に因んだものから、マイソールなど宮廷の生活、結婚式、市場の情景、おままごと風の台所用品など、ヴァラエティ豊か。
見るからに、日本の桃の節句、雛祭りほとんど同じようなコンセプトだ。「奇数」の段が設置されるところも同じ。日本の雛祭りは、多分このインドの祭りの影響を受けているのではないかと察せられる。
昨日は、このNavratri Goluを祝うお祭りに招かれ、友人宅へ赴いた。玄関先で三姉妹が出迎えてくれる。ローズウォーターで清めてくれたあと、額に赤い粉のビンディーをつけ、ジャスミンの花をくれる。
顔なじみの友人たちも参加していて、サリーを着ている人も少なくない。尤も、昨日の色「ブルー」の色を意識した服を着ていたのはわたしだけで、みな、さほど気にしてはいないようである。
先日から何度か紹介している骨董品店 Vermilion Houseのオーナーであるウマは、偶然にも友人宅のお隣にお住まいだとのこと。カンタ刺繍のサリーがとてもお似合い。こんなエレガントで繊細なカンタ刺繍を見るのは初めてだ。
友人らと言葉を交わし、軽食をいただき、姉妹たちに人形にまつわる物語の説明を受ける。先祖代々受け継がれた人形の中でも、彼女たちの曽祖母が縫ったサリーを着た人形が印象的だった。
最近はインドでも、古くからの伝統を受け継ぐ家庭が減りつつある中、彼女たちのように文化を継承する子供たちの存在の大切さを思う。神々を讃え、日々の暮らしを慈しみ、豊穣に感謝する。ライフのさまざまが込められたお祭り。
実はインド生活16年のうち、このNavratri Goluに招かれたのは、今回が2度目である。中央に座すガネーシャ神を取り巻く、インドの神々……。将来は我が家でもやってみたいとの思いがよぎった。
🥻
昨日のサリーは、東インドのバラナシ・シルク。10年ほど前に、デリーで開催されていた展示会で購入した。ゴールドとブルーの調和がとてもエレガントで気に入っている。しかし結構厚手なので、決して着やすいとは言い難い。踊るイヴェントには不向きだ。💃