22日、日曜日の午後も、展示販売会を実施! 日本とインドの麗しき伝統工芸。文化、宗教、交易の歴史を映すテキスタイル世界の片鱗を。
美しい布に囲まれて、それを愛でる人たちと時間を共有できて、とても幸せな1日だった。今日、どうしても都合がつかない友人たちがいたので、日曜日の午後にもオープンすることにした。もしも来訪をご希望の方がいらっしゃれば、DMください。
着物のすばらしさに目覚めたのは、1年足らず前のこと。まだまだ学びの過程だが、短い間にも、さまざまな着物に触れ、書籍を取り寄せて調べ、少しずつ、造詣を深めている。
展示会やトークも何度か実施、そのたびに、資料を紐解いて、新たな世界を発見している。
今回の展示会を共に実施しているYashoは、たまたま先週、友人たちと日本旅をして帰ってきたばかり。彼女は羽織や帯を購入したいということだったので、リユースの呉服店を紹介。審美眼のある彼女は、すばらしい帯を購入してきた。
引き箔の、螺鈿帯。
日本語なのに、意味がわからない人が多数ではなかろうか。わたしは辛うじて「螺鈿」は知っていたが、引き箔という技術を詳しく知らなかった。
引き箔とは、西陣織の技術のひとつ。和紙の表面に金や銀の「箔(ハク)」を貼り、それらをごく細く糸のように裁断したもので織る、織物のこと。
螺鈿帯とは、この金銀の箔ではなく、貝殻の内側の輝く部分を丁寧に剥離し、柔軟になめして和紙に貼り、糸状に裁断して帯に織り込んだもの。
もう、わけがわからない情熱、いや情念がそこにはある。Yashoもわたしも、このあたりの探究心が強いので、昨日はサリーの展示準備をしながらも、ロンドンのV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)制作の動画などに見入るなど、諸々の情報交換に余念がない。
V&Aは、個人的に好きなミュージアムで、ロンドンに行くたびに訪れている。しかし、引き箔の帯が展示されていることは、知らなかった。いや、目にしていたとしても、注意を払っていなかっただろう。当時のわたしは、そこに見入る目を持っていなかった。
Yashoは、昨年末に拙宅で実施した「着物とサリーの比較展示会」にも来てくれており、着物のことにも詳しくなっているので、ゲストに日本の伝統的な手工芸のすばらしさを熱く語ってくれた。
Mrinaliniのサリーの麗しさもまた、特筆すべき。すでに記したが、彼女はCOVID-19パンデミック時代に、困窮する職人たちを支援すべく、ブランドを立ち上げて販売している。有名なサリーブランドで販売されているのと同じ職人が手がけた同じ作品(商品)をかなり割安で提供している。
多くの日本の人たちに、このテキスタイルの美しさを知ってほしく、当初は日本人向けにこの展示会を企画したのだが、残念なことに、参加希望者が少なかった。ミューズ・クリエイションのメンバーがサポートに来てくださったほかは2名のみ。それはそれで、時間を縫ってみなさんとランチを食べたり、おしゃべりしたりと、濃密に良い時間だった。
たとえ数名でも、伝統的な布の魅力に、触れ、関心を持っていただけたことは、とてもうれしい。
着物とサリー、日本とインドのテキスタイルについて、語りたいこと、伝えたいことが多すぎる。書けば書くほど長くなり、読む人は少ないのも自覚している。伝えることは、難しい。特に、早送りの情報に溢れた昨今の世界にあっては。
これは、インド移住当初から伝えていることなのだが、物議を醸すかもしれないことを覚悟のうえで、記しておく。日本の方々には、ポリエステルなど化学繊維のサリーではなく、絹や綿、麻、あるいは絹と綿の混紡など、天然素材のサリーを買って欲しい。決して高くはない。1万ルピー前後でも、パーティに着ていける上質なものはたくさんある。
異邦人の我々が、ポリエステルのサリーを着て、なんちゃってインドのジュエリーをジャラジャラと付けてインド人の結婚式や儀礼に出かけるのは、外国人が、日本の土産物屋で買ったペラペラの着物を着て、チープなかんざしを挿すなどして日本人の結婚式に出かけるのと同じようなものなのだ。
手持ちのシンプルなイヤリングやネックレスなどをうまく活用して、サリーに合わせたほうが、品よくまとまることもある……ということを、お伝えしたい。