わたしたちが訪れるとき以外は、
ほとんど誰も使わないマルハン実家の2階。
普段はベッドルームとリヴィングルームを使うだけだが、
今回は、古い家財道具などが置かれている部屋をのぞいてみた。
古いアルバムが、引き出しの中にあってなお、
たっぷりと埃を被って、眠っている。
いくつかの、フォトフレームもまた、打ち捨てられたように。
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真っ先に目に飛び込んで来たのは、夫の亡母アンジナの父。
手前の女性は、インドにゆかりのある人なら知っているであろう、
インディラ・ガンディ元首相。見るからに、強く鋭い存在感。
実業家であった祖父は、政界(コングレス)に身を置いていた時期もあり。
このような写真も残されていた。
ちなみに亡母の旧姓は「プリ」。
マルハンも、日本的にはいかがなものか、な名字だが、
「坂田プリ美穂」というのも、なかったな、と思う。
まだ、マルハンの方が、よいようだ。
ついでに義姉スジャータの名字「ヴァラダラジャン」というのも、
日本人にとって、発音するのもスペルを相手に伝えるのも、超困難。
「坂田ヴァラダラジャン美穂」
くどい。くどい上に、ふざけた感じさえ漂う。
名前って、大切ね。
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微笑ましすぎる、この一枚。アルヴィンドの両親と、中央はたった一人の従兄弟。
アルヴィンドと義姉スジャータの、酷似した脚線美!
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アルヴィンドの眼鏡といい、澄ました表情といい、
……笑える。
厳格だった「プリ」側の祖父。
翻って「マルハン」側の祖父は、日本でいう林野庁のようなところに勤務していたのだが、
「パーティー好きな夫婦だった」という話ばかりを聞く。
散財して蓄えを使い果たし、晩年、身体を壊した父のために義父ロメイシュが苦労したことを、折に触れて聞かされる。
今のこの実家も、若いころにロメイシュが働いて、ダディマのために購入した。
その後、大幅に改築し、今の4階建ての家になったのではあるが。
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タキシード好きだったという、祖父。右隣がダディマ。
クリスマスの帽子を被り、見るからに、パーティがお好きな様子。
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こちらは、屋外のパーティの様子。
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英国統治時代につき、英国人との交流も深かったようである。
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これはロメイシュとアンジナの結婚式の光景。
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わたしの育った日本での環境とは、悉く異質の世界。
現在よりもむしろ、過去を遡るときに、
国際結婚の面白さを実感する。
先日、バンガロールの拙宅に来訪したランジート伯父の話もそうだが、
まだみなが存命のうちに、
過去の話をインタヴューして書き留めておきたいとも思う。
事実は、小説より奇なり。