庭に、山吹色と、濃いピンクのブーゲンビリアが咲いた。もっとたくさん花開き、庭を色鮮やかにしてほしいものだ。
しばらく姿を見なかった野鳥たちが、やはり渡り鳥だったのだろうか、このごろは戻って来たようで、朝な夕なにさまざまな鳥たちの鳴き声がそこかしこから、聞こえて来る。
庭の、太陽が一番よくあたる場所に、洗濯物を干す。米国時代はずっと乾燥機で、だからインドに移住後、外に洗濯物を干すのは十数年ぶりのことだった。いつもは使用人がやってくれるのだが、ときどきは、自分で干す。
太陽の日差しを背中に感じながら、洗濯物を干すのは、とても気持ちがいい。太陽の光ですっかり乾いたタオルや寝間着やシーツの感触は、乾燥機で過剰に熱せられたそれよりも、とても心地がよい。
たまに、上空を飛び交う鳥たちが「落とし物」をしてくれるのが、玉に瑕。なぜか夫の寝間着(真っ白いクルタ・パジャマ)が、しばしば被害に遭う。
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久しく不調だったオーヴンを、数カ月前に買い替えた。タルトなどを焼きたいところだが、そのために買い物へ出かけるのも面倒だ。あり合わせの材料でクッキーを焼いた。
小麦粉(MAIDA)が足りなかったので、チャパティ用の全粒小麦粉(ATTA)を使う。粉砂糖もグラニュー糖もないので、無精製の黄土色した砂糖、JAGGERY(ジャガリ:サトウキビ、もしくは椰子からとれる甘みの強い濃厚な砂糖)を使う。無塩バターがないので、普通のインド製(BRITANNIA)のバターを使う。そのかわり、レシピにある塩を加えない。あとは、卵黄。
適当に、手で丸めてペタンとおさえ、シートに並べる。このフランス製の耐熱シートは優れもの。すでに先進諸国では普通に使われているのかもしれないけれど。わたしはカリフォルニア時代、料理学校の見学に行ったときに知った。
そして、ナパのワイナリー巡りをしたとき、CIA(米中央情報局ではない)のショップで、購入したのだった。ほかに、同じ素材のパウンドケーキ用の型など。実に、重宝している。
全粒小麦粉で焼くクッキーは、素朴な味わい。ジャガリは甘みが強いので、分量を控えめにしておいたのだが、それでちょうどよかった。
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土曜の夜は、義姉スジャータ&義兄ラグヴァンたちに招かれていたので、IISキャンパスにある彼らの家へ車を走らせる。今朝、スジャータはラッセルマーケットで魚介類を調達に出かけたらしい。わたしたちはサラダと幾つかのローフ(パン)、そして焼きたてのクッキーを持参。
なにしろインドならではのステンレス製深底鍋入りで、見かけこそ、今ひとつだけれど、カニ、白身魚、エビが入ったブイヤベースの、なんとおいしかったこと! スジャータはジュリア・チャイルド(フランス料理を米国に広めた料理家)のレシピを気に入っていて、これも彼女のレシピらしい。
本場南仏のマルセイユや、カンヌ、ニースで食べたブイヤベースは、とても美味だけれど、若干「塩分が強すぎる」傾向にある。しかしこのブイヤベースは塩加減もよく、魚介類のだしが本当によく出ていて、カニや魚もおいしい。このレシピで、わたしも今度、作ってみよう。
食後は、二人が昨年、ロメイシュ&ウマの4人でギリシャへ行ったときに買って来ていたという、デザートワインを開けて乾杯。
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月曜日、米国ではスーパーボウルが行われる。テレビを置いていないスジャータ&ラグヴァンは、しかしスーパーボールは見たいらしいので、インド時間の放送(早朝5時頃から)に併せて、日曜の夜、我が家へ「お泊まり」に来る。確か、去年も来た。なかなか情熱的な二人である。