夕べは、久しぶりに夜更かしであった。といっても12時半にはベッドにはいった。夜更かしというほどでもないと思われるかもしれないが、朝、6時過ぎに起床するには、遅過ぎる。
我々夫婦は睡眠重視型の点において、かつてから共通しており、最低でも7時間、可能であれば8時間睡眠が基本だ。仕事に追われているときなどは、それぞれ5、6時間程度しか睡眠をとらないこともあるが、基本的には避けたい事態である。
夜更かしをしたため、従っては起床も遅れ、ヨガ道場は行かなかった。
それはさておき、夜更かしの理由は、読書であった。先だって、七尾氏より送っていただいた大量の書籍の中の一冊である。伊坂幸太郎という作家の『重力ピエロ』という本だ。興味深く読んだ。遺伝子や、暗号解きなどのモチーフ。
「好きな作家か?」と問われれば、まあまあだ。しかし、途中でやめるつもりが、やめられなかったのは、面白かったからに違いない。
さて、今朝、朝食のテーブルにて。
夫は、夕べから気になっているらしいディールの話を延々としている。わたしは、毎度のことながら、聞くともなしに、聞いている。
「いろいろ考えすぎて、夕べはよく眠れなかったよ」
そう言いながら、テーブルの隅に目をやる。昨日の、わたしの計算の名残の電卓が、そこには置き去られていた。コーヒーを飲みながら、夫が電卓を手に取り、数字を入力する。
「これ、読んでみて」
液晶には、80085の数字。夕べ読んだばかりの本が脳裏をよぎる。これは、何かの暗号?
「エイティサウザンド エイティファイヴ……でしょ?」
「違う。数字として、じゃなくて、アルファベットとして、読むんだ」
「アルファベット……? 80085……BOOBS……BOOBS?!」
あ、朝っぱらから、この男は……。
……。
BOOBSとは日本語で、「おっぱい」という意味だ。
今日も、いい一日になりそうだ。