本日のクッキングクラスは、第8回目。少々「上級」なメニューの登場だ。いや、このレシピを上級と呼ぶべきか否かはさておき、「一般的な北インド料理からは少々逸脱した」メニューである。
「上級」ながらも本日は初心者が3名。うち一名は、日本在住の当ブログ読者の方。ご主人の出張に同行してバンガロールにいらっしゃり、つまりは「一日クッキングクラス体験」として参加なさった。もう一名は、受講生Y子さんのお友達。彼女も旅行でバンガロールに来ており、今日一日の参加だ。
そんなわけで、本日は、「一日だけの受講生」のために、実習以外の料理も、いつもに加えて充実。あらかじめモハン師匠に準備をしてもらっておく。
さて、今日のレシピは、モハンではなく、スジャータ師匠によるもの。彼女が作ってくれた料理がとてもおいしかったので、モハンに作ってもらい、やはりうまくできたので、今回、講習のメニューに導入した次第だ。
■ミューズ・クッキングクラス :第8回■
インドでは、コルカタのある西ベンガル地方や、チェンナイのあるベンガル湾に面した東海岸、またインド洋に面したゴアやケララ州などで、盛んに魚介類が食されています。
西ベンガル地方の都市部では、主に淡水魚が好まれ、毎日のように食卓に上ります。その他の地域では、ポムフレット(マナガツオ)や各種エビ、カニ類がよく食されます。
新鮮な魚を食べ慣れた日本人にとって、バンガロールで手に入れられるの魚は鮮度が低く、市場の状況もよくないことから、魚介類は敬遠されがちです。しかし、早朝の市場はハエも少なく、比較的新鮮な魚介類を入手できます。
●フィッシュ&ポテトのコロッケ
ポルトガル植民地時代の文化が根付いているゴアは、その食文化もユニークです。このフィッシュ&ポテトコロッケは、そのゴアが発祥の地。今回は、MACKEREL(サバ)を用いて作ります。ポムフレットは1キロが約300ルピーと少々「高価」ですが、サバは約70ルピーと格安。(※サバというより、アジに近い魚のような気がする。)
日本のサバと違って小振りで、小骨が多いのが難ですが、コロッケにすると食べやすく、たいへんおいしく味わえます。パン粉(BREAD CRUMBS)はインドにも売っていますが、「世界中のシェフに賞賛されている日本製」が香ばしくていいでしょう。もちろん、自家製でもOKです。
●ひよこ豆のカレー
ほくほくと、まろやかな味わいのひよこ豆(CHICKPEA/ chana)を用いたカレーです。オーソドックスな味付けが、豆の風味を引き立てます。
●ポテト入りパラタ(パランタ)
チャパティの生地に、ふかしたポテトを包み込んで丸く伸し、Tava(チャパティ用の平たいフライパン)で焼くパンです。ポテトのかわりに大根やカリフラワーを入れたものも一般的。こってりした味わいを楽しみたい場合は、油やギーを表面に塗って焼きます。
以上が本日のメニューである。
で、なにが「斬新な調理法か」といえば、魚、である。わたしは魚を捌くことができるので、魚屋では「クリーン」にしてもらわず、丸ごと買ってくる。クリーンにしてもらうつもりが、「汚くなりそう」だしね。インドだもの。
一方、料理長モハンは、これまでも何度か記したが、「魚の扱いが苦手」である。匂いがだめらしい。意外に根性なしである。だから、というわけではなく、これはスジャータからの伝授なのだが、魚を捌かず、つまりは「丸ごとゆでる」のである。
丸ごとゆで上げた魚の、骨や皮を手で取り除き、小骨などを除去しながら指先でほぐしていくのである。
最初にそのやり方を聞いたときには仰天した。が、考えてみれば、生臭い作業が軽減する。しかし、いいのかそれで? と思わないでもない。
でも、そのやり方で作ってもらった料理がおいしかったのだから、多分、いいのだろう。
無論、これは「小振りの魚」かつ「身をほぐす調理法」にのみ適応される方法らしく、それ以外はやはり、普通にわたを取るなどした後、調理する。
受講生に「丸ごとゆでる」旨を告げたところ、やはり一同、驚愕していた。かなり怯んでいる向きもあったが、しかし、今回、そのやり方でチャレンジ(実習)することにした。
最初は「奇抜すぎるのでは?」との印象を拭えない一同ではあったが、そしてゆであがった魚に手を触れるのを憚っていた人もいたにはいたが、慣れとは恐ろしいものである。
ふと気づけば、みなでおしゃべりをしながら、和気あいあいと魚の身をほぐし、骨などを取り除くうちにも、すっかりそのやり方に慣れ親しんでいる風である。
既成概念を打破したのちの、拘泥なき晴れやかさ。とでも言おうか。
魚の身をほぐし終えたら、ゆでて潰したジャガイモ(ジャガイモも、小振りのものは、やはり丸ごとゆでるのだ。その方が粘りが残るのだ)、コリアンダーの葉などと混ぜ合わせ、形を整え、卵をくぐらせ、「日本のパン粉」をまぶし、下準備を整える。
「魚の代わりに、鮭缶でもいいかもね」
「ツナ缶でもいいかもしれない」
早くも安易な調理法アイデアが話題となる。
カレーソースを作り、豆を煮込んでいる間に、今度はパランタの準備。
チャパティの生地に、餃子を作るときのようにジャガイモの具を包み込み、それを丸く伸すのだ。師匠が見本を見せてくれるが、やはり彼のやるように速やかにはいかないものである。
少々不格好な焼きたてパランタ、揚げたてコロッケを味見しながらの調理実習。どれもおいしく出来上がった。
さて、お待ちかねの試食会。実習メニューのほかに、チキンスープ、ホウレンソウのカレー、ニンジンのソテー、ライタ(キュウリ入りヨーグルト)も加わって、なかなかに豪勢だ。
今日はスジャータが参加していたのに加え、アルヴィンドも毎度ながら食事のみ参加し(来週から新しいオフィスに移るので、そうしたらもう家では仕事をせず、会社に毎日出かけると本人曰く)、6人がけのテーブルに9人がひしめきあい、賑やかな食卓。
食後は、マダムが昨日、ティーパーティー向けに試作していた「パイナップルケーキ」などをお出しし、お茶を飲みつつ。今日はしかし、おしゃべりは早めに切り上げ、皆でカニンガムロード沿いの「マダムお勧め店」を巡るツアー。
毎度おなじみHATWORKS BOULEVARDにはじまり、KAHAWA、INFINITEA、SVISTI、ASIAN ARTS EMPORIUMなどをご案内。みなそれぞれに、お気に入りのあれこれを見つけてお買い物を楽しんでいた様子。
わたしも、ついうっかり、ちょっと派手色のストールを買い求め、それからカシミール地方産のサフランを買い求め(健康によいのです。しかもインドじゃ安いのです!)、うれしく帰路につく。
さて、インドじゃこのごろお祭り続き。明日あたりからは、最も大きな祝祭の一つであるDASARA(ダサラ)が始まるらしい。
夫が出先から「お祭り祝い」の菓子をもらって来た。いずれも練乳凝縮的味わいの、相変わらずな激甘インド菓子。しかし、これらが「おいしい」と思えてしまう昨今。危険な限りだ。