ちょっとした取材のため、カメラを携え、午後、コマーシャルストリートに出かけた。
ときどき訪れるシルヴァーの専門店に立ち寄る。激しく狭くて、雑然とした商店だ。しかし、ここに来ると、ついつい何かを買ってしまう。
上の写真の大半は、その店で買った。この他にも、足用の指輪やアンクレットなども買った。
シルヴァーにセミプレシャスストーンを施したペンダントやネックレス、ピアスなどが山のように売っている。
昨日買ったのは、中央にある黒いペンダントヘッド。大きなオニキスの上に、シルヴァーが被せられている。そこはかとなく「アールヌーヴォー」なところが気に入っている。
いずれもUS$10からUS$20程度。お手頃である。従って、ついつい気軽に買ってしまう。
さて、上の写真は、女性が額に付けるビンディーである。本来は赤い染料を指先で塗るものだが、このごろでは「シールタイプ」が特に若者の間では流行っている模様。デザインもさまざまで、光り物系も多い。
婚姻している女性は必ずビンディーをつけるのが、習わしというか、しきたりである。とはいえ、わたしは滅多にしない。たまにサリーを着たときなどにシンプルな赤い楕円のビンディーを付ける程度である。
滅多にしないのには、理由がある。
ところで最近は、「きれいなお姉さん」の多くが「小振りで縦長のビンディー」を付けているのをしばしば目にする。とても美しく見える。「小振りで縦長のビンディー」を付ければ、ではきれいなお姉さんになれるのか、と言えばそういうわけでもないのだが、でも、ついつい買ってしまう。
帰宅して、付けてみた。……ふむ。ま、いいだろう。
やがて夫が帰宅。
「おかえり〜」
と言いながら、愛妻がハグをしようとしたところ、夫、それを押し返す。
「それ、はずして! キモチワル!」
日本語で、「キモチワル」である。
そう。わたしがビンディーをしない理由。それは夫が嫌っているから、である。なんで嫌うのか、己が祖国の習慣を。それも、ハグしようとする妻を押し返すほどに、嫌う理由はなんなのだ。
「ともかく、それ外して! 特に小さいのは、キモチワル! ミホは額に3つもほくろがあるんだから、全部が混ざって、変!」
確かに、わたしの額には、まるでオリオン座のように3つの星が、いやほくろが並んでいるのである。だからって、ビンディーと混ざり合うほどの存在感ではないはずだ。
「ともかく、僕は嫌いなんだ! そのインセクトのウ●コみたいなの!」
インセクトのウ●コ……。
昆虫の、ふん……。
伝統とは。そして文化とは。いかに守り行くべきなのか。
わたしには、よくわからない。
ともかくは、この男を、なんとかせんにゃならん。