家をしばらく空けたあとの、帰宅の直後にはまず、庭に出る。夕闇にぼんやりと浮かぶ、大輪のハイビスカス三輪。不在のときに、豊かに花を咲かせて。
朝。降り積もる、「人々の樹」の、枯れ葉。落とした先から、ほんのりと赤みを帯びてつやつやとした、やわらかく新しい葉が乾いた枝から生まれている。
鋭いくらいの、すでに夏の日差しは、シャワーのあとの濡れた髪を瞬く間に乾かす。心地よく。
緩やかな、とはいえ、四季はあり、しばらくは不在だった鳥たちの、このごろは賑やかで。木の実をついばむリスたちの、大樹の枝を駆け巡り。
庭師の、掃除を終えた庭の、豊かに水を得て立ちこめる土と緑の匂い。誘われて舞い飛んで来る蝶たちのひらひらと。
現の中の、夢。
夢の中の、現。