今週はムンバイ・ウィーク。またしても午前4時半起床で7時発のジェット・エアウェイズに乗り8時半にムンバイ着。
しかし、飛行機が遅れたり、空港から市街まで渋滞だったりで、ナリマンポイントにあるオベロイホテルへ到着するころには10時を回っている。近いと言えば近いし、遠いと言えば遠い。
さて、チェックインをしたあと、インターネットを接続してメールの確認などをすませ、今日はコラバ地区にあるCourtyardへ行こうと思う。インドのデザイナーズブランドが一堂に会した高級ブティックの集合体だ。
今日は仕事ではなく、個人的な関心から、インド・モダンファッションの動向をキャッチすべく、である。
例の漁村エリアに、かなり不釣り合いな存在感でたたずむCourtyard。タクシーを飛ばして出かけたというのに、なんと月曜日は全店閉店。
どっと脱力感。同時に空腹感。ランチにはまだ早いが、コラバ商店街まで歩き、地元の食堂でランチをとろうと思う。それにしても、ついこの間まで、肌寒かったはずなのに、今日のムンバイは日差しが強くて暑い。これからどんどん蒸し暑くなっていくのだろう。
ムンバイには、特に北部の新興エリアを中心に新しいショッピングモールが次々と誕生しているが、わたしはこの、小汚くゴミゴミとした商店街を歩くのが好きだ。いや、好きではないのだが、楽しい。快適じゃないし、汚らしいのだけれど、楽しいのだ。
さて、ランチの店は、気になっていたものの入ったことのなかったKailash Parbat Hindu Hotel。ここは本来、チャートなどのスナック類がお勧めなのだが、ランチとスナックをまとめて食べることにした。
ピンポン球のような揚げスナックの中に、ジャガイモ、チャツネ、マサラ(調合スパイス)などを入れ、ヨーグルトをかけたもの。
デリーやムンバイにはこのチャートを食べられる店はたくさんあるのだが、バンガロールは少ない。なので久しぶりに食べてみたかったのだ。
まるごとを一口でがぶりと食べる。甘酸っぱい風味とスナックの香ばしさがなんとも言えずうまい。一人で来ているのにスプーンが二つ付いている。一人で食べ尽くすものではないのか。今度はアルヴィンドを連れて来なければ。
さて、スナックの後は、ターリー(定食)を注文(写真上)。これは塩分が強すぎて、味は今ひとつ。ともあれ、それなりにおいしかった。これにデザートのグラブジャムンとムサンビ(スイートライム)のジュースがついて150ルピー。満足である。
上の写真は、インドのスイーツ。思えば今まで、インド菓子の写真をあまり載せたことがなかったことに思い当たったので載せてみた。ひとつひとつ説明したいところだが、きりがないのでやめておく。ほとんどに共通して言えるのは、「主には砂糖と牛乳が原料」で「相当に甘いこと」である。
ひとつだけ、説明しておこう。右下のオレンジ色の菓子ジャレビー。これだけは牛乳を使用していない。小麦粉でつくったタネを、トロトロと模様を描くようにして油に落として揚げ、それをシロップに浸して甘みを吸収させたもの。
一口かじれば、シロップがジュワ〜ンとしみ出して、猛烈な甘さが口中に広がる。平均的日本人なら脳天を貫かれること必至。これが慣れるとおいしく感じるから危険。特にあつあつがおいしいのだ。そういえば、オールドデリーで食べたジャレビーはおいしかったな。
ところで食事中、隣席のカップルをみて驚いた。実は今朝の飛行機で、隣の隣に座っていた年の頃なら23歳のかわいらしい女性が、ボーイフレンドらしき人と食事をしていたのだ。ピンクとブルーのコンビネーションが鮮やかなサルワールカミーズを着ていて、とてもかわいらしいイアリングをしていたので、覚えていたのだった。
思わず声をかけたら、彼女の方もわたしを覚えていたようで、しばし世間話。なにしろ早朝のバンガロールームンバイ便。乗客の大半がビジネスマンで、女性の乗客は数えるほどしかいない。自ずと目立ってしまうのだ。
さて、ランチの後は腹ごなしを兼ねて商店の連なるメインストリートを歩く。埃っぽく喧噪の、混沌の街路に、時折、おしゃれなカフェやファッションブティックが、まるで異次元への入り口のように紛れている。このあたり、じわじわと再開発が進んでいるのかもしれない。
ついついコラバ市場へと足を踏み込めば、またここも、異次元空間。山ほどの野菜や果物。行き交う牛車にヤギや野良猫。
ほんの数十分歩いただけで、さまざまにユニークな情景に出くわす。たっぷりと髭を蓄えたおじさんは、自転車(改造車)を漕ぎながら、得意げに「人力砥石マシン」でナイフを研いでいるし。
酒屋の看板娘が「犬」というのも、世界広しといえ、そうそうないだろう。第一、店の人は商売する風情をまったく見せておらず、犬を大切そうに撫でている始末だし。
本当に、インドって、すてきな国。