毎朝、パラパラとめくる新聞四紙。mint, The Times of India, Bangalore Mirror, The Economic Times。以前も何度か記したが、mintが経済誌とはいえ、もっとも質が高い。
一方、Bangalore Mirrorは、文章の構成もひどいし、編集も乱暴だが、しかし地元のニュースを知るにはこれが一番。ただ、文章の要約がいい加減で、唐突な書き出しではじまったりするので、英語力不足のわたしは、主旨を理解するのに時間がかかる。姉妹紙のThe Times of Indiaに同じニュースがとりあげられている場合は読み直して、内容を確認することもある。
インドは広い。日本の10倍の国土に、10倍の人々が住んでいる。だから日本の10倍の濃密さか、といえばそうではない。
人種、宗教、言語、習慣、コミュニティ、その他もろもろの違いが混沌と入り乱れていて、だから日本の100倍も、200倍ものバラエティと、価値観が、多分ひしめきあっている。
そんな国だからこそ、日々、入って来るニュースを見るだけでも、目に留まらないものが、ないわけがないのである。
カルナータカ州議会選挙で、最大野党のBJP(インド人民党)が、物価高騰に強く反発する低所得者層の支持を得て勝利を収めた。
貧困層の間で横行している密造酒。とある密造酒に含まれていた成分に問題があり、ここ数週間で何十人もの人々が命を落としている。警告を出しても、警告を知る余地のない人々ばかりが、命を落とす。男は1日100ルピー(260円程度)、女は75ルピー平均で、朝から晩まで工事現場で働く出稼ぎ労働者など。
新空港はよくない。遠い。建物が無機質。インドらしさを伝えるなにもない。トイレが狭い。男子トイレは便器が4つしかない。ロビーに座る場所が少ない。食事が高い。周辺が殺伐としている。そんな文句だらけの個人ブログを引用したコラム。
ボリウッド情報だけでなく、なぜかハリウッド情報にも敏感で、海外セレブリティのゴシップレポートにも余念がない。なぜかインドに来て、ブラッド&アンジェリーナの記事をよく目にする。彼らがインドでロケをしたせいもあるだろうが、それにしても。
スズキ、ホンダ、トヨタにかなり遅れて、日産がようやくインドで大規模展開を開始。インド自動車大手のマヒンドラ&マヒンドラと合弁するしないの話があったのは、去年だったか。結局は合弁はなく、日産・ルノーでTATAのナノに対抗すべく25万円の車を販売予定だとか。
自分のための備忘録としても、ときにはメモ代わりに綴りたいと思うのだが、情報はごうごうと流れ去って行く。
■別れ
月曜日は、友人ら6名と例の新しいイタリアン、GIANCARLO'S PLACEでランチ。友人の一人が帰任するのだ。バンガロールに暮らし始めて2年半。わずかの間に、いったい何人の人たちと、別れを告げただろう。
昔からそうだったが、このごろはとくに、人との別れを惜しむ気持ちが浅い。
それは多分、「いつかどこかでまた会える」と思うからかもしれない。永久の別れではないのだから。今の時代、メールのやりとりなどもできる。そもそも日常的に、高頻度で、特定の人と一緒に過ごすことがないから、そう思うのかもしれないけれど。
しかし、別れをさほど惜しまない、というのは、喜怒哀楽の、「哀」の情趣が鈍くなっているのでは、と思うこともある。敢えて「哀」を避けようとしてきたこともあったけれど、「哀」もまた、人生のスパイスであり。
■大きい二人
嵐のなか、予約していたLEELAのスパへと赴いた。THE GRAND ASHOKのお気に入りスパのドクターがいなくなって以来、今のところここのトリートメントが気に入っている。
アーユルヴェーダのエステティシャンは、本場ケララ州出身の女性が多い。ケララ州の女性は非常に小柄な人が多いのだが、なぜかLEELAでわたしを担当してくれた二人は、わたしよりも背が高い。つまり166センチ以上はある。かなり珍しい。THE GRAND ASHOKでの、お気に入りだった二人は、わたしの肩ほどの身長の、かわいらしい二人だったのに。
大きな二人は、大きいだけあり、動きがダイナミックで握力もしっかりしている。小さい二人のマッサージも好きだったが、この大きな女性のマッサージは、かなりわたしに向いている。上手な人と巡り会えてよかった。
マッサージのあと、スチームバスで蒸らされるときの心地よさ。いい具合にオイルが全身に染み渡った自分の身体を見ながら、いつも「注文の多い料理店」を思い出す。
■インド的
火曜日に、急ぎのリサーチの仕事を終えた。4、5人の、然るべき条件を備えたインド人男性に、とある日本企業のCMを見てもらい、感想を聞くというもの。
日本にいるころは、いや米国にいたころさえ、違和感のなかったであろうその映像が、インドでは、妙に浮く。身体にすんなりと入って来ない。違和感がある。
やっぱりインドには、独特の空気があるのだということを思う。視聴者の反応も、わたしの予想に近く。つまりは、わたしの感性も、インド的なものを十分に理解し始めているということか。いや、理解を超えて、わたし自身の感性にすら、なってしまうのか。ううむ。
■過去を編集
母校、香椎高校の文化祭に展示する作品も仕上げた。DHLで送った。依頼された内容よりも、かなり(相当)ボリュームが多くなった気がする。力を入れ過ぎた気がする。
高校卒業以来25年間の自分の足跡を編集するというのは、簡単そうで難しいのだ。他人のそれを編集するときは、バサバサと客観的に削り落として編集できるが、自分のことである。どれもこれも、かけがえがないのである。
それでも、見やすさ、わかりやすさを重視して、作っては見たが……。
今どきの高校生の目に、いったいどう、うつるのだろう。