米国時代は、指輪と、結婚時にインド家族からもらっていたバングル以外のジュエリーを身に着けることはほとんどなかった。そもそも肩こり症である。ネックレスやペンダントの類いは、パーティなどの時以外はつけなかったし、ピアスホールもなかったのでイアリングをすることもなかった。
二十代の頃、一度ピアスホールをあけたことがあったが、うまくいかず、そもまま閉じてしまっていたのを、インド移住に先駆けて、カリフォルニア在住時に改めて空けたのだった。
インドはジュエリー王国である。金に銀に天然石と、人々は日常的に身につけている。しかも大振り。そもそもから大振りのジュエリーが好きだったわたしには、このうえなく魅力的な事態である。
この2年間のうちに、「お手頃だから」と何度衝動買いをしたことか。それらの蓄積を合計すると、少しもお手頃ではないのだが、「あとに残るものだから」という大義名分のもと、折に触れて購入している。
先日の「仰天ライフ」を見てくださった方からは、
「もっと家の様子を見たかった」
「ジュエリーやサリーを見せて欲しかった」
といったリクエストをいただいたが、わたしとしてはわたし個人よりも、わたしの暮らしや視点を通して、今のインドの現状をバラエティ豊かに紹介して欲しかったこともあり、それは敢えてプロデューサーに「控えめに」とお願いしてのことであった。
ブログ上でコレクションの紹介を、とも思ったが、やはり自分の持っている貴金属を見せるのは気がひける。将来は匿名のブログを設けて、そこでひそかに「インドの職人が紡ぎだす美」の一例として、サリーやジュエリーほか、インド手工芸品を紹介していこうかとも思う。
前置きが長くなったが、上の写真。「なんじゃ、この派手な指輪は?」と思われることであろう。マルチカラーと呼ぶには洗練されていなさすぎる色遣いである。わたしも事情を知らなければ、欲しいとは思わなかったであろうこの指輪。
実はこれ、NAVRATNA STONESと呼ばれるもので、9つの石が用いられている。9つの石は、太陽及び太陽系の惑星(プラス恒星)を意味し、幸運を招くと言われているのだ。
指輪よりも、ペンダントヘッドやネックレスとして売られていることが多く、指輪が欲しかったわたしは、これまでなかなか見つけることができなかった。ところがホテルの宝石店で、ついに見つけてしまったのだ。デザインも、インドにしては、なかなか小さめでコンパクトにまとまっている。しかもわたしの指にぴったりサイズ。
これを買わずにはいられようか。
いや、いられまい。
インド占星術では、出生データから9つの星の状態を調べ、自身に見合った石を選び、身に付けることを勧められる。それぞれの石にヒーリング効果があり、自分に見合った石を着用することで運気を高める。
つまりは、自分に合う一つを選べばいいわけで、9つ全部を身につけることもないのだが、なんとなく「太陽系ひとまとめ」というダイナミックなコンセプトにひかれたのだ。
石の構成や星との関連性が、文献によって若干異なるが、下記はわたしが購入した指輪の構成である。中央から時計回りに、
・ルビー(太陽)
・ダイヤモンド(金星)
・ヘソナイト(RAHU)
・真珠(月)
・珊瑚(火星)
・ブルーサファイア(土星)
・キャッツアイ(KETU)
・イエローサファイア(木星)
・エメラルド(水星)
右手にはその日によって、ネックレスやイアリングと合わせた指輪をしているが、左手は基本的に、薬指の結婚指輪とダイヤモンドの婚約指輪だけをつけている。その左手の中指に、今後は常時、この太陽系指輪を身に着けて、幸運をつかもうかと思う。
ちなみに9つの生薬配合なNAVRATNA OIL(廉価)は、相変わらず我が家愛用のマッサージ用オイルだ。インド在住の方、ぜひお試しあれ。