ムンバイのモンスーンの激しさを、噂には聞いていたが、実際に数日経験して、これはたいへんなものだと実感した。バンガロールのモンスーンは、たとえば夕刻の数時間、あるいは深夜、激しく降りつづけることはあるものの、一日中降るということは少ない。
しかしムンバイのモンスーンは、一日中、降ったり止んだりを繰り返し、まったく油断ならないのだ。灰色の雲は常時立ちこめていて、晴れ間を見せてくれるのはごくわずか。
こんな日々が、2、3カ月も続くのだという。たいそうな湿気である。返す返すも、モンスーンが始まる間際の、間一髪のタイミングでアパートメントを見つけることができて、幸運だった。
上の大きな写真は、ホテルの部屋からの光景。四六時中、こんな空模様なのだ。先週の日曜、プールサイドで過ごしたあの夏日がまるで幻。わずか一日でも、あんな日を過ごすことができてよかった。
■INDIGO
夕べは久しぶりに、Indigoへ。そして久しぶりにマティーニで乾杯。ここのカクテルは、インドにしてはかなり上出来なのである。あれこれ飲んだことがあるわけではないが、少なくともマティーニ数種は美味である。
サラダにパスタ、そしてダックのグリル。どれも非常においしい。この店を初めて訪れたのは移住前だが、雰囲気も味も変わらずよいので、うれしい。食後は、毎度おなじみの出来立てスフレ。週末を締めくくるのにふさわしいディナーとなった。
■危険物処理
ところで本日午後、バンガロールへ戻るべく、ムンバイ空港へ。渋滞を予測して早めにホテルを出たら、空港に早く着き過ぎた。中2階のCaffe Coffee Dayで、サンドウィッチを食べつつビール(!)飲みつつ、くつろいでいたら、なにやら異変が。
なんでも所持者不明の荷物が置き去られていたようで、危険物の可能性もあることから、撤去作業が行われているようである。チェックインターミナルの半分が封鎖され、誰もいない。
遠くに警察犬(?)が見える。悠長に座って、あくびをしているのが見える。さすが、インド犬である。
今度は、着ぐるみ、いや防護服を着用した男性が現れた。数人が、頭を覆うものをかぶせようとしているのだがうまくいかず、あまり緊張感のない光景ではある。
ほどなくして、危険物かもしれないその荷物は撤去されたようで、再び、空港に活気が戻った。
ところで左下の写真が、撤去作業中、右がその後の写真である。この画質の悪さ、なぜか反転している理由は、MacBook内臓のカメラで撮影したため。
実は今回、カメラのバッテリーチャージャーを持参し忘れ、後半の写真はアルヴィンドの携帯電話のカメラや、このMacBookのカメラで強引に撮影したものなのだ。
ともあれ、テロの危険が絶えずしてあるインド。持ち主の見当たらない荷物に対して敏感に反応し、処理する体制が整っているのは、ありがたいことである。
■バンガロール新空港
さて、1時間半の空の旅を経て、バンガロール空港へ到着。ああ、ここはもう、バンガロールではない。まるでよその国の、よその空港のようである。飛行機から降りれば速やかにターミナルに直結。全体がピカピカとしていて明るい。
「歪んでいる場所」が見受けられない。水平、並行が極めて正しい。
手荷物受け取り所も、「ガラガラ」だ。静かだ。カートが整然と並んでいる。ベルトコンベアーの周囲に人だかりがない。みな、整然と、重なり合うことなく、せめぎあうことなく、ベルトコンベアーの周囲に立っている。そうできるだけのスペースがある。
静かだ。あまりにも静かだ。ヒュルヒュルと、ベルトコンベアーが回るその音だけが、まるで北風のような響きを伴って、あたりを包んでいる。物寂しい。いやいや、快適だ。
あまりの「整然とした様子」に、なんだか笑いが込み上げてしまう。似合わない。インドらしくない。物足りないとすら思うが、いやいや、余計なストレスを感じることなく、空港を出て、車に乗り付けられることの心地よさ。
空港から1時間10分ほどで、自宅に到着した。悪くない。
明日からわずか1週間足らずのバンガロール・ウィーク。どんな日々が待っているのか。ともあれ、がんばっていこう。