あまりにも短すぎるバンガロール宅での日々。こうして二都市生活をするようになって、時の流れが一段とはやく感じる。その一方で、どちらで過ごす時間も、今まで以上に大切にしたいと思うようになり、日々は豊かだ。
豊かとはいえ、それを満たす要素はさまざま。雑事もそれに含まれる。それでなくても雑事王国のインドである。しかも二都市生活となれば、それらが二倍となるわけで、我が管理能力が問われるわけだ。
光熱費など家計費の管理や、使用人の管理・支払い、家の不具合の調整、その他諸々に加え、仕事や家計の会計処理、インドのクレジットカード明細の問題追求、全日空のマイレージが加算されていない文句電話、電話代払ったのに払われていないと言われて対応、電気代の名義変更がうまくいかない賄賂を渡すべきと言われて憤り、日本のクレジットカードのオンラインバンキングの不具合問い合わせ……などなど。
問い合わせ先はインド国内にとどまらず、日本、米国とあり、時差を考慮して電話するタイミングも気をつけねばならず、細々とひとつひとつを片付けていくだけでも時間が過ぎてゆく。
ちょっと(かなり)、いやになる。
●6000通の迷惑! 先週、メールをくださった方へお願い
そういえば、先週は一晩でジャンクメールが6000通以上も届くという非常事態に見舞われた。受け取るだけで40分以上はかかったと思う。
同時に、サーバの我がアカウントがいっぱいになってしまう事態が発生。メールを受け取ったにも関わらず、消去される設定が機能していなかったのだ。コンピュータ関連の用語が苦手な我。相当に気が重く、しかし逃げるわけにもいかず、米国のプロバイダに電話をする。
案の定、日本語でもよくわからんような、謎めいた専門用語を連発されて、ヘロヘロになりながらも対応策を教わり、museny.comセッティングを変更する。わたしなりに、よくがんばった。
幸い、うまく設定変更できたが、その過程において、メール送受信のトラブルが多発していたようである。ということに「メール届いてませんか?」というメールが届いて気がついた。
※先週21日から26日にかけてメールをお送りいただいたにも関わらず、わたしからの返信がないという方、いらっしゃったら恐れ入りますが、再送願います。
●生け花を学ぶインドの人々と、お茶会。
月曜、火曜は、主に仕事に集中していた。締め切りまでにはまだ1週間あるのだが、今週後半は約束が入っているし、金曜日はまたムンバイ。義理両親もやってくるから、早めに仕上げようと思ったのだ。
家に籠っていても、時に庭へ出てうろうろと散歩できるのが、本当によいバンガロール宅。雨上がりの青空。夕暮れの木漏れ日。星月夜に吹く風……。世間の声が聞こえぬ、緑に囲まれた空間。作業は順調に進み、さて水曜の本日。
マルハン家のファミリーフレンドであるディーピカから頼まれて、日本人マダムの茶道グループによるティーセレモニー(お茶会)のデモンストレーションをお願いしていたのだった。
小原流の生け花をたしなんでいるディーピカのことは、過去にも記したとおりだ。
生け花仲間が、華道と密接な関わりのある茶道を知りたいとのことで、開催となった次第。わたしは大学時代、お茶菓子にひかれて茶道を数カ月習ったことがあったが、なにもかも忘れ去っていて、素人状態である。
大した手伝いはできないので、茶道に関する資料を探してプリントアウトしたり、和菓子がないということで、早起きをして団子を作ったりする。
こんな団子は、茶道におけるお茶菓子ではないということはわかっている。
しかしここはインドである。
和菓子の味を、経験してもらうことに意義があるのだ。
幸い、ニューヨークの日本食料品店で買って来ておいた白玉粉、それから妹が日本から送って来てくれていたパック入りのこしあんときな粉があったので、それらを用いた。
失敗作、と称されたものをいくつも味見して、朝っぱらから団子で満腹状態である。
開催されたのはディーピカの友人であるシャマラ宅。シャマラと亡夫は日本で4年ほど暮らしたことがあるらしく、息子の妻も日本人なのだとか。日本語も少し話せる。
左上の写真は、お茶会開始前に、グローバルウォーミング(地球温暖化)に関する話をしている彼女。物を大切に使うことを、「精神面から」語り、更にはそれを、茶道や華道の精神にまで結びつけ、たいへん意義深い話だった。
右上の写真は、彼女たちの生け花の作品。それから中央の額の富士山はシャマラの亡夫が描いたものだという。富士山をこよなく愛していたのだとか。
シャマラの話のあと、早速、デモンストレーションの開始である。一つ一つの動きが定められたものであり、無駄な動作がないことなど、説明しなければわからないことがありすぎる茶道の世界。
まずは一通りのお手前を見てもらい、その後、ゲストにも参加してもらう。茶道をたしなまないものの、以前ニューヨークで茶道に関するブックレットを制作したことがあり、そのときの記憶をたどりつつ、できる範囲で説明もさせていただく。
ゲストの半数近くがお抹茶を味わい、茶の湯の一端に触れることができ、みなとてもうれしそうである。主催者のシャマラから日本のマダムへは菊の鉢植えもプレゼントされ、心温まるひとときであった。
クローゼットから浴衣をひっぱりだし、今後はわたしも日本的な装いでお手伝いさせていただこうかとも思わされた一日である。今度帰国したときには、母の昔の着物などを借りて、着付けの練習でもしようかしらん。いや、それは難しそうなので「ワンタッチ帯」でも買おうかしらんとも思う。
米国時代の必携エンターテインメント情報誌であったTime Out。
インドでも数年前にデリー、ムンバイで創刊されていて、ムンバイではすでに情報源として活用していたのだが、ついにバンガロール(ベンガルル)版が創刊された。
これまでは、新聞のイヴェント欄や映画欄などで情報を集めていたのだが、これで情報収集が楽になる。
新しいレストランやショップ情報、アートやフィルム情報などが掲載されていて便利だ。
バンガロール版。街が小さいだけにまだまだ「薄っぺらい」が、これから徐々に厚みを増していくことだろう。