上の写真は、バンガロールのガイドブックだ。移住前に書店で購入したのが下のバンガロール。上の厚い方が、最近発行された改訂版のベンガルル。わずか数年間で、いかにこの街が変化してきたかがわかる。
ページをめくれば、知らない事柄が次々と目に飛び込んで来て、加えては郊外への旅情報なども充実していて、興味は尽きないところだが、いやもう尽きてくれ、とさえ思う。
●ヴェネツィアを模したラスベガス、を模したかのような。
バンガロール市街中心地に久しく建築中だったUBシティが、じわじわとオープンしている。UBシティとは、バンガロール拠点のUnited Breweries (Holdings) Limitedの開発する一大ビジネスタウン。かつてはUBが製造するキングフィッシャービールの工場があった土地である。
オフィスビル、ショッピングモール、レストラン、サーヴィスアパートメントなどがじわじわとオープンしつつあるのだが、完成にはまだ時間がかかりそうだと聞いていた。
まだ未完成であることは知っていたが、高級ブランドのブティックが入っているショッピングモールの様子を見に行った。工事の槌音響く中、強引にオープンしている店もあるが、まだ半分といったところか。
ところでルイ・ヴィトンの外観。ユニークにも地元カナラ(カンナダ)語のサインが見える。実はこれ、ルイ・ヴィトンが率先してローカル色を出したわけではない。
オープンに先駆け、海外資本の流入に反対するBJP(インド人民党)の党員が、「看板にカナラ語を入れなければ、ガラス窓をぶち壊す!」などと宣言したらしい。
デリーの高級ショッピングモールでも似たようなケースが発生しており、それは過去、KFCがオープンする際に反対運動が起こされたのと類似のケースかもしれない。
インド。一筋縄ではいかないのである。そこがまた、いいところでもあるかもしれない。と傍観者は無責任にも思う。
さて、このモール。確かに高級感のあるビルディングには違いないが、そこはまるで、ラスベガスのベネツィアン。まだ完璧に出来上がっていないせいもあろうか、安っぽく見える。
自国特有の建築世界は忘却の彼方、ごく一部の街を除いては、町並みの伝統美や調和が喪われている国を母国とする者として、何をも言えたことではないが、しかし敢えて言えば、もっとインド建築のスパイスが利いていればいいのに、と思わないでもない。
が、これもまた、部外者としてのわたしだからこその思いかもしれない。
● インドの定番アイス、安っぽいクルフィがおいしい。
ハーゲンダッツの激高アイスクリームに反発するが如く、インド国産の美味なるアイスを先日購入したことは記したかと思う。前回はAmulのクルフィを試したが、今回はMother Dairyを見つけたので購入した。
本来クルフィとは、パラソルチョコレートの大型板のような形、つまり三角錐にスティックがついたものが定番のスタイルなのだが、わたしが試したのは、どちらも「素焼きの小さなツボを模したプラスチック容器」に入っていた。
実は、OWCのCoffee Morningの帰りにユカコさん宅へ立ち寄ったのだが、そのときのお土産にしたのである。
これは箱に入っていて、さらにはアルミニウムのスプーンまでついている。
ふたをあければ、前回のAmulよりもふんだんにピスタチオが載っていて、贅沢感がある。
味わいは……といえば、濃厚な練乳風味に、サフランやカルダモンの香りが効いていて、これまたおいしい。
たいそうカロリーが高そうだが、癖になる味だ。レシピは比較的簡単なので、自宅でも作れるだろう。卵を使わないので、生卵が危険な海外生活でも問題ないと思われる。近々試してみよう。
でも、買った方が安くておいしいかもしれない。
降り出せば数分もしないうちに、濁水が溢れ返る道路。
あちこちの、大樹の下で雨宿りする、バイク乗りたちの集団が微笑ましい。
などと情趣にふけっている場合ではない。
左右に排水溝のある道でさえ、その排水口が小さすぎるうえに、ゴミが口を塞いでしまい、水が思うように流れていない。
道路が交差するあたりは、双方向からの濁水が合流するところとなり、かなりの深さとなっている。
目まぐるしい勢いで建設建築ラッシュのインド各都市だが、土木基礎工事がまったくなっていない。誰かなんとかして欲しい。誰がなんとかするだろう?
大雨の中、牛車をひく男が見える。木陰にたたずむラクダと老人が見える。ハチャメチャである。
「弱者」は淘汰されていくだろう。