"The Kite Runner"(邦題:君のためなら千回でも)。それからトムハンクスが主演だという理由だけで、内容をよく確認せずに借りた"Charlie Wilson's War"を観た。"The Kite Runner"がアフガニスタンを舞台にした映画だとは知っていたが、"Charlie Wilson's War"もまた、アフガニスタンがテーマになっていた。
奇しくも、NGOに所属する日本人がアフガニスタンで殺害されたニュースが届いていたここ数日。あの、乾いた大地の、危険が満ちあふれている土地に身を投じて活動していた氏の冥福を祈りつつ。
"The Kite Runner"はまた、すばらしい映画だった。わたしは予告編もなにも見ずに見たのだが、それがよかった。これからご覧になる方は、予告編を観ずにいきなり映画に入った方がいいかと思われる。予告編はかなり「ネタばれ」なのだ。ところでこれは、同名の小説が原作になっている。きっとすばらしいものに違いない。近々読もうと思う。
"Charlie Wilson's War"は、"The Kite Runner"と比して語るに及ばず、などといっては失礼か。あまりにも対照的なストーリーが、よかったといえばよかった。
夕刻、眺めがいいんだか悪いんだかよくわからないご近所の、海辺の遊歩道を歩く。ここを訪れるときは、夕刻といえどもまだ太陽が高いころ。日が沈む前の夕暮れどきに、今度は訪れてみよう。
帰り道、NATURE'S BASKETで買い物をする。先日購入しておいしかったので、改めてDE CECCOのフェトチーネをかごに入れる。そばにあったカネロニも、試してみることにした。ゆで時間が20分と長いけれど、その形状がおもしろい。
2004年の9月3日、ワシントンDCはジョージタウンのイタリアンで初めて食べたナポリのパスタ「パッケリ」(←文字をクリック)を思い出す。あのように、筒型にゆであがるだろうか。だといいのだけれど。
タマネギとトマトをたっぷりと、そしてナス、マトンのひき肉を素材に、自己流の味付けでラグーを作る。
タマネギとトマト。北インド料理に不可欠な素材は、イタリアンでも不可欠な素材。トマトを湯むきしてジュースにしたり、タマネギをみじん切りにして使うところなど、インド料理とよく似ている。
スパイスやハーブなどの調味料を使い分けるだけで、かなり重なる調理法だ。
ぐつぐつとラグーを煮込む間にパスタをゆでるが、あいにく、パッケリのようなパイプ型を維持できず、平べったく、ラザニアのようになってしまった。
本来カネロニは中に具を詰めて食すらしいが、ちょいと面倒だったので、ラグーを上からかける。
これはこれで、悪くない見栄えだ。
ナイフで切らねばならず、食べにくいといえば食べにくかったが、歯ごたえのあるパスタと、旨味が詰まったラグーの調和は絶妙で、かなり美味であった。
ちなみにインドでは、イタリアンベイジルも手に入る。
お向かいのNATURE'S BASKETでは、小さな1パックが4ルピー、10円前後といううれしいお値段。
ベイジルを大量に仕入れてペスト(ソース)を作るのもいいだろう。
ベイジルだけでなく、ローズマリーやレモングラス、ミント、セージなどの欧州料理に使われるハーブ類が格安で入手できるから、気軽に新鮮な味覚を実現できる。
ところで本日、日本料理の素材が充実しているに気がついた。従来の、シンガポールや香港など諸外国経由の日本食材とは異なる「日本直送」の新鮮ムードが漂っている。
気になって輸入元を確認したところ、MAIDO INDIAとある。
まいどインディア。
若干、脱力するけれど、覚えやすいネーミングである。
帰宅後、さらに気になってウェブで調べたところ、ナリマン・ポイントを拠点とする輸入会社だということがわかった。
食品の輸入に限らず、日印の食に関するイヴェントや文化交流も行っているようで、去年は寿司コンテストや酒テイスティングをやっていたらしい。
そういえば、そんなニュースを新聞で目にした気がする。
担当者の名前に日本人の名はなく、中国系の人のようであった。
ともあれ、まいどインディアさんのおかげで、日本的な醤油やみりんやごま油がインドでも手に入り、ありがたい。このほか、コアラのマーチやとんがりコーン、チョコボール、きのこの山といったお菓子も売られていた。
その一方で、もうこれ以上、あれこれなくても、これくらいでいいとさえ思える。何でも欲しい物が手に入る環境は、それはそれで面白みが欠けてしまうものだから。
足りないものを工夫して補いながら、自己流で創造する楽しさは、海外生活の醍醐味でもあるのだ。などと自分勝手な発言だとは十分承知だが、敢えて。
激変するインドの日常に、毎度(!)複雑な気持ちである。