上の記事は今朝の新聞。下の記事は一昨日の新聞。日本の新聞のサイトでもこの記事は掲載されていたので、ご存知の方も少なくないだろう。インド人女性代理母と日本人夫妻、そして女児にに関する記事である。
一昨日、この記事を読んだときには、ここにコメントを綴ろうかと思ったものの、そのままになってしまっていた。
しかし今朝もまた、この件を巡る記事を目にし、綴っておくべきだろうと思うに至った。
内容を要約するとこうだ。
10カ月前、日本から一組の夫婦がインドにやってきた。ヤマダ・イクフミ氏とその妻だ。彼らはインド人女性と代理母契約を結んだ。その際に利用された卵子が、ヤマダ氏の元妻のものか、あるいは第三者のものかは、明らかではない。
代理母は、先月7月下旬にジャイプールで女児を出産。生後十日余りの彼女は、誰が命名したのか、マンジ・ヤマダ (Manji Yamada) と記事にはある。
本来なら、夫婦がそろってマンジちゃんを受け取り、日本へ帰国することになっていただろう。しかしこうして記事に取り上げられるに至ったのは、依頼した日本人夫婦が数カ月前に離婚しており、子供の出生届が受理されないという事態に発展したからだ。
今日の記事のタイトルは、「 Surrogacy is a grey area in India: インドの代理母出産はグレイエリア(違法すれすれ)」とあるが、日本側にしても然り。
今回の問題点は、日本人夫婦が離婚してしまった点にある。父親のヤマダ氏はマンジちゃんを引き取る意向だが、日印双方の国の制度がそれをさせない。
まず日本大使館が、マンジちゃんのパスポート発行を拒んでいる。日本政府が代理母出産を認めていないのだその理由だ。
一方、インドでは2001年に代理母契約が合法化されたが、独身男性との養子縁組は認めていない。つまり離婚したヤマダ氏はマンジちゃんの親になることが許可されない。加えて、インド人を親に持たないマンジちゃんが、インドのパスポートを得ることもまた不可能だ。
代理母は当然、子供の受け取りを拒否している。
つまり、日印の血を受けた彼女はしかし、無国籍状態なのである。
現在、ヤマダ氏の母親であるエミコさんが、単身インドの病院でマンジちゃんの世話をしている状況だと言う。写真の女性がそのエミコさんだ。
最近のインドでは、「代理母出産」が「影のビジネス」として、注目を集め始めているようだ。特に、グジャラート州のANAND(アナンド)と呼ばれる村は、「村を挙げて」代理母出産ビジネスに取り組んでいるとのこと。今回ヤマダ氏が代理母を頼んだ女性もまた、アナンドの女性である。
1回の出産で多額の収入を得られることから、代理母を望む女性(もしくはその家族)も多いようで、一方、依頼者側にしてみれば、先進諸国における代理母出産よりはかなり安価なことから、欧米からの依頼も多いようである。
法の問題、倫理の問題と、背後にはさまざまな問題が横たわる代理母出産。
代理母出産そのものに関して、わたしはここで持論を述べるつもりはないが、ともあれ、生まれた子供が宙ぶらりんとなってしまうこのような事態ばかりは、なんとしても解決されるべきと願う。
折しも数日前、日本の映画『闇の子供たち』の案内を見て、不遇な子らに思いを馳せていたところだった。梁石日氏による同名の書籍が映画化されたらしい。
よくも、かような「どん底」を、映画にできたものだと思う。見るのに耐え難いだろうが、ぜひ見てみたい、見なければ、と思う映画だ。
選択肢なく、過酷な運命にさらされる子供たちの多さを知るにつけ、途方に暮れる。