目まぐるしく過ぎてゆく日々。なにもかも、書き留めたい大切な出来事のように思えるし、なにもかもが、取るに足らないことのようにも思える。毎朝、かろく目覚め、毎晩、やすらかに寝入らることのみぞ、ありがたき。
上の写真。移住前の旅行時も、そして移住してからも、久しくステイしていたTAJ WEST END。久しぶりに訪れた。エントランスを開けた途端に、ほっと安らぐ。見事な百合の花に心を奪われながら。この西の果てのホテルから、わたしたちのインド生活が始まったのだ。
さて、今週のバンガロール独身生活。どうしてこうも、雑事が多いのだろうと、日常のあれこれを片付けつつ嘆息。ついでに昨日は半日かけて、夫の机周りの片付けを行った。見るに見かねた。
夫を甘えかしすぎ? と思わぬでもないが、いいのだ。彼は働いて、収入を得て来る「係」を担当している。わたしがどんなにがんばっても、その係において、彼にはかなわない。だから、その他の「係」は、わたしが引き受けようではないか。
と、自分に言い聞かせながらはや7年。合点の行かぬことも多いが、追求するのはよそう。
さて、文具店でファイルを大量購入し、ドキュメントを一つ一つ開いて整理していく。こういう作業は、ついつい没頭してしまう。いろいろ言っているが、結構好きなのだ。瞬く間に数時間が流れ、しかし書棚にきれいに並んだファイルを眺めるのは気持ちがよい。
最近では、インドでもそれなりにきれいなファイルが手に入るようになった。米国の大型文房具店のようにはいかないけれど、銘柄や色がまちまちになったりもするけれど、細事に固執していては進まない。ともかくは、整理できればよい。
そんなこんなで、気がつけば水曜。明後日にはまたムンバイだ。今週、撮った写真に言葉を添えて、適当に、並べてみよう。
●このごろの、わたしたちの庭は、庭師の独擅場。気ままな剪定が行われており。これは、なんの形でしょうか? なんとなく、でありましょうか。庭師一家はこの庭が、どの「職場」よりも気に入っているという。休憩時間、みなで座り込んでいる芝生に陽光。
●庭の随所に、見慣れぬ草が、はえている。なにやらぐんぐん伸びている。「これは何なの?」と尋ねれば、「ベビーコーン」との返事。トウモロコシ? 庭の随所にトウモロコシ? 一画に自家菜園を作ろうと思ったままで、実行できずにいた。Field of Dreams。これはこれで、いいのだろう。……いいのか?
●ごめんください、こんにちは。僕にも洋服をあつらえてはいただけませんか? 黄色に紫、紅に藍、いろいろな色の服を僕も、着てみたいと思うのです。
●MGロードの工事現場。この公開牢獄のようなさまの、微妙な傾きをみせた鉄格子のような天を射る鉄棒群はなんだ。まさかこれが、橋脚か。そこで休息する彼らに、夜明けから日暮れまで働き続ける「劣悪な労働環境」の概念さえ知らぬ彼らに罪はない。
●そうなのだ。メトロが造られているのだ。メトロといえど地下鉄ではなく、地上を走るモノレールのような。建築力学とか、建築工学とか、そういう世界に基づいているのかどうかも知らず。こんなやりかたで、でも出来てしまうことの、最早「不思議」としか言いようのなく。
●肉屋でも始めるんですか? ムンバイでまだ気に入った肉屋が見つからないので、取りあえずBamburiesで大量購入して冷凍し、保冷ケースに入れて運ぶ予定。左上時計回りに、丸ごとの鶏肉。脂肪の少ない小振りのものを→砂肝→牛のフィレ。これらは半解凍状態で薄切りするもよし。ステーキにするもよし→豚肉のフィレ。一口カツなどを作ろう→骨付きマトン。煮込み(カレー)にしても、グリルにしてもOK→下の3つの籠には鶏一羽ずつのぶつぎり。部位ごとに冷凍して、スープ用、煮付け用、唐揚げ用、カレー用と個別に冷凍→鶏肉のボディから取り出したるところのレヴァー→マトンやチキン、ポークのひき肉。これだけあれば、しばらくはもつ。
●夜。TAJ WEST ENDのBLUE GINGERで。OWCとBWC合同の、夜の集いに参加する。ただ、飲んで語り合うだけの、シンプルで楽しい夜。今日もまた、新しい人たちと言葉を交わし、もう会わないかもしれない、ただこの夜かぎりの、そのひとときは、かすかなスパイスを散りばめてくれるのだ。わたしを味つける、ための。英国人の夫とジンバブエ人の妻。出会った場所が「群馬の温泉の露天風呂にて」というのが、かなりいい。
今が、8月だとういうことが、よくわからない。季節感が曖昧で、だから記憶をひっかける、杭がないので、さらさらと、歳月は流れるばかり。