リーマン・ブラザーズが倒産。158年もの歴史がある会社が巨額の赤字を抱えて。メリルリンチはまた、バンク・オブ・アメリカに身売り。
11年前、山一證券が倒産したときのことを思い出す。しかし、今回はその比ではない、世界に影響を与えるのだろう。金融や経済のことに明るくないので、コメントは差し控えるが、世の中なにかと大変だ。
株をやっていようがやっていまいが(ちなみにわたしはやっていない)、直接関係があろうがなかろうが、間接的に世界に波及しながら、世界同時不況がやってくるのだろうか。
●なんだか厳しいアーユルヴェーダ
さて本日。お勉強会のINDUSに参加すべく、ホストとなっている会員宅へ赴く。このクラブのよいところは、外国人ばかりでなく、インド人女性が中心となり、世界各国の女性たちとともに勉強会を行っていること。
本日のホストもインドのご家庭だった。こうしてインドの古くからのお宅に訪問するのは、個人的にも興味深いが、仕事の上でも実はかなり、勉強になる。
多岐に亘ってのライフスタイルのリサーチをするにあたり、インド人家庭の暮らしぶりを目にするのは、レポートをまとめる上で参考になるのだ。
今日のご家庭は、富裕層のジョイントファミリーのようで、アパートメントビルディングの外観は古いものの、内装は美しく、広いアパートメントであった。壁にはインド古典絵画が飾られており、家具調度品もクラシックで落ち着いている。
一方、台所はかなり近代的に改築されており、しかしそこで働いているのは白いユニフォームを着た使用人男性3名。彼らがお茶の用意や片付けなどをてきぱきと行っている。
いやいや、お宅訪問レポートをしている場合ではない。
本日のレクチャーはアーユルヴェーダ。アーユルヴェーダのドクターによるアーユルヴェーダの概要と生活のアドヴァイスだった。
詳細は割愛するが、1時間あまり、かなり興味深いお話を聞くことができた。それにしても「健康的で体重を増やさないための食生活」のアドヴァイスが、辛かった。
野菜を多めに、ムーング豆(レンテル)など小さな豆類はよいが、大きな豆(チックピーやラジマ)はだめ。ライスは食べ過ぎなければよいが、小麦粉はだめ。それがたとえ全粒小麦粉だろうと、それから作られたチャパティだろうがナンだろうがよくない。ってことは、パンもパスタもだめ。
肉類全般だめ。魚はよし。果物よし。揚げ物、ファストフード、スナック論外。オイルはギー(精製バター)が一番。オリーヴオイルもまあ、いいでしょう。だけどチーズやバターはだめ。
野菜にしても、ニンジンやブロッコリーはよいが、カリフラワーやキャベツはだめ。ジャガイモはまあまあ。野菜は生よりも火を通して。その方が消化によい。
聞いているうちに、だんだん気が重くなって来た。こういうふうにいろいろ制限されると、せっかくのアーユルヴェーダが疎ましい感じに思えてしまう。
従ってはこれまで通り、できることを、気軽にやる程度で、好きな物をバランスよく食べて行こうと思う。だいたい無精製の小麦粉がだめなんて、それでもってライスも控えるべきとなったら、いったいなにを主食にすればいいのよという話だ。
ムーング豆でも、食べまくるがよいのか。ううむ。
●十年が過ぎて、パスポート更新。写真撮影がたいへん。
まだまだ先のことだと思っていた十年後がまもなく。あの日あのときニューヨークで更新したパスポートを更新するために、日本領事館へと赴いた。
昨日領事館に電話をして、必要書類を再確認する。申請書は領事館で受け取り記入できるので、実際に持参するのは写真一葉と現在のパスポートだ。申し込みの料金は、新パスポートの発効時に支払うことになっている。
さて、その写真であるが、条件が厳しい。何らかの国際基準に基づいたフォーマットらしいが、ともかく厳しい。これをインドの街角の写真屋でうまく撮ってもらえるのかどうか、至極不安である。とりあえず、フォーマットをプリントアウトをして持参する。
天地45ミリ、左右35ミリ、あごから頭のてっぺんまでは34ミリプラスマイナス2ミリ、頭の上には4ミリプラスマイナス2ミリの空間、というもの。もちろんポジションばかりでなく、表情だの光の具合だの、あれこれと規定がある。
写真がだめで領事館に何度も足を運ぶようなことになってはいやだから、なんとしてもきちんと撮っていただきたい。近所の古びたモール内の写真館(写真小屋)へ。
饒舌かつさばけた感じの、中年の店主が「パスポート写真なら任せなさい」と自信満々に請け負ってくれる。この自信満々な姿勢がむしろ、デインジャラスなのだな。
とはいえ、この場でデジタルカメラから画像を取り込み、サイズを調整してくれるようだから、そばについて作業を見ていればいいだろう。ともかくは写真を撮ってもらう。
この先十年。できればきちんと撮られたい。けれど、モニターで見せてもらったところ、なんだかへん。カメラがよくないんじゃないの? それともわたしがへんなの? 顔の中央に光があたって、周辺が若干暗いし、髪の毛もなんかへん。それはわたしのせいですね。
もう一度撮り直してもらったが、五十歩百歩なので、あきらめた。この際、顔はともかく、規定通りのサイズにプリントアウトしてもらうことが先決である。
案の定、おっさん、いやおじさんは、マニュアルをきちんと見ることもなく、気ままに補正を始める。顔の部分を切り抜き、背景を真っ白にして、髪の毛の跳ねた部分を修正してくれたりもする。それがまた、不自然な滑らかさだ。
そこを補正するなら、よりによって今朝発生した、その唇の横のニキビを消してはくれまいか。そのソフトウエア、フォトショップならわたしも使える。わたしに加工させてはくれまいか。
「ちょっとおじさん、どいて。わたしが自分でやるから」
と本当にいいたいところだったが、ぐっと我慢した。プロの誇りを傷つけちゃいかんからな。しかし、無駄な補正が終わってサイズ調整の段になっても、おじさんはマニュアルを見ない。天地左右さえ合っていればいいと思っているようである。
「ちょっと、そこ、頭の上に、4ミリ程度の空間がいるんです!」
ということを、少なくとも5回は言った。嗚呼。マウスを奪いたく、右腕がわなわなする。
ところで写真は1枚あればいい。
だけど、1枚の紙をプリントアウトするから、目一杯、何枚も作ってくれるらしい。
料金は同じらしい。
「いろいろなバリエーションを作ってあげますからね。今後、役に立つでしょ」
とおじさん。プリントアウトを終え、悦に入って写真を切りながら、
「これは、アメリカ、これはイギリス、カナダのヴィザ用ね。え〜っとこれは……」
せっかくだけど、おじさん。わたしは日本人なのです。だからアメリカに行くにも、イギリスに行くにも、そしてカナダに行くにも、ヴィザはいらないんです。写真は不要なんです。
そう言いたいところだったが、それでは無駄におじさんを傷つけてしまいそうだ。黙って受け取り、お金を払って立ち去ったのだった。
家に帰ってしみじみと、写真を見る。
……変。顔も、髪型も、変。近寄って撮ったせいか、顔の中央部分がクローズアップされた感じで、なんというか、態度のでかいリス、みたいな顔だ。どんな顔だ。そんな変な写真が、ああ、いっぱいだ。
変じゃなけりゃ、夫の財布にでも勝手に忍ばせるところだが、これはちょっとな。
夕食時、今日、たくさん証明写真を入手した旨、夫に報告する。
「じゃあ、一枚ちょうだい。財布にいれておくからさ」
嗚呼。なんてスウィートなハニー。だけど、これは持っておいてほしくないの。また改めて撮り直すから。
そんな写真をこれから十年。これもまた、一つの思い出。
ちなみに本日、領事館へ資料を届けに行った。写真の件で、担当者の方としばらく話をする。やはり何度か撮り直すはめに陥る方もいるらしい。
わたしの写真も、問題はないが、やっぱり変だったようだ。
「これでよろしいですか?」
と、念を押されてしまった。
「もう、いいです。サイズさえ、合っていれば」
たいそう、投げやりな感じである。いいのだいいのだ。これもまた、一つの思い出。
●ヒマラヤ山麓で作られたアプリコットの石けんがよいのだ
ところで上の大きな写真。本日、健康によい食品を専門に販売するショップ "THE HEALTH SHOP" で購入した品々だ。実は数カ月前、ヒマラヤ山麓を旅したときに買ったという石けんを、義父ロメイシュと義継母ウマからもらっていた。そのアプリコットのスクラブの石けんが、非常によかった。
35ルピー(100円弱)とお値段は安いが、身体に使うのがもったいなく、洗顔に使っていた。すでにもらっていた2つを使い切ってしまい、しかしどうしてもほしくなり、しかし市井のショップで見かけることがなかったため、昨日、パッケージにある製造元へ電話をした。
聞いたところ、ムンバイでは1軒だけ取り扱っているというので、本日訪れた次第。ない場合は、ヒマラヤ山麓から送ってくれるとのことだが、とりあえずは日本領事館にほど近い、Pedder Roadにある店へ赴くことにした。在庫は4つしかなく、すべてを買い占めた。
そんなにすばらしい美肌効果があるのか? と思われそうだが、あいにくそうではない。ただ、使い心地がたいそう気持ちよいのだ。肌の調子はいつもの通り。まあ、いつもの通りなら、使い心地が幸せな方がよいというものだ。
ちなみにこの製造元AAROHI(←文字をクリック)は非営利団体で、ヒマラヤ山麓の貧しい村の女性たちの自助を支援しているようである。その他さまざまな活動をも行っているようで、こういう組織の商品であれば、やはり積極的に購入したいと思う。
インドでは、天然素材の石けんなどがたくさん製造されていて、写真にあるKHADI(←文字をクリック)のグリセリンソープもお気に入りである。これも使用感が幸せ。KHADIについても、あれこれと書きたいところだが、また別の機会に。
ところで、健康ドリンクのNONIがインドでも製造されているらしく、初めて購入してみた。試してみようと思う。それから、本日のアーユルヴェーダで学んだムーング豆。久々にダール(豆の煮込み)でも作ろうと購入。今後の我が家の主食となるのか。
そして今夜の夕食。タマネギのみじん切りをオリーヴオイルでいため、ショウガのすりおろしを加え、三大スパイスのターメリック、コリアンダー、キュミンのパウダーを入れ、塩を入れていため、トマトのざくざく切りを加え、水に数時間浸しておいたムーング豆を入れ、水を適量入れて、圧力鍋でシューッと炊いた。これが優しい味で、実に美味なのだ。
アーユルヴェーダにけんかを売るわけではないが、しかし本日のメインは牛肉だ。二口大に切った牛肉を和風テイストにマリネして、片栗粉をまぶして、炒めた茄子のフライパンに投入してざっと火を通す。これがまた、美味。
片栗粉が旨味を封じ込めて、牛肉はショウガのおかげか柔らかく、見た目は暗くて今ひとつだが、実においしかった。これにもやしサラダを添えて、ヘルシーな食卓だった。はずである。多分。