二都市生活をはじめて、より日々がめまぐるしい。一方で、「今回、バンガロールでは、○○をしておこう」「次回ムンバイでは、◎◎をしよう」という具合に、限られた時間を意識して物事をすませようとするようになった。
「いつか」とか「近々」とかいう言葉で以てお茶を濁さず、思い立ったら行動までの時間が短いのは悪くない。
●買い物や、新しい店の視察など
金曜日はUBシティ界隈へ買い物に。目的の店で、目的のものを見つけた後、オープン以来久しく訪れることのなかったMaison des Gourmets へ。
主には欧州から輸入された加工食品に加え、チーズ、ハムなど、さまざまな食材がきれいにディスプレイされている。
不思議なことに、包丁やピーラー、料理ばさみ、茶こしなど、日本の「貝印」の商品が大量に並んでいた。
それに加えて「パン粉」もある。
しかし、特になにか買いたいと思うものは見つからず、とりあえず全粒小麦粉で焼かれたオリジナルのパンを購入。
まるでパウンドケーキのような重量感のある、しかし店の人は断固として「パンなのです」というところのバナナ・ウォルナッツパンにもひかれたが、まずは1つを味見してから、次回試してみようと思う。
界隈を散策してのち、ランチはUBシティ(←文字をクリック)へ。
未だ工事中のレストランも散見されるが、取り合えずインド料理とイタリアンがある。
インドの食べ放題なターリー(定食)にも引かれたが、食べ放題する気分でもない。
一見「フードコート風」ではあるが、「ビストロ風」「カフェテリア風」ともいえる微妙な雰囲気のイタリアン、Toscanoへ行くことにした。
シーザーサラダと魚(レッドスナッパー)のグリルを注文。
サラダは今ひとつ、レタスの鮮度が低かったものの、魚のグリルは、かなり美味。
しかも、このような「洗練された感じ」のレストランにしては、アントレ(主菜)の大半が1000円未満と結構安い。
UBシティのレント(家賃)はかなり高いであろうに、これで採算は合うのだろうかと気になるほどだ。尤もすでにすっかり人気店のようで、お客の回転はかなり早い。
メニューを見るに、インドの食材を生かした構成で、原価はさほど高くないものと思われる。本日のスペシャルといった特別メニューには割高なものもみられるが、昨今の新しいレストランの中では「良心的」な価格設定だ。
以下、どうでもいいことではあるが、UBシティで目に留まったものを、とりあえず。
●土曜の昼、夫と再びUBシティへ
金曜日の深夜、夫がムンバイより帰宅。来週は火曜日にスリランカ出張なので、月曜まではバンガロールにいる予定。
さて、土曜はまた、二人してUBシティ界隈へ。というのも、我がお誕生日プレゼントを買っていただくためである。目的の店での下調べは、昨日のうちにすませておいた。用意周到なのである。
この界隈に限らずどの界隈もそうだが、バンガロールは工事中が多く、この店先の道路状況の悪しきこと。
どぶ川を超えなければ店内へ入れないのである。
よほど熱意がなければ引き返したくなる店構えだ。
さて、目的地は2階のジュエリーショップ Mangatrai。ハイダラバードを本拠とする店で、パールやゴールド、プレシャスストーン(貴石)のジュエリーを扱っている。
ところでこの店。先日さくら会のランチにて、数名の日本人マダムにお教えしたが、改めて訪れたところ、品揃えが少ないことに気づいた。
わたしはここで購入するのは二度目で、二度とも気に入ったものを見つけられたこともあり、全体の品揃えについてじっくりと観察していなかったのだが、日本人マダムのお好みに合うものはあまりないかもしれない。
従っては、訪れるにしても、あまり期待しないでいただければと、一応ご報告させていただく。
愛する夫と「胃袋情報」を共有しておきたかったのである。
土曜とあってか、昨日よりも込み合っている。
今夜はパーティーだからランチは軽めにシーフードのペンネ(アラビアータ)と、そして昨日と同じ魚のグリル。食の好みが酷似している我々は、選ぶ料理も自ずと一緒になってしまうのだ。
料理はどちらも美味であった。それにしても、誰がシェフであろうか。店内を忙しく動いている欧米人の男性がいる。彼はマネージャーだろうか。夫が声をかけたところ、彼はテーブルの傍らに立ち、フレンドリーに対応してくれた。
オーナーシェフである彼、ジャンミッシェル氏は、その名から察せられる通りフランス人。出身はニースだという。なぜバンガロールで店を? と問えば、実は過去6年間、The Leela Palaceに勤めており、ホテル内のダイニングを一括して指揮していたらしい。
フランス人ながらイタリアンを始めた理由は、
「南フランスはイタリアにも近いし……それに、インドではまだフランス料理は難しいんですよ」
とのこと。確かに。
彼自身は、気取った店を開くより、こうしたビストロ風のカジュアルな店でお客の顔を見ながらサーヴするのが好みのようだ。
ホテルでの経験から、すでにローカルのサプライヤーには精通しているようで、だから食材も問題なく入手できるとのこと。近々メニューにはピザも加わるらしい。
ランチとディナーはメニューが異なるとのことなので、次回はぜひディナーも試してみたいものだ。料理を楽しみながら、アルヴィンドが一言。
「ここってさ、サンノゼのサンタナ・ロウ*みたいだね」
ああ。それはあまりにも、サンタナ・ロウに悪いだろう。このケイオス(混沌)をサンタナ・ロウと呼んでしまっては。しかし、高級ブランドのブティックが立ち並び、カフェテラスのあるダイニングがあり、そういわれてみれば、そう言えなくもない。
わたしたちの感覚は、日々、おかしな風に「麻痺していく」ようである。そしてバンガロールは、日々、変わりゆくのである。
*サンタナ・ロウの様子は、このページの随所に出てきます。
今日の夜はまた、義姉夫婦や友人知人を招いての夜であった。本日は「祝いごと」があったため、まずはシャンパンで乾杯。
そう。いつものインド産Sulaの「スパークリングワイン」ではなく、フランスはシャンパーニュ地方で作られたもののみに、その名が使用できるところの「シャンパン」である。
ただ、それがシャンパンというだけで、場が華やぐから大したものである。
食事は、メイドのプレシラとわたくしとの合作。しかし、一番人気はプレシラ作のコロッケだったように思う。パン粉は日本製である。
さて本日、我が家のゲストとしては非常に珍しく、ジャパニーズ・ビジネスマンも2名参加である。妻同士が知り合いという場合を除き、積極的に我が家のパーティーに参加してくれた日本人駐在員および出張者はたいそう珍しい。
歓待させていただいた。
お酒も入り、いつもに増してインドを熱く語る自分を暑苦しく思いつつも止められず。FM熊本のラジオの収録のときもそうだが、いつもしゃべりすぎてしまう。
そうでなくてもおしゃべりがち、なのに、インドのこととなると拍車がかかる。しかも日本語。芋づる式に話題が出てくる。編集の方はきっと苦心されているだろうと思うが、どうしたものだ。
ラジオといえば、来週水曜日、今度は久しぶりにRKBラジオでお話することになっている。
番組名などは、まだよくわからない。インドのことを話すことは、わかっている。
詳細はまた、改めてここに記したい。
さてデザートは「インドもの」をK.C.DASで仕入れておいたが、それ以外はゲストの方々が持参してくださり、かなり充実。
あれこれと少しずつ味わって、大満足である。
ちょこんと座れるようになったりして、それがまたかわいい。
大人が大騒ぎしている中、たいへんおとなしく、いい子であった。
料理や片付けの合間、子供好きなプレシラが、ジェイク君を抱いて世話をしてくれていた。
インドの人々の「多く」は、本当に子供に対して、やさしい。
特に、貧しき人々の、街角で見かける子供に対する自然な愛情。
自分の家の子供も、よその家の子供も、同じように、当然のように、面倒をみる人々。
一方で、哀しき児童就労の問題なども、あるのだが。棒っきれで、ストリートチルドレンを追い払うおっさんもいるのだが。
これはこれで、また話が尽きぬ。
さて、毎度のことながら、時間は瞬く間に過ぎてしまい、別れを惜しむように「また今度!」と手を振る深夜。
あちらこちらを転々とする人々が集まる、束の間の住処としてのバンガロール。こうして共に過ごすひとときを心に刻みながら、新しく、新しく動く日々。