本日はヴァレンタインズ・デー。折しも日曜日なので、外でブランチでも食べに行こうかと話していたが、ヴァレンタインズ・デー特別メニューやらなんやらは、無駄に高いこと必至。
ニューヨーク在住時の、出会ったばかりの数年は、「ヴァレンタインズ・デー」のプレフィックスメニューなどを「いつもよりも高すぎ」と思いながらも食べに行っていたものだが、結婚してからは、そのようなファンシーさに対する関心が低くなったものだ。
天気もよく、庭も気持ちよく、暖かい、というよりはむしろ暑くなりつつある昨今。いつもに増して蝶たちが舞い飛び、小鳥たちがさえずる平和なわが家で、今日は過ごすことにした。
アルヴィンドにとっては「クリケットの試合を家でゆっくり見られる」ことが非常に大切で、自宅で過ごすことに賛成である。
とはいえ、祝すべき「花」は欲しい。リンゴをたくさん買っていたので、アメリカンなアップルパイを焼いてみた。本当はアルヴィンド、タルトタタンを食べたかったらしいが、卵を切らしていたので、パイにした。
ラヴなムードを演出するべく、ハートをちりばめてみた。ハートの型などないので、包丁で切った。見た目、いまいちな「アメリカのおかあさんの菓子」的な見栄えであるが、それはそれである。
焼きたての熱々を、コーヒーを飲みながら、味わう。本当は一度冷ました方が味が落ち着いていいのかもしれぬが、おいしかった。アップルパイが好きだった亡父のためにも、一切れお供えをした。
このごろのインドは、クリスマスだのヴァレンタインだの、西欧文化の波が押しよせ、その一方で反対派勢力強く、ここカルナタカ州も、詳細はよくわからぬが、ともかくヴァレンタインズ・デーをなんとかしろという政治家だか宗教家だかが騒いでいた。
バンガロールはインドでも最もアルコール消費量の高い都市である。にも関わらず、夜の11時半以降、飲食店は閉店しなければならないなど、「頑固親父条例」が敷かれているため、世間はさほど大騒ぎできないのである。
ところで昨日は、久々にUBシティのアンサナ・スパで、マッサージ&フェイシャルを受ける。毎度あのスパでは極楽気分が味わえる。アーユルヴェーダの診療所は、「身体に効く」が優雅さには欠けるので、やはりたまにはこぎれいなスパを利用したいものである。
さて、夕食の後、夫と久しぶりにバンガロールクラブへと赴いた。ヴァレンタインズデー・イヴのパーティが開かれているという案内を受けていたのだ。
バンガロールクラブとは、英国統治時代に創設された社交クラブで、富裕層らが主たる会員である。詳細は以前も記したので割愛するが、このクラブ。2年前に「激怒すべき事件」が発生したことから、しばらく疎遠にしていたのだった。
わたしたち夫婦が疎遠にしたところで、クラブにとっては痛くも痒くもない話だが、ともあれ、あれはひどい事件であった。一応、リンクを張っておく。↓
■愛国心とは。バンガロールクラブと、国民服を巡って。 (2008/1/25)
しかしあれから2年。バンガロールクラブのメンバーであるお陰で、ムンバイのジムカーナクラブやウィリンドンクラブ、ヨットクラブなど、あちこちの社交クラブを利用できる。
加えて夫が先日、デリーのパンチシール・クラブのメンバーになったことから、ムンバイのマラバーヒルクラブも利用でき、ムンバイにしてはかなり安価な料金で宿泊施設を利用できるようになった。
家賃を払って二都市生活をするよりもむしろ安いのである。
そんなこんなで、あれこれと思うところあったが、無駄に反発しても仕方がないので、慎んで社交界を楽しもうではないかと、赴いたのである。
と、クラブに入るや否や、目がガールズのファッションに釘付け! 数年前、ファッションショーがあったときにも、超ミニスカートな子女らのファッションに驚いたが、今回は、その数が違う。
普段は「年寄り会員」がのんびりとしている、前時代的なムード満点なクラブなのだが、このような「ハレの日」には、二世代、三世代が一緒になってイヴェントに参加するのである。
あっちを向いても、こっちを向いても、ミニスカートでかわいい女の子たちがたくさん。中には「その服、どこで買ったの?」と聞きたくなるような奇抜なものもある。
両親の前でタバコを吸う若い女性もいて、そんな光景にまた驚く。ちなみに貫禄のある女子たちだが、ミニスカートに身を包んでいるのは、たいてい20歳前後。ティーンエージャーも見られる。
ダンスフロアでは、サリーで踊る老夫婦あれば、ジーンズで普段着、あるいはきらびやかサルワールカミーズ、そしてミニスカート……と、世代と時代が渾然一体だ。
そんななか、"Shall we dance?"の竹中直人みたいなおじさんが、まるであの役柄そのものの様子で、猛烈に踊りまくっていて、これまた目が釘付け。
あの演技を「素でやっている」ところがもう、たまらず、彼の踊りをずっと見ていたかったぐらいだ。
そういうわたしたちも、ワインだビールだで酔っぱらい、大晦日に静かで過ごした分を取り返すがごとくである。
しかし、DJが今ひとつ。
しかも11時を過ぎたあたりから、急に音量が落とされた。
まさか、またしてもご近所からの苦情?
バンガロールクラブは住宅地の真ん中にあるわけではないのだが、先頃近所にホテルもできている。
かといって、毎日のことではないんだし……などとインド的な発想になっている自分に驚きつつも、音量が低すぎてつまらない。
11時半ごろになり、撤退しようとエントランスへ赴いたら、そこにはポリスが! やはりご近所からの騒音に対する苦情が出たらしい。
先日の、カヴィタの誕生日パーティでもポリスが出ていたが、なんだかとても「まじめな社会」になったものだと感心してしまう。
と同時に、やや、つまらん。わが家のご近所も、たまにカラオケで大騒ぎしているが、12時までは我慢している。耳栓を使って寝ることもある。
そういうことが、だんだん許されなくなってきたということであろう。というか、昔は静寂に包まれた緑いっぱいの街だったのが、喧噪の渦になることを堪え難く思う人が多いのだろう。それは確かに、そうである。
ポリスに詰め寄られている男性は、バンガロールクラブのマネージャー。2年前のあの日あの夜、夫のインド服がドレスコードにひっかかるとして、我々を追い返したあの憎きマネージャーだ。
ポリス。彼をもう少し困らせてやってくれ。
と、やや意地悪なことを思いつつ、立ち去ったのだった。帰路、2カ所でドライヴァーがアルコール臭気チェックを受けた。週末の夜は、ポリスが街の随所でチェックしているのだ。
これは非常に、よいことではある。なにせ夜のバンガロール。なぜかあちこちの交差点で信号機が止まる。節電のためか、単なる故障か、原因は知る由もないが、ともあれ、夜はスピードを出す車も多く、至極危険なのだ。
せめて飲酒運転はきちんと取り締まって欲しい。というか、信号機を機能させて欲しいものである。
そういえば、わが家のドライヴァーを巡る事件も、あれこれとあって、たまらん。喉元過ぎれば「笑い話」になりそうなネタが満載だが、今のところ、「喉元」なので、綴るのはまた後日にしたい。
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