季節感のメリハリ浅いこの地において、クリスマスパーティはクリスチャンでもないのにひとつの節目。一年の終わりをしみじみと噛み締めつつの。
数日前、インド生活5年に亘ってのクリスマス・パーティの記録を振り返ってみて、写真が多いと懐かしくも鮮明に過去を振り返られるものだと痛感。
今年は例年のドタバタな年末とは異なり、準備の時間もあったので、写真も多め。「キレイなブログ」と重複する部分もあるが、せっかくなので残しておこう。
ところで今回のパーティを前にして、新居購入した3年半前より買いたいと思っていたバーカウンターをついに購入した。
これまで気に入ったものが見つからず、ムンバイ生活などが始まったりもして、つい忘却していたのだが、先日ご近所さんのお宅で「造り付けのバー」を見せてもらって、「バーカウンターが欲しい心」に火がついたのだった。
我が家の家具の大半を購入したVINTAGE SHOPのオーナー、アマールに電話をしたところ、いくつかのバーカウンターがあるという。早速赴きあれこれと見た結果、最後の一つが気に入って購入。翌日には配達されて来た。
後ろ姿は一見、地味な箱。ティークウッド(チーク材)に、合皮での加工が施されている。前には観音開きの扉がついている。この扉を開くと……。
種類が収納できるスペースになっている。そして上部の台を広げると、バーカウンターに。スツールも2つ購入し、なにやらいい感じである。
この家具屋に関する情報は、過去の記録(↓)に残している。
■どんでん返しな劇的幸運! 好みの家具を格安で入手 (11/24/2010)
さて、パーティの来訪者。義姉夫妻をはじめ、NRIや欧米人の友人らは、ホリデーシーズンでバンガロールを離れている人が多い。
一方、繁忙期の旅を避け、静かにバンガロールで年末年始を過ごそうという人たちもいて、そういう人たちに声をかけた。
しかし人数がなかなか確定しない。30人以上40人以下。当日に体調不良でキャンセル、という人が必ずいるので、40人を超えることはないだろうとの計算で、最終的な料理などを決める。
今年はパーティ前日をまるまる準備にあてられたことから、自分で料理を作ることにした。ヴェジタリアン、ノンヴェジタリアンのバランスを考えつつ、ざっと絵に描いてイメージを掴みつつ、料理にかかる。
パーティ当日は、主役のターキーを焼かねばならないので、他のオーヴン料理は前日のうちに焼いておいた。
ダイナミック、豚肉の塩釜焼き。ショウガ醤油につけて食べると美味! 切り分けながら、味見がやめられない! コラーゲン&脂分たっぷり過ぎて、お肌がつやつやというよりはテカテカに!
そのあとは、アップルタルトとカスタードクリームのフルーツタルトを準備。パーティの際、いつもスウィーツを持って来てくださる方が多いので、今回はたくさん焼かなかったのだが……。
お菓子の次はキッシュの準備……。ノンヴェジとヴェジの2種類を。
キッシュを焼いている間、余分に作っておいた小さなタルト皿にカスタードクリームとバナナのスライス、生クリームを載せて、夫とクリスマスを祝う。作り立ては、タルトのさくさくとした歯ごたえが美味。
キッシュもこんがりと焼き上がり。明日はテーブルに供する前に温め直せばOK。おつまみ用のチーズは奮発して欧州直輸入物を購入したが、このチーズはインド乳製品大手のピザ用チーズ。なかなかにいけるのだ。
ところで今年のクリスマス@バンガロール。間違いなく、去年よりも賑わっている。夜など、どこからともなくクリスマスキャロルが流れて来たり、花火が打ち上げられたりと、なにかと騒がしかった。
我が家のアパートメントビルディングの入り口にも、ランゴリ(吉祥紋)のクリスマスヴァージョンが。
ハッピーク リスマス。
惜しい!
ヒンドゥー教徒なお姉さんたちが施したランゴリ。
クリスマスのスペルなんぞ、知るかという話であろう。
さて、26日。パーティ当日の朝。まずは本日の主役、ターキーの準備にかかる。米国で2回、インドで2回。人生4度目のターキー焼きだ。
インドのターキーは、米国のそれに比べてスリムかつ手足が長い。米国の巨大なオーヴンには、巨大なターキーを入れてもノープロブレムだったが、インドではそうはいかない。
3キロほどのスリムな一羽を購入するも、痩せている割に「胸板が厚い」ため、全体的にきれいに焼けない。途中で「横に向ける」など、あり得ないポーズで焼く。
ターキーの表面にすりつけておいたバターと肉汁が溶け出したものを鍋に入れ、内臓類のみじんぎり、小麦粉、水、塩胡椒、庭のセロリの葉のみじん切りなどを加えてグレイヴィーソースを作る。これが美味!
ターキーは見た目はともかく、身が少なめ。これだけでは大人数の胃袋を満たせないので、我が家の定番ホワイトチキンも作る。
大量のヨーグルトと生姜、ニンニク、塩こしょうでマリネした鶏肉を、水気がなくなるまでひたすら煮込み、最後に牛乳でまとめたもの。
一方の揚げ菓子は、メイドのプレシラがクリスマスだということで家で作ったクリスマス菓子を持って来てくれた。米粉や小麦粉で作られたもの。花の形のローズクッキーというのが、この時期、この地の風物詩。
米粉で揚げたお菓子はどことなく日本のおかきのような風味もあって、なかなかに美味だ。
フランスを中心とした欧州直輸入のチーズ専門店、La Fromagerieで購入したチーズも準備。ナッツ類は「エコな器」に盛りつけて。
このキャンドルは殺虫効果のあるシトロネラ(CITRONELLA)入り。
雰囲気づくり&蚊対策に便利である。
ちなみにバンガロール。
こんなに冷え込んでなお、蚊は健在なのだ。
ところで今回、日本人とインド人のゲストは約半分ずつの構成。
日本人が6時過ぎから集まり、7時までには大半が揃うであろうとの見込み。
インド人は早くて7時半あたりからの登場であろうとの目安を付けていた。
その見込み通り、最初は立て続けに日本のゲスト。準備しておいた被り物でお出迎え!
最初のうちは、まだ写真撮影をする余裕もあるが、ゲストが増えてくると、挨拶したり、飲んだりしゃべったり、食べ物の準備をしたり、そして食べたりと忙しく、ついカメラのことを忘れてしまう。
いちいち「ブログに載せるけど、いい?」と聞くのも面倒くさくなり、しかし「臨場感」を演出したく、主には自分の写真が増える現実。
取り敢えず、載りたくないという人を除いての数枚を。
リボンの被り物、ウサギの被り物、双方ともに、かなり気に入ったのだが、そして自分でも「似合ってるじゃん!」と思うのだが、こうして客観視すると……痛い。温かい目で、見守っていただければと。
バーカウンターは予想通りの盛況ぶり。この一画があるだけで、なんというか、パーティが「筋金入り」というムードになるのがすごい。
すごいが、常にバーテンダー担当者がいなければならないのが難。日本の男性衆に交替でやってもらった。
ドリンクを片手に、おつまみやアペタイザーをトレーでサーヴィス。メイドのプレシラに揚げてもらったマッシュルームやベビーコーンのフライ、それから友人が持って来てくれた春巻きやいなり寿司など、皆にふるまう。
ご近所さんのバラティが持って来てくれた一口サイズのカレーパンのようなものも美味だった。
バーカウンターに置いておいたチーズも大好評。今後はもっと頻繁に利用しようと思った。
……と、お察しの通り、たいていみなスナック類とドリンクで、それなりにお腹が満たされるので、料理はさほど大量に消化されないものなのである。
さてさて、インド人ゲストは、いい感じで三々五々、次々に来場。久々に再会のファミリーフレンドや、夫の仕事関係者、ご近所さんなど、顔ぶれもさまざまに。
さて、大半のゲストが揃ったところでディナータイム!
パーティの際、冷蔵庫の奥などに入れたままで出し忘れる料理が必ずある。それを避けようと意識していたのに……。なんと「パン」を出し忘れていた!
というのも、中途半端に一品だけ、「マトンビリヤニ」が追加されたせいだ。夫が急に夕べになって、
「ミホ、40人も来るけど、料理、足りるの?」
と聞く。
「大丈夫。パーティのときはたいてい作りすぎて余るし。誰かが何かを持って来てくれる場合もあるし」
しかし、どうにも納得しない夫。
「近所でビリヤニ、注文しようか?」
「いらない」
「でも、足りなくなったら、困るよ」
……このあと、同じようなやりとりが百万回くらい繰り返され、ついには業を煮やした妻が、
「頼め。頼みたいんだったら頼め。自分が食べたいんでしょ、そのマトン・ビリヤニを!!」
という不毛にバトルな展開となり、夫が7人分を頼んだのだった。
本来はバゲッドとガーリックライスを添える予定だったのに、ビリヤニの登場で、ライスだけでなくバゲッドすらも脳裏から消去されてしまった。
合わんのよ、今日のメニューにビリヤニ。結局、大量に余って、メイド夫妻にもって帰ってもらうこととなり。ったく……。
と、そんな薄暗い話はさておいて。
本来は足を紐で縛って焼くのが正しいのだろうが、米国産とは違って細いターキー。縛ると安定が悪いので、こんな状態だ。
赤いしるしは日の丸ではなく、「ノン・ヴェジタリアン」のしるし。緑は「ヴェジタリアン」のしるしである。ターキーに関していえば、敢えてしるしをつけるまでもないだろうとの話だが、雰囲気である、雰囲気。
ターキーはマダム自らが切り分け、グレイヴィーソースにつけて食べていただく。このソースがおいしいのだ。
予想通り、ターキーがスリムな分、肉が少ないのが惜しいところ。このごろは家電の選択肢も増えているし、思い切って大きなオーヴンを購入すべきかもしれない。
そうすれば、あらゆるパーティ料理がもっと手早くダイナミックにできるはず。
ホワイトチキンとポークのスライス。ポークはプレゼンテーションが地味すぎた。紫蘇の葉でも欲しいところだ。
野菜類はコブサラダのようにまとめて大皿に盛りつけたかったのだが、人数が増えたので、ぐちゃぐちゃになってしまうおそれがあり、結局は一種類ずつに。
ビーツにゆで卵、インゲン、ブロッコリーラブ&ガーリック、トウモロコシなど、いずれも加熱、軽く味付けをした。
ポテトサラダはちょっと作りすぎた。
一方のトマトのスライスグリルは、足りなかった。
これは日本人にもインド人にも好評であった。
実はインドでキッシュを焼いたのは初めてのことだが、いい具合に焼けた。
砂糖なしのタルト皿は、砂糖入りよりも焦げ目がつかないので、きちんと焼けているか心配だったが、仕上がりはさくさく。
ヴェジもノンヴェジも美味であった。
これも一気に数枚焼ける大きなオーヴンがあると便利だ。
ところで今日のディナー。これで最後ではない。ターキーが主役の座を奪われるほどに美味な逸品が、友人夫妻の手によって、もたらされたのである。
キッチンで、そのスープを一口味見させてもらって、驚愕した。
お、おいしい! おいしすぎる!!!!
それは、紛れもなく、懐かしの豚骨スープであった。それも、我がお気に入り、ニューヨークの一風堂(本場博多、すみません)の味に似ていて、しかも勝るとも劣らぬ風味!
インド生活をチャレンジングに楽しんでいるF夫妻。彼らがなんと、ローカルの市場でブタの頭11匹分を仕入れ、11匹分を仕入れ(繰り返しましたよ)、4日間も煮込んで作ってくれたというのだ。
ガスのシリンダーを1本丸ごと消費する勢いで。
ブタの頭、11匹分よ? 4日間よ?
坂田をうならせたい、という夫婦揃っての情熱のもと(どんな情熱だ)、スープ作りに挑んだという。麺はタイからの取り寄せらしいが、それ以外はすべてインドものだとか。
と前向きに料理に取り組む駐在員夫人たちが、ここ数年のうちに増えた気がする。インドにある食材を工夫して、健康的で美味なる食卓を演出することはまた、醍醐味だ。とてもいいことだと思う。
しかし彼らのそれは、醍醐味を超越している。もう、プロ。
「店、出したら?」
と言わずにはいられない。
どれだけおいしいかといえば、普段はIIMで教鞭をとっているラジーヴさんが、ラーメン屋の店員と化すくらいに、である。
ラジーヴの息子もラーメン好きと見え、おかわりしていた。かくいうわたしも、2杯食べた。アルヴィンドも大喜びであった。
なにがうれしいって、化学調味料が一切使われていないところである。
MSGすなわち味の素アレルギーになって久しいわたしにとって、このまろやかな自然の味は、心に身体にやさしいもの。
さてさて、最後はスウィーツタイム。気がつけば、あっというまになくなりつつあるタルトを急ぎ激写。これもまた、みなさんに好評で、なによりだった。もう少し、焼いておけばよかった。
6時という早い時間の開始だったのに、あっというまに夜も更けて。
ゲストが減って、少し落ち着いた頃にバーカウンターに入り、やりたかった「バーのマダムとお客さんごっこ」などを少々楽しみつつ……。
食の記録に終始したが、もちろん、ゲストとの会話も楽しく、本当にいい集いだった。ゲストの皆さんも、いい時間を過ごされたようで本当によかった。
さてさて、わたしたちは28日から急遽、昨年同様アーユルヴェーダグラム入り。肉なし、酒なしの年末年始を過ごす予定だ。
カウントダウンをアーユルヴェーダグラムで。しぶい。しぶいが、去年、無理矢理31日の夜にチェックアウトして、しかし遊びに出かける衝動が沸かず、地味に自宅で年を越したことが教訓となった。
静かに年を越して、年を迎える。
ゆっくりと考えられなかったことを、考える。
あるいは、なにも考えない。
そんな1週間を過ごしてこようと思う。
よい、年末年始を!
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